エステティシャンの独立 心のカウンセリングができるサロンに Vol.18【柳田式インドエステ Rise 代表 柳田きよみさん】#2

美容業界で働く上で「独立」という目標を持つ人は多いはず。そんな人に向けて、独立して成功されている先輩オーナーの経験談をお届けする本企画。

前回に引き続き、お話を伺ったのは「柳田式インドエステRise」代表の柳田きよみさん。一人商売とはいえ、地域住民の協力があってこそ成り立つことに早くから気づけたのだそうです。ローカルな街で開業するには、流行の発信地とはまた違う戦略が必要になるということを教えていただきました。

後編では、なぜ「柳田式インドエステRise」では涙を流す女性が多いのか、その理由を探ります。「心のケアができるお店に」という想いがベースになった、スタッフの採用基準やお客様との向き合い方を教えていただきました。

エステティシャンとしての理念に共感できるスタッフを採用

――柳田さんは現在、もう一人のスタッフさんと一緒にやられていますよね。求人を出されたのでしょうか。

そうです。広瀬という女性スタッフなのですが、自由が丘に移転したときから一緒に働いてくれています。彼女はデパートの高級サロンに勤務していたベテランエステティシャンで、リラクゼーションやフェイシャルを得意としてきた人。一方、私は下町で口コミを中心に痩身専門でやってきた人。経歴もお客様層も全然違うけど、それが彼女を選んだ理由の一つでもあるんです。せっかく採用させてもらうなら、自分が持っていない知識や経験を持っている人が良かったんです。

私は新しく開拓するのが得意だったので、同じように開拓精神を持っているよりも、私にはない視点や経験で「こうしたらもっと良くなるんじゃないか?」と枝を広げてくれるような人を求めていたんです。だから、広瀬は大正解でしたね。

――運命の出会いだったのですね。広瀬さんと出会うまでお断りした人は多かったのでしょうか。

結構な数の応募がありました。結果として経歴のある広瀬が来てくれたわけですが、極論、エステの経験や知識、技術を持っていない人でも構わないと思っていたんです。「お客様を良くしたい!」ということに喜びを感じられるような心を持っているかどうかということが、もう一つの採用基準でした。

亀戸にいた頃、がんセンターでマッサージのボランティアをしていたことがあって、心のケアと体への効果など、マッサージの可能性を見出すことができました。そして、エステティシャンとしての使命感やモチベーションを高めることができたんです。ボランティアを通じて「エステの力を感じる」という経験もスタッフの研修になるんじゃないかと。「ボランティアでマッサージをしたい!」という前向きな人と一緒に働けたら嬉しいなとずっと思っていたんです。技術は自分が一から教えることができるけど、そういう精神は私が教えて身につくことじゃないですからね。

――技術以前に、エステティシャンとしての理念に共感できる人ということでしょうか。

根底に「人を良くしたい」という気持ちがあることが大切だと思っています。お客様が心も体も笑顔もトータルで良くなって帰っていく様子を見るのが嬉しくて楽しくて仕方ない! という気持ちを持っていることが絶対に大切だと考えています。

心理カウンセリングのような施術に

――「柳田式インドエステ」はどのように生み出されたのですか?

最初に勤めていたインドエステサロンの手技がベースになっていて、そこにアーユルヴェーダの資格を持った先生の講習会で学んだ知識や、がんセンターで学んだキネステ療法という機能改善のマッサージと、リンパ浮腫の第一人者の先生によるリンパ浮腫の方の施術法を取り入れ、整形外科医に手技チェックをしてもらい、さらに進化させたのが柳田式エステです。

私は、「医療」に心が寄っている異色のエステティシャンだと思います。「美」だけでなく「健康的に」ということがセットになっているので、今でも医師や看護師の助言やアドバイスがもらえているという環境に感謝しています。近頃は、口コミで「あそこに行くと調子が良くなる」と言われるようになって、美容だけではなく体調不良に悩む方が口コミでいらっしゃることも増えました。

――柳田さんの想いやこれまで経験されてきたたくさんのことが詰まっている技術なんですね。

ちなみに、インドエステって日本で生み出されたものなので、世界のどこにもないんですよ。アーユルヴェーダのオイルマッサージ「アヴィヤンガ」に美容要素を取り入れたもの、といったところでしょうか。他のマッサージの良いところを全部融合していこうという感じ。私もスタッフも本当に良い施術を提供しているという自負があるので、私たちのモチベーションが下がらないんです。

