美容師の資格と取得方法を紹介|キャリアアップに役立つ資格5選
美容師になりたいという夢・願望を抱いている人は少なくありません。資格を取るにはどのような道のりが必要なのでしょうか。
美容業界以外に就職したけど、働きながら美容師になる方法を知りたい方や、高校や大学に通いながら美容師免許を取得したいと考えている方もいるかもしれないですね。
そこで、美容師の免許を取得して、実際に美容師として就職するまでの過程を見ていきましょう。
また、資格がなくても美容院で働く方法や、美容師と関連する他の資格についてもお伝えします。美容業界全般に興味がある人は、ぜひ最後までご覧ください。
美容師の資格とは|国家試験の合格が必要
資格には国家資格と民間資格がありますが、美容師の仕事は国家資格です。美容師資格を取得するためには、厚生労働大臣や都道府県知事が指定する養成学校の必要課程を修了し、受験資格を得たのち、試験に合格する必要があります。さらに、合格したあとは美容師免許の申請が必要です。
美容師を目指す人は、国家試験の概要や免許申請方法を確認しましょう。
引用元
公益財団法人 理容師美容師試験研修センター|試験について
美容師の国家試験の内容
美容師免許国家試験は年に2回あり、実施しているのは国ではなく、公益財団法人理容師美容師試験研修センターです。美容師の国家試験には筆記試験と実技試験があり、どちらも合格しなければなりません。
筆記試験では、美容師に関係する法律や衛生管理についてや、人体の構造や皮膚科学など、美容師なら知っておかなければならないことの知識を問われます。実技試験はカットと、ワインディングかオールウェーブセッティングのどちらかが毎年設定され、モデルウィッグを使用して行い、合格の基準をクリアしなければなりません。
試験に関する詳細は、下記のページでご覧ください。
美容師になるための国家試験とは?受験資格・合格率・要項も紹介
国家試験の受験資格
美容師の国家試験を受けるためには、所定の条件があります。平成10年4月1日以降に養成施設に入学した人は、昼間課程および夜間課程2年以上、または通信課程3年以上を修了することが必要です。
なお、それ以前については上記の記事にも記載しているので、あわせてご確認ください。
免許申請に必要なもの
無事に美容師の国家試験に合格したら、免許の申請を行いましょう。免許申請書・戸籍抄本/戸籍謄本/本籍記載の住民票(発行から6カ月以内)・収入印紙・登録事務手数料の受領証/ご利用明細などが必要です。
必要書類や手続き方法など、詳しいことは、国家試験の合格通知書に同封される案内に書かれています。しっかり確認して不備のないように申請しましょう。
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美容師免許はどんなときに必要?再発行が必要なときの手続きのしかたについても紹介
美容師の資格・免許を取るまでにかかる期間
美容師を目指す人は、受験資格のところで触れたように、最短2年で国家試験を受験できます。そのため、早ければ2年で資格取得が可能です。
なお、試験は年2回行われますが、美容専門学校生などは、2年次の2月に実技、3月に筆記試験を受ける学生が多いです。3月末に合格発表が行われ、合格していればその後免許申請をします。免許を申請してから取得できるまでには、1カ月前後かかるといわれています。
仕事をしていてもOK!通信課程でも資格を得られる
自宅学習(レポート課題提出)と所定のスクーリングをこなすという、美容専門学校の通信課程でも美容師を目指せます。
完全通信では目指せないこと、最低3年間の課程があることと、独学が多くなるため挫折しやすいのが難点です。しかし、働きながら自分のペースで学習を進めることができ、費用も比較的安いので、選択肢の1つとしてありなのではないでしょうか。
なお、通信課程で美容師資格を目指す方法については、下記の記事でも詳しく解説しています。
働きながら美容師免許を取得するには? 通信課程のメリットと注意点|おすすめの通信課程を紹介
夜間課程を選ぶ方法もある
仕事をしながら美容師資格を得るには、夜間課程で学ぶ方法もあります。授業は夕方から始まり、昼間に通う学生と同じく対面形式で学べて、期間も昼間課程と同様に2年という学校が多いです。
仕事と勉強を両立するための自己管理が必要ですが、1日あたりの授業時間が昼間より短いので、内容が濃く効率的に学べます。
美容師の資格がなくても美容院やヘアサロンで働ける?
