手続きの方法は?申告できる経費は?美容師が知っておくべき確定申告の基礎知識

税金を納めることは国民の義務です。自分が支払うべき税金の金額を確定するためには確定申告が必要となります。ただし、すべての人が確定申告の手続きを行わなければいけないというわけではありません。美容師の場合、基本的には社員として働いていれば自分で手続きを行わなくてもよいことになっています。美容院を運営する会社の経営者が行う手続きとなっているからです。

しかし、個人経営の美容師、業務委託や面貸しで働いている人、社員であっても一定の条件にあてはまっている人は自分で確定申告をすることが必要です。そこで、美容師として知っておきたい確定申告の基本的な知識をご案内します。

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まずは正しく知っておこう!そもそも確定申告とは?

確定申告とは1月1日から12月31日までの1年間に発生した税金額を確定させるために行う手続きをいいます。確定申告の対象となるのは所得税や復興特別所得税といった所得すべてにかかる税金です。所得税とは収入から所得控除などを差し引いた金額に対する一定の税率で必ず課されるもので必ず税務署に支払わなければいけない税金となっています。

収入を得ている人は納めることが義務付けられている所得税ですが、会社などに所属する従業員の場合には給料から毎月自動的に差し引かれて会社が代わりに支払いをしてくれています。このため、自分で手続きをする必要はありません。一方、復興特別所得税とは2011年3月に発生した東日本大震災の財源確保のために同年12月2日に創設された税金です。個人で美容院を経営しているような個人事業者など個人として所得税を納めている場合には併せて支払わなければいけない税金となっています。

納付が義務付けられている税金について対象となる人は定められた申告期限内に確定申告の手続きを行うことが求められます。確定申告の対象者は給与所得がある人、公的年金などに関係する雑所得が所得控除を差し引いても残る人、源泉徴収されない退職所得がある人などです。給与所得がある場合でも源泉徴収が行われ、年末調整によって所得税の精算をしている場合は申告が不要となります。また、給与所得の収入金額の合計額から医療費控除といった所得控除の合計額を差し引くと150万円以下となり、なおかつ給与所得や退職所得を除いた所得額の合計金額が20万円以下となるなど一定の条件に該当する一部の方も確定申告をする必要はありません。

美容師であれば美容院の経営者や業務委託や面貸しなどフリーランスとして働く個人事業主が該当します。また、社員として雇用され働く美容師であっても自分が住むために購入した家の住宅ローン控除を受ける初年度である場合や、支払った医療費の合計が10万円を超える場合、さらに勤務する美容院の仕事以外で20万円を超える所得がある場合には確定申告が必要となるのです。

このような確定申告の対象となる人は手続きを行うことによって源泉徴収された税金の払い過ぎた分や不足している分の精算をすることができます。納め過ぎた所得税の申告をすることを「還付申告」といい、還付申告をすることで払いすぎた所得税の還付を受けることができるようになるのです。還付申告は確定申告期間に関わらず翌年の1月1日から5年間が提出期限となります。また、確定申告には所得税の一部を前払いする制度があります。この制度を「予定納税」といいますが、確定申告は予定納税の精算をすることも目的の1つです。その年の5月15日時点で確定している所得金額や税金額をもとにし計算した予定納税額が15万円以上となる人が対象で、対象となる場合には所得税や復興特別所得税の一部を前もって納付すること義務付けられています。

どんな手続きが必要?確定申告の流れとは

美容院を個人事業主として開業したり、業務委託や面貸しとして働き始めたりする場合、まず開業届を提出しなければいけません。開業届は提出しなくても罰則を受けることはありません。しかし、提出をしないと確定申告の手続きをすることにより受けることができるメリットを得ることもできなくなってしまいます。確定申告をするためには白色申告と青色申告の2つの方法があります。

白色申告と青色申告とでは手続きが異なるだけではなく、課税される対象額からの控除額にも違いが生じます。青色申告にある特別控除が白色控除にはありません。特別控除を受けることができなくても、かつては白色申告の書類作成の簡易さから、あえて白色申告を行う人もいました。しかし、2014年の法改正により今まで青色申告だけが必要だった帳簿の作成が白色申告にも義務付けられるようになりました。白色申告のメリットが減ったことにより、節税効果への期待が高い青色申告をした方がお得な方法であると考える人が増えているのです。