――「柳田式」をつけたことにも狙いがあるそうですね。

実は私、どこにいても目立ってしまうというか…。病院勤めをしていた頃も一事務の中でも目立っていたし、学生時代も先輩に目をつけられることが多くて(笑)。目立つということがコンプレックスでもあったんです。

でも、そのコンプレックスを逆に活かそうと思いました。注目を集めるのが得意な自分自身を「インドエステ Rise」を広めるためのツールとして使うことにしたんです。HPのブログで自分を前面に出しているのも目立ちたがりというわけではなく、意識して書いているんです(笑)。私はお客様への思い入れが強く、表現もオーバーなので、そういった自分の特性を今は活かしていこうと思っています。

玄関に置かれた像のオブジェ「ライ神」には、「お客様自身の力で輝いてほしい」との願いが込められているのだとか。鼻先に手をつなげてパワーをもらって帰る人も!

――お客様と接する上でどんなことに気をつけていますか?

お客様との信頼関係が大切だと思っています。だから「このセラピストさんだったら私の体を良くしてくれるだろうな」「私のダイエットの力になってくれそうだ」と信頼してもらうことが大切。Rise(ライズ)では、カウンセリングや施術を通して、本当のお悩みは体からなのか、それとも心からくるのかを読み取るようにしています。

最近では、美と健康にプラスして「心のケア」にも力を入れています。悩みがあって、そのせいで体の循環が悪くなっている方も多く、「何か苦しんでいらっしゃるんですか?」と聞くこともあります。「心と体の両方が軽くなった」と口コミをいただくことが増えて、今の私はカウンセラーに近いのかも。

私は雪崩で生き埋めになったことがあって、骨折は半年で治りましたが、心の傷を克服するのに3年かかりました。恐怖で電車にすら乗れずに吐いてしまう。そんな自分を責め、外傷性の鬱とPTSDで自殺を考えていた日々。そんな闇から新たなことにチャレンジする自分になれた経験が今、お客様へのカウンセリングに役立っています。

――お客さんの悩みに共感できる、お悩み相談のような施術なんですね。

ご来店したお客様が泣いてしまうことも少なくありません。「施術しないでカウンセリングを受けたい」というご要望も増えてきたので、「柳田のカウンセリング」という予約枠も開設しました。心と体はつながっています。だから、私は心身両方のデトックスが大切だと考えています。

――エステは、精神的に苦しんでいる人を救える一つの手段になり得るのですね。柳田さんにとってインドエステの魅力とは何でしょう?

最近のエステは機械が主流になっているじゃないですか。痩身にばかり目が行ってしまいがちですよね。でも、インドエステは全身の巡りを良くして、自分で毒素を排出する力をつけていくものなので、美容にプラスして健康的にもなれるんです。人間いつかは死にますが、最期まで自分の歯で食べられて、自分でトイレに行けて、自分の足で歩けて。そういう人生のお手伝いを「インドエステ」を通してできるのではないかと。

精神面から不調になる人はたくさんいます。毎日笑っていてもどこか苦しいと感じている人、自分のことを好きになれない人が実はたくさんいらっしゃって、そういった心がもとで体に不調が出る方もいらっしゃいます。柳田式インドエステは代謝を上げるマッサージですが、それだけではなくて、心もきちんとリラックスできる要素(ハーブや薬草、カウンセリングなど)をどんどんプラスしていけたらと思っています。その方にとって本当に必要な施術になるように。

――それが、「インドエステ Rise」が女性たちの心の支えとなっている理由なのですね。

でも、実はインドエステってかなり体力を使う激しいマッサージなんです。学生時代、私はバスケットボールをやっていたし、広瀬はサッカーをやっていて、意外にインドエステは体育会系セラピスト。歳を重ねれば体力的にこの仕事を続けていくのが難しくなるので、ゆくゆくは「柳田式インドエステ」を広げていく方へ力を注ごうと考えています。「インドエステって何だろう?」と思って来店される方も多くて…。美容と一緒に健康にも良いインドエステがまだまだ認知されていないなと実感し、「これは広げたい‼︎」と思っています。