美容院の求人のなかには「無資格OK」というものもあり、資格がなくても美容院に就職することは可能です。ただし、資格がない場合は、主にアシスタントとして美容師(スタイリスト)のサポート業務を行います。
アシスタントの仕事内容は、受付・道具の準備や片付け・店内の掃除・洗濯などの雑務であり、お客様の髪を触ることはできません。万が一お客様の髪に触れた場合は、「美容師法」という法律の違反になってしまいます。
資格取得支援を行ってくれるサロンもある
美容室の無資格での求人では、美容師の免許取得を前提としている場合など、美容師免許を取るための支援を行っていることもあります。
給料をもらいながら学費のサポートをしてもらえ、資格も取れるので、美容師を目指したい人は選択肢の1つに加えてみてはいかがでしょうか。
美容師の就職先は? 美容師免許が活かせる仕事とは
美容師が就職するのは美容室であることが多いですが、美容室と一口にいってもその規模はさまざまです。チェーン店で全国展開している美容室やスタッフを何人も抱える大規模店舗、少人数のスタッフで運営している個人店もあります。
また、美容師免許が活かせる就職先はそれだけではありません。まつエクやまつ毛パーマを行うアイラッシュサロンや花嫁にヘアメイクを施すブライダルサロン・結婚式場、トータルビューティサロンなども選択肢に入れることができます。
さらに、個人でサロンを開業したり、ヘアメイクアーティストとして活躍することも可能です。
美容師の給料はどれくらい?
厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、10人以上規模の美容室の美容師・理容師の平均給与は約312万円です。
美容師はアシスタントからスタートして、ジュニアスタイリスト・スタイリスト・トップスタイリスト・マネージャーや店長と階級が上がるごとに給与も上がる傾向が強い職業であることから、役職などがつけばもっと高給を得られる可能性もあります。
また、歩合制を取り入れている美容室も多く、指名を多くとれればその分給与にも反映されるため、実際には美容師の中でも格差があることが考えられるでしょう。
美容師の給料についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
美容師の給料・平均年収はどれくらい? 給料を上げるためにできる7つのこと
【美容師の給与満足度】あなたは収入に満足できていますか?アンケート調査をもとに徹底解説!
美容師は将来性のある仕事?
美容師の仕事は、AIに置き換わることがないといわれています。イメージに沿って髪形を整えたり、微妙なニュアンスや細かいカッティングをしたりといったことをAIがこなすのは難しく、美容師だけが持っている特別な技術だといえるでしょう。
また、先述したように美容師免許が必須とされるまつエクやメイクなど、美容室以外でも美容師の需要は高いのが現状です。まつエクに美容師免許が必要になった経緯に事故などのトラブルがあることから、今後まつエクの資格要項が緩和されるとは考えにくく、需要が拡大することはあってもなくなることはないでしょう。
さらに美容師は、開業して自分のお店を持ったり、高齢化社会で訪問美容師として活躍したり、海外進出をしたりと、自分次第で活躍の場を広げることが可能な資格で、将来性は高いといえます。
美容師の将来性については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
美容師の現状と将来性とは? これからの時代に合った働き方を考える
美容師に向いているのはどんな人?
