フリーランス美容師の確定申告は必要?青色申告・白色申告の違いや経費にできるものもチェック
美容師の仕事をするなかで、確定申告について気になっている人も多いのではないでしょうか。実は、多様化する美容師の働き方において、確定申告をしなければならないパターンがあります。
そこで、どんな場合に確定申告の必要があり、どのような流れで手続きを進めればいいのかについて解説します。また、申告の種類を比較し、おすすめの方法も伝えるので、ぜひ参考にしてみてください。
美容師は確定申告をしないといけないの?
美容師の働き方にはさまざまなものがあります。そのなかでも、企業に雇用されて美容室などで働いている場合は、基本的に確定申告を自分で行う必要はありません。では、美容師はどのような場合に確定申告をしなければならないのでしょうか。
フリーランスの場合は確定申告が必要
実は、美容師のなかでも面貸しや業務委託などのフリーランス形態で働く場合は、確定申告が必要です。収入や支出(経費)の計算をして、納めるべき税額を算出します。なお、従業員を雇っていると、自分ひとりのときよりも計算が複雑です。
確定申告で行う手続きについては、次章で解説します。
確定申告のやり方・流れ
改めて伝えると、確定申告とは、1年間の収入から経費などを差し引いた「所得」から納入すべき税金額を計算し、税務署に申し出る手続きのことです。毎年2月16日~3月15日の間に、前年分を計算して申告します。
下記のような流れで行うので、フリーランスで美容師をしている人はしっかり押さえましょう。
引用元
申告手続の流れ|国税庁
1. 必要な書類を準備する
まず、給与所得や公的年金等の源泉徴収票の原本・医療費の領収書等・社会保険料(国民年金保険料)や生命保険料などの控除証明書といった、申告に使用する書類を用意します。
また、業務に関する支出の詳細がわかるもの(領収書やクレジットカードの明細など)も必要です。
2. 申告書類に必要な内容を記入する
確定申告の方法には、手書きとオンラインがあります。手書きの場合は、申告書を国税庁のホームページからダウンロードして印刷、もしくは税務署でもらってください。オンラインの場合は会計ソフトを使って入力すると早いです。
申告書を手に入れたら、前項で用意した書類や明細も随時参照しながら、住所・氏名・収入・支出など、必要な項目を埋めていきましょう。項目によっては、計算が必要な場合もあります。
3. 提出する
申告書の記載が終わったら、手書きの場合は税務署への持ち込みや郵送で、オンラインの場合はe-Taxのサイトから提出します。本人確認書類や保険料の控除証明書など、添付すべき書類も忘れずにつけてください。
引用元
〔平成28年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(確定申告書B用)〕 申告書に添付・提示する書類|国税庁
青色申告と白色申告、フリーランス美容師にはどちらがおすすめ?
確定申告には青色申告と白色申告の2種類が存在します。実際には、確定申告にどちらを使っても問題はありません。しかし、それぞれ申告に伴う控除に差があり、場合によっては数十万円の差にもなる可能性があります。
では、フリーランス美容師にとって青色申告と白色申告はどちらが向いているのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットを解説し、その結果から判定します。
青色申告のメリット
青色申告の最大のメリットは、要件を満たすことで、最大65万円の税控除を受けられる点です。
収入額から控除額を差し引いて、残った額から税額を出すというのが日本の確定申告の方法ですが、65万円もの控除が受けられれば、収入額が大きいほどメリットと感じやすくなるでしょう。
また、赤字を3年繰り越せる(黒字分と相殺できる)、家族への給与を経費として差し引けるというメリットもあります。
青色申告のデメリット
青色申告のデメリットとしては、事前に青色申告承認申請書の提出が必要な点。申請書を提出していなければ、青色申告は行えません。また、青色申告は白色申告に比べて提出書類が多く、複式簿記での記入が必要なため簿記の知識が求められるうえ、記帳も複雑です。
白色申告のメリット
白色申告のメリットは、単式帳簿のため、青色申告よりも手続きが簡単な点です。青色に比べて非常に楽に申告を終わらせることができるため、時間がない人や、還付金がなく収入も少ない人は、白色申告でも問題ありません。
白色申告のデメリット
白色申告では事前の申請が不要で、簡単な帳簿や損益表の提出だけで手続きを完了できますが、楽な代わりに、青色申告のような大きな額の特別控除が受けられません。とくに収入が多い人は、引かれる税金が高くなります。
また、収入が増えてきたら青色申告に切り替える人が多いため、どうせなら最初から青色申告で慣れておくほうがいいのではないでしょうか。
フリーランス美容師には「青色申告」がおすすめ!
ここまでの内容を総合的に見た結果、65万円の特別控除や赤字の繰り越し、お金の知識の習得ができる点から、フリーランス美容師が確定申告を行う際には青色申告のほうがおすすめです。
計算がむずかしく、どうしてもやり方がわからない場合には、税務署に相談したり、税理士や会計士を雇ったりして協力してもらう方法もあります。
フリーランス美容師が経費として落とせるもの
フリーランス美容師が確定申告を行う際に、経費として計上できるものには、以下のようなものがあります。
・消耗品費:ハサミ・コーム・シャンプー・タオルなど
・地代家賃・水道光熱費:店舗の家賃・水道や電気やガスの料金
・広告宣伝費:ホームページの維持管理費用・予約サイトの利用料・広告出稿費など
・新聞図書費:お客様が読むための新聞や雑誌などの購入費用・自分が美容の勉強のために使う本などの購入費用 など
自宅サロンの場合は「家事按分」が適用される
フリーランス美容師として自宅で美容室を開業している場合は、家賃や水道光熱費などを経費にすることが可能です。「家事按分(かじあんぶん)」と呼ばれるもので、自宅にかかる費用の全額ではなく、仕事で使用している部分の割合を計算して出します。
仕事で着る服の費用は経費になる?
美容師は、美容やファッションと密接な関係がある仕事です。そのため、身だしなみに気をつかっている人も多いことでしょう。
では、美容師が仕事中に着用する服の代金を経費にすることは可能なのでしょうか。実は、店のロゴが入ったエプロンや制服のように、仕事専用の衣装であれば経費として計上することができます。
しかし、服に関しては判断が分かれることも多く、仕事でもプライベートでも着るような私服は、基本的にはNGです。税務署を説得できるだけの材料がない限り、経費として計上しないほうが良いでしょう。
フリーランスの美容師はきちんと確定申告をしよう
フリーランスの美容師は確定申告が必要で、申告時には、最大65万円もの特別控除を受けられる青色申告を利用するのがおすすめです。手続きの方法や経費にできる項目もお伝えしたので、できるところから準備を始めてスムーズに確定申告を完了させましょう。
もちろん、「自分には白色申告のほうが向いている」という人は、白色申告でもかまいません。正確な申告を行い、自信を持って美容師の仕事を続けてください。