最低でも10万円、複式簿記で貸借対照表と損益計算書を添付すると65万円まで控除することが可能となる特別控除を受けられるということだけが青色申告のメリットではありません。たとえ赤字となった場合でも翌年に繰り越して利益と相殺することができたり、耐用年数に関わらず30万円未満の資産であれば全額を購入した年の経費にすることができたりといったメリットもあるのです。

さらに家族と一緒に美容院を営業している場合に生計を同一としている家族に限り給与を経費にすることもできます。このようなさまざまなメリットを持つ青色申告は開業届を提出した人のみが手続きできる方法です。このため、青色申告により確定申告をしたいと考える場合には美容業を開始した日から1カ月以内に税務署に開業届を提出しておかなければいけなくなります。また、従業員を雇用した場合には給与支払事務所等の開設の届出書や源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書などの提出が必要となることもあります。

事前に必要となる手続きを終えた上で確定申告を行う場合、原則として翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告手続きをすることが求められます。それには、まず青色申告と白色申告のどちらの方法で手続きするかを決めておき、申告期限までにそれぞれの方法で定められている申告に必要な書類の準備をしておかなければいけません。申告対象となる年の1月1日から12月31日の間の売り上げや経費などがわかる資料を使って計算をし、帳簿の作成を行います。帳簿付けは記載漏れがないように日々こまめに行っておくことがポイントです。1年間すべての取引の記載が終了したら、帳簿により確定申告書類を作成します。確定申告書は申告する内容によって異なり、青色申告の場合と白色申告書の場合とでは提出する書類が変わってくるため注意が必要です。

書類の準備が終わったら税務署への提出となりますが、提出方法には3つの方法があります。管轄の税務署を直接訪れて提出する方法と、税務署宛に郵送をする方法、e-Taxを利用して電子申告をする方法です。税務署で直接提出する場合には作成するにあたり不明であった点を税務署員に確認したり相談したりしながら作ることができます。ただし確定申告期間は混雑していることが多いため時間に余裕をもって行うことが必要です。郵送による提出の場合には期限に注意しましょう。通信日付印により表示された日が提出日としてみなされます。オンラインで国税の申告をすることができるe-Taxを利用すると自宅からいつでも手続きをすることが可能です。ただし、電子申告には事前申請が必要となることも覚えておきましょう。

確定申告の手続きが無事終了し、税金が還付される場合には預貯金口座への振込や窓口受け取りにより返金されます。反対に納税の必要がある場合には預貯金口座からの振替、クレジットカードや現金の利用、e-Taxによる電子納税といった方法で不足していた税金を納めることになります。” これは経費にできる?申告できる可能性がある経費とは “経費とは、仕事を行うにあたり必要となった費用のことです。ただし具体的にこの商品やサービスは経費に該当するという明確な決まりはありません。同じ商品を買ったり、同じサービスを利用したりした場合でも、個々の仕事を行うために必要であると認められれば経費となり、仕事を行うために必要がないものであると判断されれば経費とはならないのです。

ただし、美容院を経営しているのであれば、一般的にはお店の家賃や駐車場代、電話代、水道光熱費、通信費、お店に置く雑誌や書籍の購入費といったものは経費として計上できます。美容院の経営者ではなく業務委託や面貸し美容師であっても経費となるのが美容器具代などの施術用品です。美容師はお客様を集めるために時に広報活動をすることも大切となります。お店や美容師の存在を知ってもらうためにかかった雑誌への広告掲載費やチラシ代、さらに顧客へ送る案内ハガキ代といったものは広告宣伝費として経費にあたるものです。美容師の名刺を作ったり、お店のHPを作成した際にドメインを取得したりした場合にも同じく広告宣伝費として算入することができます。

美容院を経営する本人や働いているスタッフなどが徒歩や自転車で通うことができない距離にお店がある場合には通勤のための交通費も経費です。従業員を雇用している場合には給料賃金や、従業員のために扱っている福利厚生も経費に算入することができます。ただし、家族経営の美容院などで親族を従業員にしている場合には自分も含めて給料の経費算入はできないため注意が必要です。

仕事のために出費したものであれば通常おおよそのものは経費となりますが、パソコンやデジカメなどの消耗品に場合、気を付ける必要があります。取得金額が10万円未満のものや、10万円以上であっても耐用年数が1年未満のものであれば消耗費として他の経費同様に落とすことができます。しかし1、0万円以上で取得し耐用年数が1年以上のものは固定資産として減価償却による経費算入をしなければいけないため注意しましょう。

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