美容師の仕事に将来性はある?時代に合った働き方のためのポイントも紹介

これから美容師を目指す人や、すでに美容師として働いている人にとって、美容師という職業の将来性はかなり気になることでしょう。

本記事では、美容師をとりまく状況や将来性と、時代に合わせた働き方を実現するためのポイントを紹介します。

美容師をとりまく現状

美容業界でもお客様のニーズが多様化し、ヘアサロンの施術内容にも変化が見られてきました。そのなかで、病気・障害・高齢など、特別な事情があり直接サロンに来店できない方の自宅・病院・施設などに出向いて施術を行う「訪問美容」の需要も高まっています。

そのため、これから美容師を目指す人も、すでに美容師として働きはじめた人も、長く活躍していくためのキャリアを考える必要があるでしょう。ここでは美容師の置かれている現状について解説します。

店舗・美容師数ともに増加傾向

厚生労働省が公表する「令和5年度衛生行政報告例」によると、2023年度末時点で27万4,070件。前年に比べ4,000件以上の増加です。

美容所の増加は2023年度だけではなく、過去5年間、下記のように年々増え続けています。

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

美容所数

254,422

257,890

264,223

269,889

274,070

前年比

-

+3,468

+6,333

+5,666

+4,181

また、美容師の人数も増えており、2023年度末時点での従業美容師は579,768人。この人数は2022年度末の571,810人から約8,000人増加しています。

引用元
厚生労働省| 令和5年度衛生行政報告例の概況 生活衛生関係
厚生労働省| 令和5年度衛生行政報告例の概況 統計表6 生活衛生関係施設(者)数, 都道府県-指定都市-中核市(再掲)別
厚生労働省| 令和4年度衛生行政報告例の概況 統計表7 生活衛生関係施設(者)数, 都道府県-指定都市-中核市(再掲)別

美容師の仕事の将来性

これから美容師を目指す人も、すでに美容師として働きはじめている人にとっても、今後どのように状況が変わる可能性があるか、気になるところでしょう。

ここでは、美容師という職業の将来性について紹介します。

AIに仕事を奪われる?

美容師の仕事にもロボットやAIが活用されはじめています。たとえば、カットした髪をお掃除ロボットに片づけさせたり、ヘアスタイルの選定の際にAIによる画像生成を利用したりといったことも可能です。

とはいえ、高度かつ専門的な技術を要する美容師の仕事を、すべてAIやロボットが行なうことは難しいかもしれません。髪の状態やお客様の細かなニュアンスや好みを、美容師のように短時間で汲みとることは難しいためです。

また、温かみのない機械的な施術を好まないお客様は、美容師の施術を希望するでしょう。会計などは自動化するサロンもでてくるかもしれませんが、美容師自体のニーズは今後もなくならないと考えられています。

高齢者向けのサービス需要が高まる

人口割合の多い団塊の世代が後期高齢者となった昨今、美容業界でも高齢者向けのサービスの需要が高まっています。具体的には、「自分で美容室やヘアサロンへ行くのが難しいので、美容師に自宅や病院へ来てもらいたい」といった訪問美容のニーズの増加です。

今後は、介護施設や自宅に訪問して髪を整える「訪問美容師」や、介護を必要とする人に施術を行なう「介護美容師」「福祉美容師」などの需要がさらに高まるでしょう。

介護美容師については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

介護美容師として働くために必要な資格とは?資格の取得方法や費用について解説

将来性がないと言われる理由

完全な自動化が難しいことや、高齢者向けのサービスでの需要の高まりなど、美容師は今後も無くなるとは考えにくい職業です。しかし、美容師には「将来性がない」という声もあります。

なぜ「将来性がない」と言われるのか、その要因を2つ紹介します。

労働環境の厳しさ

美容師は、長時間にわたる労働や身体への負担などから、離職率が高い傾向にある職業です。

サロンの営業時間外にも開店準備や片付け、アシスタントへの指導など、美容師は拘束時間が長いケースが多いです。さらに忙しい日は十分な休憩時間が取れないこともあります。

また、立ち仕事からくる足腰への負担や、シャンプーやカラー剤などによる手荒れなど、身体的な負担もあります。

これらの労働環境も一因となり、美容師の離職率は離職率が高い傾向にあるため、「将来性がない」と言われることがあるようです。

アシスタント期間の収入の低さ

美容師免許を取得してサロンに就職しても、お客様への施術を行えるようになるまでは、アシスタントとして勤務する期間があります。スタイリストとしてデビューするまでにかかる期間は個人の技量やサロンの状況にもよりますが、2〜4年が目安です。