美容師は免許を取得すればなれますが、それだけでトップスタイリストになれるわけではありません。美容師として活躍できる人の特徴とはどんなものか、気になる方もいるでしょう。
そこで、美容師に向いている人の特徴を紹介します。
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美容師に向いている人とはどんな人?美容師に必要なスキルについても紹介
1. 人と接するのが好きな人
美容師はヘアカットやセットの技術と同じくらい、接客が重要な仕事です。そのため、人と接するのが好きな人、コミュニケーションをとるのが得意な人が向いています。
コミュニケーション能力が高い人は、お客様が言いにくい要望を聞き出したり楽しませたりして、指名をいただける可能性も高いと考えられるでしょう。
2. おしゃれが好きで関心が高い人
美容師はお客様を美しくするのがメインの仕事といってもいいでしょう。そのため、トレンドに敏感でおしゃれが好きな人、美容への関心が高い人が向いています。
美容に興味がある人は、お客様を美しくすることに喜びややりがいを感じられ、お客様が求めるニーズを読み取る能力も高く、お客様を満足させられる可能性も高いと考えられます。
3. 向上心がある人
美容の世界では、新しい技術の登場や流行の移り変わりなどがあるため、勉強をし続ける必要があります。また、スタイリストになったから終わりというわけでなく、さらなる技術力向上のために情報を集めたり、練習を重ねたりすることも大切です。
そのため、向上心があり、前を向いて努力ができる人、新しい技術や情報を積極的に取り込もうとする人に向いている仕事だといえるでしょう。
4. タフな人
美容師は体力が必要な一面があるのも事実です。アシスタント時代は終業後に練習をするため、長い時間をお店で過ごさなければならなかったり、忙しくて一日中立ちっぱなしになってしまったりといったこともあります。
また、休日に講習会があって充分に休息がとれないこともあるため、本当に美容師の仕事が好きでタフでなければ、トップスタイリストまで昇り詰めるのは難しいかもしれません。
ほかにもある!美容師に関連する資格
着付け技能士とは、着物や浴衣といった和装の着付けに関して十分な知識や技術があることを認める国家資格です。「全日本着付け技能センター」が実施しており、1級と2級があります。学科試験と実技試験があり、1級のほうがより高度です。
美容室では、成人式などの行事の際に着付けやヘアメイクを希望するお客様もいます。なお、美容師とは異なり、資格がなくても着付けを行うことは可能です。
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着付け師になるにはどんな資格が必要?国家資格の着付け技能検定やそのほかの民間資格について紹介
色彩検定
色彩検定は、色の基礎的な知識・配色・ビジュアル・ファッションなど、色に関する幅広い内容を学ぶことができる公的な資格です。文部科学省の後援を受けて「公益社団法人色彩検定協会」が実施しており、1~3級とUC(色のユニバーサルデザイン)級があります。
美容師の業務でも色の存在は欠かせません。お客様に似合う色を考えるにあたって役立つ資格なので、興味があればぜひ学んでみましょう。
ヘアケアマイスター
日本ヘアケアマイスター協会が主宰する資格で、美容師や理容師として働いている人が対象です。「ヘアケアマイスター」は3段階のコースの最上位資格で、ほかに「プライマリーコース」「ミドルコース」があり、コースによって出題範囲が異なります。
ヘアケアマイスターの試験内容は、「毛髪の健康」「ヘアケア剤」といったベーシックなものから「カラーパーマ」「スキャルプ・皮膚化学」まで幅広いです。また、ヘアケアマイスター資格には2次試験もあり、コミュニケーションスキルが問われます。
管理美容師
美容師法の定めにより、2人以上の美容師が在籍する美容室では、衛生管理のために管理者の存在が必要とされています。美容師免許取得から3年以上美容業を行っていることが受講資格です。管理美容師としての所定の講習を受けると、修了証をもらえます。
将来自分の店を持ちたいと考えている人は、スタッフを雇う可能性もあるので、持っておくことがおすすめです。
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管理美容師の免許とは? 資格取得に必要な2つの条件や将来性、廃止のウワサなどについて解説
引用元
公益財団法人 理容師美容師試験研修センター|管理理容師・管理美容師の概要
ビューティ・コーディネーター
JBCAが実施しており、美容・エステティック・メイク・ブライダルなど「美」に関するさまざまな職業を目指す人が、実務に必要な知識や問題解決力を身につけることを目的とした検定です。
