【転職経験者が語る】エステティシャン未経験でも採用される志望動機とは【原田育代さん|私の就職活動】#2
エステティシャンとしての美容業界歴20年という、大ベテランの原田育代さん。体育大学卒業後、教員のお仕事から未経験でエステティシャンに転職をした珍しい経歴の持ち主です。
20年という節目の今年、大阪難波でご自身のサロンをオープンされるということで、前半ではこれまでの経歴や、独立に至るまでのお仕事への想いを語っていただきました。
後半では、200人の部下を抱えていた管理職経験をふまえ、採用担当目線での履歴書・面接対策や、エステの資格取得に対して原田さんがおこなってきたこと、これからエステティシャンを目指す方へのアドバイスを教えていただきます。
お話を伺ったのは…
原田 育代(IKUYO HARADA)さんん
体育大学卒業後、教員を経てエステティシャンに転職。
未経験のところから10店舗200人の部下を持つ管理職に。しっかり結果が出るマッサージスキルに加え、体育大学出身ならではの体作りや食事指導を組み込みながらの外面・内面トータルでの体質改善サポートに定評がある。
お客様第一主義を貫き、エステティシャン歴20年の節目となる2022年4月に自身のサロンをオープン。
現在はサロン運営の傍ら、エステスクールの技術講師としてもマルチに活躍中。
原田さんのサロン:194’s beauty salon
Instagram:(@ikuyo_teru)
3回の転職を経てエステティシャン歴20年目にして独立を決意
――教諭からエステティシャンだと業界未経験で、志望動機もなかなか難しいと思うのですが、履歴書や面接対策で意識した部分ってどんなことでしょうか?
とにかく未経験という部分をカバーするために、面接時の志望動機や自己PRではやる気をストレートにアピールしました。「体力には自信があります!何でもやります!根性なら負けません!」といったように、体育会系のイメージそのままです。
体をケアすることや触ることは好きだったので、未経験ではあるが体のケアに興味があるという考えは面接官にしっかりと伝えました。
私はエステサロン勤務時代マネージャー職にも就いていたので、採用する立場も経験したことがありますが、やはりきちんとやる気を見せてくれる方は、未経験であっても長く働いてくれることが多く、教え甲斐があります。
あとは、エステティシャンに関わらずどの採用試験でもいえることなのですが、履歴書の字を丁寧に書いているかどうかもすごく人柄がでますね。達筆ではなくても丁寧に書いていればそれが履歴書から伝わってくるので、面接でお会いしてみたいなという気持ちになります。
意外とできていない方が多いのは、面接の際時間を守る、所作に気を付ける、身だしなみを整えるといった、社会人として最低限のマナーです。当たり前のようですが、採用面接をしていると、それができていない方は少なくありません。
エステティシャンは、世間的なイメージはキレイなお姉さんであり、お客様からこの人に相談したい、こんな風になりたいと思わせることが理想です。なので、志望動機以前に所作含めて『自分が商品になるという認識』を持てる人材であるかどうかは、採用する上での見極めポイントですね。
私は複数回転職していますが、1社目で管理職を任されるポジションにまでいったことで、現場でお客様を接客する楽しさを知り、数字管理の大変さも学びました。
色々な立場を経験したからこそ、転職の採用面接時は経験者目線で「現場でお客様の施術をしたい」という想いを、きちんと志望動機として意思表示できたんだと思います。私の場合は、転職でスキルアップしながら徐々に求めるかたちのイメージができ、最終的に独立というところまでたどり着きました。
エステティシャンの資格取得ではやりがいと得意分野を分析すべき
――エステを含む美容業界への転職にあこがれる方は少なくありませんが、エステティシャンはどういった方が向いているのでしょうか?
エステティシャンは接客業なので、一番に思い浮かぶのがコミュニケーションですが、私自身が実は人とのコミュケーションについてはあまり自信がない方でした。それでもここまでの経験値を積めています。
施術中、人には話しにくいお悩みの相談が出ることも多くて、経験値があがるにつれてお客様から話を自然に引き出す力がついてきました。コミュニケーションに関しては、話術というよりは、お客様が求めているものを感じ取る『聴く力』の方がエステティシャンには重要かもしれません。悩みを打ち明けてくれる信頼関係があったからこそ、指名も伸びたのだと思います。この信頼関係の構築はカウンセリングの質にも直結するので売上にも影響します。
ご自身で話し上手ではないと感じる方も、しっかりと話を聴くという部分を伸ばせれば接客自体は問題ないと思います。
――原田さんは、しっかりと経験を積みながらの転職ですが、仕事以外で自主的に資格所得をしたり、就職活動の対策をしたことはありますか?