インドエステ協会をつくるために

――これからの目標を教えてください。

とてもたくさんあるんですけど(笑)。

まずは、この「インドエステ Rise」を自由が丘で長く愛されるお店にすること。エステサロンの激戦区で入れ替えの激しい地域でもあるので、とにかくご来店くださったお客様お一人おひとりを大切にし、心を込めて施術とカウンセリング、応援をしていくことが大切だと考えています。

そして、私もスタッフの広瀬も幸せになること。お客様にご満足いただくことは当然のことですが、スタッフも同じように幸せにしたいと考えています。お給料や福利厚生などの物質的な豊かさはもちろん、やりがいや自己成長などの精神面での豊かさも大事にしたい。自分が幸せじゃないと、心身ともにパワフルな施術ができませんからね。

そして3つ目が、「インドエステ協会」を立ち上げること。免疫力の低下や体の不調がコロナの症状に影響する今、自分の体を良い状態に保っておくことは非常に大切です。高齢化社会が進み、保険料が値上がりすることで気軽に病院に行けなくなる未来も予想される中、「未病」という考え方はこれからどんどん普及していくと思います。そういう今こそ、インドエステを広める活動をしていく時だなと。インドエステ協会について調べたら日本にまだないみたいで、「あ! これは! 私の使命じゃない?」って思ったんです(笑)。

――協会をつくるとはやりがいのある目標ですね。

協会の立ち上げ方や運営方法の経験や知識を持っている方のご協力を得ることが最初の課題ですね。インドエステはアーユルヴェーダがもとになっているので、アーユルヴェーダ協会から承認や提携などの何かしらの形で繋がりを持った協会にしていきたいと思っています。

そういった協会運営の経験がある方や、医師・看護師の方にもご協力いただいて、ぜひ実現していきたいと思っています。

――協会を設立されたら、まずはどんなことに取り組みたいですか?

以前、アメリカ人と中国人のエステティシャンを施術したときに「私の国にはこんなのないよ! 海外でやったら絶対にヒットするよ!」と大絶賛してくださったんです。アメリカでエステを経営している方からは、「一度アメリカに来てほしい。クライアントに話したら柳田式の施術を受けたいと言っている」と具体的にオファーをいただき、コロナがなければ夏に一度渡米しようと思っていました。柳田式インドエステは世界に通用する技術なのか確認したかったんです。手応えがあればインドエステ協会を立ち上げて、日本だけでなく世界へ発信することも視野に入れていきたいなと。普及活動にも精力して、良い技術をたくさんの人に広めることをやりがいにしていきたいです。

独立をめざすあなたへ

コロナで、会社に行かなくても家で仕事ができると気づいた今、これから個人事業主が増え、フリーランス開業のハードルが下がっていくと思います。だからこそ大切にしてほしいのは、自分が情熱を持ってできる仕事かどうかということ。独立をすれば定時という概念はあまりないし、夜中だろうと休日だろうと関係なしにお客様の対応を含めて仕事をしていくことになります。プライベートと仕事の境界がなくなるからこそ、やっていて苦じゃないということが大切です。あとは勇気と情熱。私も「もし失敗したら…」と思いましたが、勇気を出したからこその今があります。

そしてもう一つ大切なのは、応援し、力を貸してくださっている方への感謝と、自分が周りの人の力になれることがあれば積極的に行動すること。今なら、副業しながらはじめるとか、エステだったらレンタルサロンや自宅兼サロンなどの方法もあります。SNSや、無料で配信できるツールもあるし、リスクを負わないやり方はたくさんあると思うので、どんどんチャレンジして日本を元気にしてほしいと思います。夢に向かって頑張る方を心から応援しております。(柳田式インドエステ Rise 柳田喜代美さん)

▽前編はこちら▽
エステティシャンの独立 町会に入って地域活動に参加したことが、亀戸の方々に受け入れてもらえたきっかけに Vol.18【柳田式インドエステ Rise 代表 柳田きよみさん】#1>>

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/岩田慶(fort)

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Salon Data

柳田式インドエステ Rise

住所:東京都目黒区自由が丘2-20-24 NOA自由が丘101
TEL:03−6884−5920

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