1級と2級があり、カウンセリングの基本・応用知識や顧客データの活用に関する知識、毛髪・肌のケア知識などが出題されます。1級は合格率15~20%と難関なので、しっかり勉強して備えましょう。
引用元
NPO法人日本ビューティ・コーディネーター協会|ビューティ・コーディネーター
働きながらでも目指せるおすすめの美容師養成施設・コース
美容師免許は、働きながらでも取得することが可能です。ここでは、仕事をしながら学べるおすすめの美容師養成施設の夜間・通信課程をご紹介します。
東京文化美容専門学校|夜間部
東京都江戸川区にある美容師養成施設の夜間課程で、都内にありながら学費が比較的安いのが特徴です。求人が多いため就職率が高く、都内にある有名サロンへの就職もしやすいのも魅力といえます。
夕方からの体験入学では、学校説明や個別相談を受けることも可能です。ていねいな指導で評判のある教員が多く在籍しているので、安心して学べます。
東京美容専門学校|美容通信科
東京都新宿区にある美容養成施設。通信課程は「非従事者・昼間コース」と「従事者・昼間コース」の2種類から選ぶことが可能です。毎週おこなわれるスクーリングは専任教員によるマンツーマンの授業なので、通信課程でもしっかり学べます。
国家試験対策のトレーニングも用意されているので、合格率が低いといわれている通信課程でも安心して国家試験に臨めるでしょう。
鎌倉早見美容芸術専門学校|美容学科 通信教育課程
神奈川県鎌倉市にある美容養成施設の通信課程。就学年数は3年、スクーリングと報告課題36通を提出すると、卒業見込みの判定を受けることができます。
美容師免許国家試験の直前には集中講義があり、オープンキャンパスでは学校見学と個別相談のほか、カット、ヘアアレンジ、 ネイルなど幅広い美容体験ができます。
中日美容専門学校|通信科
愛知県名古屋市にある美容養成施設で、通信科「美容室勤務コース」は美容サロンで働いている人を対象としたコースと、会社に勤務しながらや学生をしながら学べる「一般コース」の2つです。
「美容室勤務コース」では、3年間で51日のスクーリングがあり、3年目には国家試験受験対策授業も無料で受講できます。
また「一般コース」では、週に一度出校することで、3年間の合計で122日ほどスクーリングで受講でき、卒業するときに受ける就職サポートを入学前に受けることも可能です。
NRB日本理容美容専門学校|夜間部美容科
大阪府大阪市にある美容師養成施設であり、16時からはじまる夜間課程には社会人や学生が多く在籍しています。夜間部とはいえ、昼間部と同じカリキュラムで2年間学ぶことができ、Wスクールでの登校や社会経験を持った学生も多いのが特徴。
オープンキャンパスでは、学校見学や体験メニューだけでなく、学費や奨学金、支援制度などに関する相談も可能です。就職サポートも充実していて、模擬面接や就職セミナーなどに参加できます。
高津理容美容専門学校|理容科・美容科 通信課程
大阪府大阪市にある美容師養成施設で、美容師国家試験を徹底的に分析して作られた独自の教材を使って学べます。在籍する教員たちもていねいな指導で評判が高く、美容師国家試験の合格率も全国でもトップクラスです。
オープンキャンパスでは、さまざまな体験をすることができ、ハロウィンやクリスマスのイベントも企画されています。また、なかなか足を運ぶ余裕がない方でも、スマホやパソコンで参加できる、Webオープンキャンパスも開催されているので、遠方の方や忙しい方も安心して参加できるでしょう。
ハリウッドワールド美容専門学校|美容・理容通信コース
福岡県柳川市にある美容師養成施設で、通信コースは4月・10月に入学が可能です。高校生や大学生も受講しやすいようにカリキュラムが組まれているので、高校1年で入学すれば卒業と同時に美容師免許を取得することができます。
スクーリングは1年間のうち一度、1カ月に4日間のスクーリングを受講すれば、あとの月は一日だけの受講でいいコースと、夏休みなどの長期休暇に15日間だけスクーリングを受講すれば、他の月は受講しなくていいコースが用意されているのが特徴です。
休みがとりづらい社会人やWスクールの学生でも受講しやすいでしょう。
美容師として活躍するには資格が必要!自分に合った課程を選ぼう
美容師になる夢を実現させるためには、美容師養成施設で十分に学び、資格を取得することが必要です。仕事をしながらでも美容師資格を目指せるので、自分に合った課程を選び、免許取得に向けて勉強に励みましょう。
美容師の仕事は代替がきかない技術職。美容室だけでなく、さまざまな美容分野での活躍が可能です。また、着付け技能士やビューティ・コーディネーターなど、他の資格を持っておくことで、さらに活躍の場は広がるでしょう。
美容師免許の取得は、現在社会人として働いている方や学生の方でも目指せます。通信課程や夜間課程のある美容学校で、美容師免許取得を目指してみてはいかがでしょうか。
引用元
e-Gov|美容師法
厚生労働省|まつ毛エクステンションによる安全性の確保について
理容師美容師試験研修センター|免許の概要