わかりやすいキャラで美容情報を発信し7カ月でフォロワー1.7万人を突破!美容師・りょうさんのTwitter戦略
今や美容師にとってSNS発信は当たり前の時代。ですが、SNSに参入する人が増えれば増えるほど、フォロワー数を増やすのは簡単なことではありません。そんななか、美容師には珍しくTwitterでSNS発信を始め、開設から5カ月でフォロワー数1万人を突破、さらにその後2カ月で1.7万人を達成した美容師がいます。それが名古屋で「SELAh HAIR DESIGN」を営む美容師のりょうさん。
前編ではその緻密なTwitter戦略について伺いました。バズるきっかけとなったのは、「市販のシャンプー比較」。しかしただ情報をつぶやいていただけでは、情報が消耗されるだけだと気付いたそうです。ポイントはキャラクターを活かしながら発信すること。そうすることで、本当の意味でのフォロワーが増えていったといいます。
今回お話を伺ったのは…
りょうさん
美容師・「SELAh HAIR DESIGN」代表
名古屋で一店舗を経て、25歳で独立。「SELAh HAIR DESIGN」を開く。2021年4月からTwitterを本格稼働しはじめ、5カ月でフォロワー数1万人を突破。「美髪のプロ」を名乗り、さらにその後2カ月で1.7万人に。
Twitter:りょう|美髪のプロ
布団のなかで見るような気軽に読める「市販のシャンプー比較」で、バズる
──Twitterに「市販のシャンプー比較」を投稿し、バズったそうですね。そのような投稿をするようになったきっかけは?
夜寝る前に布団でゴロゴロしながら見られる内容を投稿しようと思い、考えた結果です。
元々は美容師向けのビジネスっぽい内容を投稿していましたが、まったく伸びず(笑)。そこから研究を重ねていたときにTwitterは気楽な気持ちで見る人が多いSNSで、ビジネスっぽい内容はウケないということに気付きました。
さらに美容師に向けた発信ではターゲット層がかなりせばまり、人数が少なくなってしまうので、もう少し広い範囲に発信できないかとも考えていたんです。そこで思いついたのが、みんなが知らない美容の情報をいかに自分の言葉で発信するかということです。
──そこからシャンプーの比較ツイートが誕生した、と。
はい。フォロワーさんのことを徹底的に考えたときに、美容情報を押し付けたり、教えてあげるという上から目線ではなく、「寄り添い」が大切だと思ったんです。だからひとつの商品の良さを伝えるより、レビューくらいのほうがいいなと。
妻と一緒にドラッグストアに行ったときに、たまたまずらっと並んだシャンプーが目に入り、ふとこれを試してレビューを載せたらみんなに喜ばれるかもしれないと思ったのがきっかけです。9本を買い、それぞれ自分が使ってレビューを書きました。このツイートによってフォロワーが1000人になりましたね。
それ以降、費用をかけなくても、美髪になれる情報をコンセプトに、「美髪のプロ」として発信を続けています。敬語はやめ、強い言葉での発信により、ファンを獲得
──りょうさんのTwitterは「ねえねえ」、「あのね」など友達に呼びかけるような言葉で始まるツイートが印象的ですが、なぜそのようにしているんでしょうか?
よりキャラクターを感じてもらうためです。最初のバズを起こすことができたあと、僕の悩みは美容情報のbotアカウントになってしまったことでした。ツイートは見てもらっているけど、リプもこないし、僕のアカウントという意識を持っている人は少なかったと思うんです。そこでTwitterで知り合いになった不動産系の投資会社をやられている「まさにぃ」さんに相談させていただいたところ、情報にも人格を出すべきというアドバイスをもらいました。インターネットで検索して出てくるような情報ではなくて、自分のことを、もっと強くささる言葉で発信していかないと本当の意味でのフォロワーが増えないよ、と。
それまでは普通に「ですます」調だったのですが、熱い思いを持って語り掛けるキャラを押し出すために、敬語は辞めました。発信する内容もお役立ち情報だけではなく、自分の信念や思いも中心に発信するようになりましたね。
──りょうさんの信念は?
「コンプレックスは個性」が僕の信念です。僕自身、自分の髪が強力な天然パーマで何もしないとアフロになってしまい、コンプレックスが強かったんです。でも中学生のときに通っていた美容師の方が、いろいろなことを教えてくれて、ほとんど天パで悩むことはなくなりました。この原体験によって、コンプレックスがある方の悩みを僕の美容情報で救ってあげたいという思いがありますね。
強い言葉で発信するようになると、アンチコメントがつくこともありますが、これはある意味、自分の認知が広がっている証拠だと思うんです。Twitterにはクラスターがあって、自分の所属しているクラスター内にしか認知されていないうちは、批判を受けることもありません。でも別のクラスターに飛んだときには違う考え方の人が多いので、批判されることもある。自分の考えや認知が広がっていく段階でかならず、マイナスな意見を向けられることもあるのではないかと。でもそれを恐れて当たり障りのない言葉でばかり発信していても、自分という人間をわかってもらえることはないので、SNSで発信をしていくなら避けては通れない道かなと思います。
Twitterはキャッチボール。求められているボールを投げればかならずかえってくる
──Twitterのフォロワーが増え、どのような変化がありましたか?
集客が目的で始めたわけではなかったのですが、やはり認知度が広がり新規のお客さまは増えました。店舗の情報のリンクも貼っていないので、どこでやられているんですか?というDMの問い合わせがたくさん来ます。
また既存のお客さまにもより自分のことを知ってもらうことができました。一美容師から「りょうさん」に変わった気がしますね。さらに、Twitterを通して自分のマーケティング的視点もかなりきたえられたと思います。
──マーケティング的視点とは、具体的にどんなことですか?
Twitterは結局のところ、キャッチボールだと思うんです。フォロワーさんが求めている情報を投げることができれば、リツイートやリプという形でちゃんと球を投げ返してくれるので。美容室の経営も同じで、顧客が求めているところに球を投げれば集客という形で結果が出ます。 大切なのは求められていることを見極める目なのかな、と。
Twitterを徹底的にやったことで世界が本当に変わったなと思います。自分自身、何事にも注げる力が100あったら50,60じゃなくて100全部注ぎ込んで、ダメならすぐ変えるサッパリした性格なので、そこも良かったのではないかと考えています。何よりもTwitterを通して大切なことを教えてくれた師まさにぃさん、airの木村直人さんのおかげです。初期の頃からずっと僕のツイートを気にかけてくれてました。自分に何が足りないんだろう?という改革のきっかけに。おふたりがいなければ、今の自分はないです。
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りょうさんがTwitterのフォロワーを短期間で獲得した3つのポイント
りょうさんがTwitterのフォロワーを短期間で獲得したポイントは以下の3つでした。
1. ビジネス路線の発信ではなく、気楽な気持ちで見られる美容情報を発信にした
2. 「ねえねえ」など友達に呼びかけるようなツイートで、キャラクターを印象づけた
3. インターネットで検索できるような情報発信ではなく、思いや信念を込めた
後編では25歳で独立し、経営を安定させているりょうさんにそのコツを伺いました。ポイントは3つの逆張り。美容師としての信念、出店場所、SNS戦略と、ブルーオーシャンに飛び込むことで成功してきたといいます。なかでもおしゃれな人に向けた発信はしないというその信念は、興味深いものがありました。後編もお楽しみに!