アシスタント期間中は、サロンの営業時間外にシャンプーやカットの練習をすることが多いですが、その練習時間は業務ではないため、残業手当の対象とはなりません。

さらにアシスタント期間はインセンティブ等がないため、収入が低い傾向にあることから、美容師を「将来性のない職業」と捉える人もいるようです。

時代に合わせた働き方を実現するためのポイント

美容師としての将来性を意識して、時代に合わせた働き方を実現するためのポイントを紹介します。

キャリアプランを考える

美容師として活躍し続けていくためには、キャリアプランを考えて、スキルを磨いていくことが大切です。時代の流れやお客様のニーズの変化を読みつつも、どんな立ち位置を目指していくのかを明確にしておくことで、目標に向かって迷わず進めるでしょう。

最後の目標はどこ?|店長・独立開業など

美容師のキャリアは基本的に、アシスタント・スタイリスト・トップスタイリスト・店長という順でアップしていきます。トップスタイリスト以上になると、独立を考える美容師も少なくありません。

美容師は基本的に立ち仕事で、掃除など日常業務での肉体労働もあります。年齢とともに、体力的な問題から今後の働き方を検討する方も。

ただ日々の業務をこなすのではなく、自分の最後の目標を決めて、目の前の仕事に取り組んでみることが大切です。

スキルアップを目指そう|セミナー参加・資格取得など

現場に立ち続けるにしても、経営側に移るにしても、美容師としての高水準な技術は欠かせません。美容師として活躍し続けたいならば、若いうちからスキルアップを目指しましょう。

施術のスキルアップとしては、メイクやネイル、まつ毛、ヘッドスパ、エステなどの資格がおすすめです。また、接客・集客・情報収集力の向上も、美容師としてのスキルアップにつながります。

さまざまな働き方を検討する

かつては「美容師が独立する」というと、自分のサロンを開業して経営することを指しました。しかし、現在は自分のサロンを持たない「フリーランスの美容師」という働き方も選べます。

フリーランスの美容師とは、業務委託で会社と個人契約をして働いたり、予約を受けたときだけシェアサロンなどを借りて施術をしたりする美容師のこと。

フリーランス美容師を目指すなら、リピーターのお客様との信頼関係を維持し、新たな顧客を獲得できる高い技術力を習得する必要があります。

業務委託契約で働く

業務委託で働く美容師は、契約内容によって仕事の範囲が異なります。指名のお客様への施術や対応のみの契約であれば、空いた時間は自分で自由に使うことも可能。時間を確保し、スキルアップや新規のお客様の開拓に専念できます。

ただし、業務委託契約は事業主同士の契約になりますので、労働法が適用されません。公的健康保険や公的年金は自分で加入しなければならず、雇用保険も対象外です。働いている美容室やヘアサロンの福利厚生も利用不可です。

業務委託については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

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業務委託のメリットを最大限に活用。時間と収入を味方に希望の仕事を続ける【フリーランスのライフスタイル ヘアメイク・粟野千里さん】
業務委託の美容師とは? 業務委託で働くメリットと注意点を紹介

面貸しを活用して働く

指名のお客様がいるときだけ、営業中のサロンの一面を借りる働き方です。雇用されて働くよりも自由度が高く、リピーターのお客様の人数によっては高収入が期待できる働き方です。

>>【求人を探す】面貸ししている美容室

一方で、顧客がなかなかつかなければ、安定した収入をえるまで時間がかかるでしょう。また、健康保険や年金などの社会保険には自分で加入しなければならず、なんらかの理由で働けなくなると収入が途絶えるおそれがあります。

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面貸しとは? 業務委託やシェアサロンとはどこが違うの? 美容師とオーナーのメリットと注意点を紹介

シェアサロンを活用して働く

シェアサロンは、施設内のすべての施術スペースがシェア利用を前提としている施設です。フリーランスの美容師は、そのスペースを活用して、自分で集客を行いながら美容師として活動できます。

働き方としては「面貸し」に似ていますが、営業中のサロンで空いている席を借りる面貸しに対し、シェアサロンはすべての施術スペースがシェア用となっている点が大きな違いです。

関連記事
シェアサロンとはどんなお店?面貸しや業務委託との違い|メリット・デメリットとあわせて人気の運営会社も紹介

訪問美容師として働く

訪問美容師は、自分でサロンに行くことが困難な状況にある人のもとを訪ねて、カットやカラーなどの施術を行う美容師です。

フリーランス美容師だけでなくサロンに所属しながら訪問美容師として活動するケースや、訪問美容を専門にしている会社に所属して施術を行うケースもあります。

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訪問美容師になるには? 目指す方法とおすすめ資格を紹介

資格を取得してトータルビューティーに対応!

