美容師として積み上げてきたものを大切に『Oto』
枚方駅から徒歩5分ほどの距離に2017年7月にオープンした『Oto』。程よく植物が配された洗練された内装と、丁寧でしっかりした接客と施術から、枚方で高い人気を誇る店舗です。前編となる今回は、オーナー兼スタイリストの吉田雄人さん自身の話とOtoオープンまでの経緯を伺いました。
顧客と自身の活動の為に、一度の挫折を経てついに独立!
――まずは吉田さんが美容師を目指すことになったきっかけについて、教えていただけますでしょうか?
「きっかけは初めて美容室に行ったときですね。地元の美容室に当時好きだったアーティストの写真を持って行ったのですが、本当に写真そのままにしてくれて。たぶん純粋に、すごいなと感動したんです。そのときのことがあって、高校を卒業した後は美容専門学校に進むことに決めました」
――美容師になってからの歩みはどういったものだったのでしょうか?
「ここを開く前は一社に13年ほど勤めていました。そこでは3店舗を経験したのですが、3店舗目に移動する際に26歳で初めて店長になりましたね」
――独立について考えだしたのはいつ頃だったのでしょうか?
「初めて独立を意識したのは29歳の時です。当時のお店が駅から徒歩20~30分ほどと少し不便で、わざわざ足を運んできてくださるお客様のこともあって独立を考えたのですが、結局その時は心が折れてやめてしまいました(笑)。ただ、自分がやりたいこと、例えばデザインを通してお客様に満足していただきたいという想いや、並行してクリエイションにも力を入れていくことなどを考えると、やはり自分でお店を持つしかないなと。そのころには、いざ開店してみれば不安に感じている集客やスタッフの問題も自ずと解決していくだろうと、だいぶ楽観的になっていましたから」
関わった人にとってなくてはならない“音”になる
――ビルの5階の、ある意味隠れ家的なテナントにはこだわりがあったのでしょうか。
「お店探しの条件としてお客様が通いやすいかどうかを大切にしていて、駅に近い現在の物件を見つけました。ビルの5階で道から店内を見ることができないデメリットこそあったものの、インスタなどのSNSを中心とした集客を考えていたので、それほど迷うことなく決定しましたね」
――植物が多くてとても雰囲気のいいお店ですね。
「落ち着ける空間にしたくて、もともと好きだった植物を内装に利用しようと考えました。予算のこともありましたが、やはり店としての色や武器は必要ですよね。当店のコンセプトは『音楽と植物』なのですが、出来る範囲で工夫していった結果、現在のような内装に。結果としていいものになったかなと満足しています」
――コンセプトの音は店名にもなっていますよね。どういった想いが込められているのでしょうか?
「音は生きているうちのどんな状況にもあって、生きていく上で欠かせない存在ですよね。お客様やスタッフの気持ちや気分に寄り添った、その人のライフスタイルに無くてはならない“音= Oto”になる、そんな意味を込めてみました」
――お客様はどういった方が中心なのでしょうか?
「新規のお客様はやっぱり20代の方がほとんどですが、顧客全体で見ると50代の方も多く、幅広い年齢層のお客様がこのお店を支えてくれています。以前勤めていた店舗でスタイリスト時代の僕を気に入り、今でも通ってくれているお客様には本当に感謝してもしきれませんね」
――なるほど、スタイリストとして積み上げてきたものが、現在の『Oto』に繋がっているわけですね。では、一人のスタイリストからオーナーになってみて何か変わったことはありますか?
「やはり責任感は大きく変わりました。あとは、寛容になったこと。『いろんな考えの子がいるんだ』ということに、ようやく気づけたので(笑)。ちなみにスタッフの一人は前の店舗から僕についてきてくれた子で、以前の僕を知っています。ものすごく厳しくて、怖かったとか。いろんな個性の子たちを、それぞれのステージでどう育てて活かしてあげようかと思えるようになったので、うん、寛容になれましたね(笑)」
OPENから間もない『Oto』では、美容師として『ちゃんとする』ことがとても大事なそうです。後半では吉田さんのクリエイション活動や、美容師の在り方への考えについて伺います。