美容師が成長していくために!ノートを使ってレッスンを振り返る
若手美容師は覚えるポイントが多く、自分なりの工夫をしなければ情報を取りこぼしてしまいます。自分が忘れないようにするため、先輩にやる気を示すため「レッスン用ノート」を使うようにしましょう。先輩から指導を受けたときにはノートに書き込むようにすると同じミスを繰り返さなくなります。また、後から自分でも復習ができるので自主練習にも役立ちます。ここでは、美容師のレッスン用ノートに書き込む内容や注意点をまとめました。
美容師のレッスン用ノートにはどんなことを書くの?
美容師のレッスン用ノートは「上手くいったポイント」と「失敗したポイント」を中心に書いていきます。美容の仕事は感覚的な部分が大きく、「上手くいったときの感覚」を覚えておくと成長は早くなります。そのため、できるだけ多くの成功体験を記憶に留めておけるようにノートをつける習慣は大切なのです。
先輩やお客様から褒められたことがあるなら、積極的にノートへと記しましょう。また、自分の中で手応えがあった瞬間もノートに残していきます。たとえば、いつもカラーに手間取っていた美容師がいるとして、たまたま上手くいった瞬間があったとします。しかし、「上手くいった理由」を分析せずに流していてはスキルが身につきません。ノートに書く習慣があれば、「いつもと何が違うのだろう」と深く考えるでしょう。そして、理由を言語化するうちに自分のスキルを客観的に自覚できます。1人の時間で練習をしていてもノートをチェックするとコツをつかみやすくなるのです。
成功体験と同じくらい、失敗の体験も忘れてはいけないポイントです。美容師の仕事では基本的にミスは許されません。それでも、経験の浅い美容師はどうしてもミスを犯してしまいます。せめて同じミスを繰り返さないようにするのはプロとしての義務でしょう。しかし、忙しい毎日では「自分はどんなミスをするのか」さえも忘れてしまいます。また、目の前の業務をこなしていくのに精一杯で、客観的に自分を振り返る余裕がありません。やる気がある美容師ほど「早く前に進まなければ」という意識が働くので、より基礎的な技術が疎かになってしまうケースもありえるのです。レッスン用ノートは他人から指摘された内容を留めておくのに有効です。ノートに書くことでミスの経験が強く記憶に刻まれますし、冷静に自分自身を見直せます。また、指摘してくれた先輩に対して「反省している」というアピールもできるでしょう。
そのほか、同僚や顧客の情報、店のシステムを覚えるためにもノートは役立ちます。人の名前や顔を覚えるのが苦手なら、ノートに細かく特徴を記していきましょう。ノートはコミュニケーションを円滑にする手助けもしてくれます。一見ささいな情報でもとりあえずノートに書く癖があれば、「一度言われたことは忘れない」美容師になれます。”
ノートの取り扱い方にも気をつけよう
ノートを効果的に使うには取り扱いも学んでいきましょう。たとえば、自分にとって「見やすい」ノートを用意することが肝心です。メモ帳や大学ノートでも十分にレッスン用ノートの役割は果たせます。ただし、そのままレッスン内容を書き込んでいくだけでは雑な見た目になりますし、見返したときも内容を思い出せません。「このメモにどんな意味があったのだろう」と混乱してしまう恐れもあります。そこで、ノートにはあらかじめ線を引いて「成功体験についての欄」「注意されたことについての欄」などを決めておくと見やすいノートが出来上がります。また、日にちや時間で区切って仕事内容を思い出せるようにしておくと、復習のときに活躍します。システム手帳を使うのもおすすめの方法です。システム手帳はカレンダーやメモ欄などがはっきりとそなわっているのでシンプルで整然とした記録ができます。サイズもコンパクトなので、仕事中でも邪魔になりません。
レッスン用ノートは「常に持ち歩く」ことが理想です。仕事中もすぐに取りにいける場所に置いておくのがベストです。美容院ではどんな作業で発見があるか予想できません。施術はもちろんですが、お客様とのふとした会話から成長のきっかけをもらえることもあります。また、先輩からたくさん指示を出されたときに頭の中だけで覚えておくのは困難でしょう。ノートが手元にあると忙しい中でも「洩れ」が減りますし、確実に教えを吸収できます。また、手ぶらで指導を聞いている美容師よりも真剣にメモを取っている美容師の方が、先輩の立場から見ても安心です。職場での信用を得るためにもノートを家やロッカーに置き忘れないよう注意しましょう。
ノートが数冊にまたがっていくのはいい傾向です。それだけノートを使う習慣が定着してきた証だからです。ただし、ノートは「古くなったら捨てていい」ものではありません。過去のノートは自主練習で使える「教科書」のようなものです。昔のノートでも、基本的なスキルを振り返る際には必要です。ノートには日付や番号を振って「いつからいつまで使っていたノートなのか」を分かるようにしておきましょう。そして、ロッカーやデスクの引き出しなど、紛失しない場所に保管しておくといざというときもすぐに取り出せます。
ノートを書くだけでなく整理してスキルアップに役立てる
スキルアップを目指すには「書くだけ」のノートを卒業して、さらなる工夫を取り入れましょう。忙しい中でつけるノートが「情報を書くだけ」になるのは仕方がありません。そこで、休憩中や帰宅後にノートを振り返る時間が必要です。書き殴ったようなメモもあるでしょうが、意味が分かりにくい文章は自分の言葉で書き直し、時間が経っても内容を理解できるように変えていきます。また、蛍光ペンを使って重要な部分にマーカーを引くのもいいでしょう。
レッスン用ノートを有効活用するには、あえて「詰めて書かない」のもテクニックです。余白を作ってしまうと「ノートがもったいない」と思うかもしれません。しかし、余白があれば後から自分の言葉を書き足していけます。たとえば、先輩からカットのやり方を注意されたとしてノートに記した場合「いつまでに自主練習をするか」などの予定も書き込めます。そもそも、文字が詰まりすぎているノートは読みにくくなりますし、ノートをつけるときには整理の段階まで配慮しながら使うようにしましょう。
イラストを利用するのも非常に効果的なノートです。落書きやキャラクターではなく、施術を図解で説明するようなイラストは具体的にポイントを示せるのです。カットやヘアアレンジは文字情報でパーツを伝えようとしても、文章量だけが増えて分かりにくくなります。時間が経ってから読み直しても意味が伝わらない説明も多いでしょう。イラストがあればすぐにパーツを理解できるので、文字以上のレッスン記録になります。
ノートを編集する努力も大事です。ノートを日常的につけていくと、ノートの冊数はどんどんたまっていきます。中には何度も同じ内容が出てきたり、関連性のある内容が日数をおいて記録されていたりします。こうした内容が別々のノートに収まっているのは復習のときに手間です。そこで、新しいノートに大切な項目だけをまとめていくとより見やすいレッスン用ノートが誕生します。「カット用」「カラー用」「人間関係用」とレッスンのジャンルごとに「まとめノート」を用意しておくとなおいいでしょう。美容師の成長速度は1人の時間で決まります。1人の時間で濃密な努力をできた人が力をつけていく世界です。自主練習で力を伸ばすために、指針となるレッスン用ノートを充実させましょう。”