美容師法では、美容師に対して、カットやパーマ・カラーといった美容師施術のほかに、メイクやまつエクの施術も認めています。つまり、美容師免許があれば、多彩な美容施術を提供できるということです。

近年では、ひとつのサロンで総合的に美しくなれるトータルビューティーサロンに注目が集まっています。まつエクやネイルなどをマスターし、トータルビューティーに対応できる美容師を目指すことも可能です。

引用元
厚生労働省 美容師法の概要

トータルビューティーサロンについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

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働く女性に必要だったのは「トータルビューティーサロン」というスタイル【uka代表 渡邉季穂さん】#2

まつエク施術のためのおすすめ資格

まつエクの施術を行うためには、美容師免許が必須です。そのほかの資格は必ず持っていなければいけないというわけではありませんが、取得していることでお客様に安心感を与えられるでしょう。

まつエクに関する民間資格はさまざまありますが、なかでも知名度が高いものが「まつ毛エクステンション技能検定」と「JEAまつ毛エクステンション技能検定」です。

いずれかを取得することで、 まつエクの施術を行うための知識と技術があることを証明できます。

引用元
JECA一般社団法人日本まつ毛エクステンション認定機構|技能検定試験
一般社団法人日本アイリスト協会|JEAまつ毛エクステンション技能検定試験概要

ネイル施術のためのおすすめ資格

ネイルの施術を行うにあたっても、資格取得は必須ではないものの、取得していることでお客様の信頼につながるでしょう。

ネイルは行う施術の内容によって資格が異なります。ポリッシュやネイルアートのスキルを証明したい場合は「JNECネイリスト技能検定」、ジェルネイルの施術スキルを証明したい場合は「JNAジェルネイル技能検定」の取得がおすすめです。

引用元
公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター|ネイリスト技能検定試験とは
NPO法人 日本ネイリスト協会|JNAジェルネイル技能検定試験

自らをプロデュースして発信しよう!

美容師としてお客様を獲得し続けていくために、SNSやYouTubeなどを利用して自らをプロデュースして発信していきましょう。

たとえば、自分が施術したスタイリングの写真をSNSで投稿すると、技術力をアピールできます。YouTubeに自分の動画を載せると、親近感を持ってくれたユーザーが来店してくれるかもしれません。

文章はもちろん、写真や画像の撮影・編集までスマホだけで行なえるので、タイムリーでホットな情報を発信していけます。

SNSを使った集客術については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

関連記事
【フリーランスのライフスタイル】菅井悠人さんのSNSを使った集客術

自分に合った美容師求人を探すなら「リジョブ」がおすすめ!

美容師の労働環境や待遇は、サロンによって大きく異なります。将来性を意識して働ける環境を手に入れるには、職場を変えることもひとつの手段でしょう。

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正社員やパートだけではなく、業務委託求人や、独立支援があるサロンの求人情報も掲載しています。検索条件も充実しているため、希望に沿った求人を見つけやすいでしょう。

さらに、希望条件を登録しておくことで、企業からスカウトされる可能性もあります。

美容師は将来性のある仕事! 自分に合った働き方を探そう

美容室やヘアサロンは長年増加傾向にあり、飽和状態のようにも見えます。その一方で、お客様のニーズや美容師の働き方が多様化してきました。そのなかで、今後も需要が見込まれているのが、訪問美容師や介護美容師、福祉美容師です。

ほかにも、美容師はフリーランスや業務委託、シェアサロンといった働き方を選ぶことができ、時間を有効に使えるうえに高収入を狙えます。

時代に合ったキャリアを選択すれば、美容師として長く活躍し続けることもできるでしょう。

将来のキャリアにつながる職場を探すなら、さまざまな雇用形態の美容師求人を掲載している求人サイト「リジョブ」の利用がおすすめです。会員登録をして希望条件を登録しておくことで、企業からスカウトを受け取ることができます。

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