とりあえず、どの転職の際も一通り技術も接客もできる状況だったので、専門学校に通ったりお金をかけてスキルアップするというよりは、現状のスキルで就職できるところを探していました。エステティシャンもCIDESCO(シデスコ)など資格がいくつかありますが、転職の際に資格がなくて困ることはありませんでした。
私の場合は新卒ですぐに入ったサロンも研修が手厚かったし、転職したサロンも外部から講師も招いてくれて社内でスキルアップの講習をおこなってくれるところでした。そのエステサロンの方針にもよりますが、会社によっては社内でしっかりと資格取得のサポートなど研修制度を設けているケースもあります。
――社内の資格取得などのサポート体制については会社によって特色があるようなので、特に未経験での応募の場合は、面接の際にもどのような研修をされているのか確認すると良さそうですね。
資格取得をしていなくても施術や接客は問題ないと感じますが、お客様からは資格や肩書がある方が安心してもらえます。特に規模の小さな個人サロンの場合はその傾向が強いです。
私は専門学校へは通っていませんが、個人サロン在籍時に、美整メイクマジックという新たな手技を学びました。手技を学ぶ費用はは数万~数十万円とスクールの質や内容によってピンキリです。
私の場合はもともとはスキルアップ目的で資格取得しましたが、今回の独立に並行して、そのスクールの認定講師としても活動することになりました。資格取得することでスキルアップだけでなく、講師資格を得られるものもあるので、働き方の幅を広げるという意味で考えても個人的な学習は良いと思います。
特に、私のようにゆくゆく独立したいと考えている方は、何か自分の肩書になるような資格取得を考えてもよいかもしれません。私が独立を機に取った資格はフェミンヌというフェムケアの資格ですが、膣ケアや女性ホルモンについてのアドバイスができるようになったことで、私だからこそできるケアの形が出来上がってきました。
確実に言えることは、美容専門学校での授業内容よりも、実地訓練の方が確実に身につきます。たくさんの人数をこなしたい方、1人とじっくり向き合いたい方、ホームケア商品の提案が得意な方、現場から離れてマネジメント側に回りたい方、将来的に独立したい方など、同じサロンにいても価値観は十人十色です。
資格ありきで転職を考えるというよりは、自分がやりがいを感じたり得意だと思える方向性を深堀りしていくことがまず大事だと思います。そのうえでスキルアップに必要だと感じるものを勉強して、補填していくやり方が良いと思います。
お客様の内面までアドバイスできるエステティシャンは売上が高い
――エステティシャンと一括りにいても色々な働き方がありそうですね。
原田さんは業界歴20年とエステティシャンの中でかなりベテランの域に入ると思いますが、長年やってきてエステティシャンに特に必要な要素みたいなものはあるんでしょうか?
まずは体に触るのが好き、人を癒したりキレイにすることにやりがいを感じるというタイプの方は向いていると思います。美容の世界が華やかで楽しそう、という志望動機だけだと入社後にギャップを感じるかもしれません。ボディの施術は結構しっかりと動くので、体育会系の職種だと感じることもあります。
逆によくエステティシャン志望の方から聞かれるのは、キレイじゃないとエステティシャンにはなれないんでしょうか?という質問です。もちろんお客様にアドバイスをする立場なので外見が良いにこしたことはないのですが、必ずしもそうでなくてもエステティシャンにはなれます。特に肌や体型は入社後の努力でも変わりますし、肌荒れ克服やダイエットの経験がある方は、お客様の悩みに寄り添うことができるので、プラスになります。
先ほど資格取得の話もしましたが、私は女性特有の悩みに寄り添えるようになりたいと思ったので、技術のスキルアップではなく、フェムケアの勉強をして資格をとりました。
もちろん、最終的な目標としてはキレイになるためのお手伝いをしていくのですが、お客様が女性としても輝くきっかけになるような、そんなサロンにしていきたいと思っています。
お客様に寄り添うという目線はすごく重要で、たとえばストレスやホルモンバランスの乱れでのトラブルなど、内面からのケアが必要なお客様はすごく多いんです。ただ見た目をケアするだけではなく、お客様の悩みや根本的な原因にアプローチができると内面から変わっていきます。
それがお客様との信頼関係となり、指名やリピート、ホームケアの提案にもつながります。お客様に寄り添うという姿勢は、結果的に売上にも結びつくんです。未経験の方でこれからエステティシャンを目指す方はもちろんですが、経験者の方で伸び悩んでいる方は、しっかりとお客様に寄り添えているかを振り返ってみると良いと思います。
エステティシャンを目指す方へのメッセージ
――最後に、これからエステティシャンを目指す方々にメッセージをお願いします。
「エステティシャンは手に職が就く仕事です。美容業界にいくつかある職種の中でも、必須資格がないので、挑戦するハードルが低いのはメリットだと思います。
未経験の方の志望動機としては、やる気をしっかりアピールすることが大事ですし、繰り返しになりますが、履歴書や面接では自分が商品として見られるという意識をしっかり持って就職活動をしましょう。
経験者の場合は、自分の思い描く理想の働き方がある程度形になってくるので、色々なサロンに見学に行かせてもらったり、オーナーさんのお話を伺うというのも見分が広がり良いと思います。志望動機としては、今のスキルややりたいことをしっかりと整理して伝えることを、履歴書提出や面接の際に意識していきましょう。
私も入社後にこうじゃなかったという経験があるので、そういった食い違いがないように、面接時にしっかりと確認していくのが良いと思います。
あとはすべてのエステティシャンの方に、しっかりとお客様に寄り添う気持ちと自分を大事にする気持ちを持ってほしいです。お客様の悩みを汲み取るという意味でもそれは必要なのですが、自分の緊張やマイナスの気持ちは、お客様に触れる手を通してお客様にも伝わってしまいます。
『手当て』という言葉があるように、お客様のケアをしっかりおこなうためにも、自分の軸をしっかり持って自分自身を安定させる、そういった意識も大事にしてほしいですね。お客様が安心して施術を受けられるエステティシャンは、お客様との信頼関係を築きやすく、指名や売上につながっていくことで、しっかりと稼げるエステティシャンになります。
〈原田さんが実行した就職活動成功の鍵〉
1、履歴書や面接では自分が商品として見られる意識を常に持つ
2、経験者採用では複数サロンの見学をおこない、方向性や価値観が合うサロンを探す
3、技術だけではなく、お客様に寄り添い内面までケアする姿勢を忘れない
参考元:
OI method 美整メイクマジック 講座情報
一般社団法人フェミーユメソッド協会
ホルモン免疫栄養学