独立から13年、自身はもちろんお店としても成長を続ける極意 【CUPIDO Eyelash Designサロンマネージャー、アイリストじゅみさん】#1
自分の理想であるお店を作るために24歳で独立。三軒茶屋にある「CUPIDO Eyelash Design」のオーナーであり、アイリストのじゅみさん。
施術する上での技術はもちろん、とにかくお客様一人一人とのコミュニケーションを大事にしているとのこと。リピーター率が高い理由の秘訣がそこにあるのかもしれません。
前編では、アイリストになったきっかけやサロン立ち上げまでの経緯、店舗拡大が成功した秘訣などを語っていただきました。
教えてくれたのは…
「CUPIDO Eyelash Design」サロンマネージャーでありアイリストのじゅみさん
21歳の時にアイリストという職業に出会い、店舗での店長を経て24歳で独立。
「CUPIDO Eyelash Design」を三軒茶屋にオープンさせた。お客様の悩みや願いなど、根本の思いに寄り添った施術を大切にし、長年のリピーターも多数。
より自分の理想に近いお店づくりを…そして独立を決意
――これまでのご経歴を教えてください。
手に職ということが当時はあまり頭にはなく、ただ美容系にはすごく興味があったので新卒で美容クリニックの受付をしていました。そこで働きながらドクターが施術をしている姿を見ているうちに、自分も何か施したいという気持ちを抱くようになって。好きな美容を生かして何かできる事がないかなと思った時に、最初はネイリストになろうと思ったんです。
――ネイリストから始まっていたんですね。
それが、当時はネイルの学校が100万円近く必要だったのでこれは無理だ…と諦めました(笑)。ネイリストで検索をしていくうちに類似ワードでアイリストが出てきて、その時にピンときたんです。その後直ぐに会社に連絡をしてお話を聞きに行きました。そしたら社長さんが直々に面談をしてくださって「明日から採用ね」と。
――なるほど、それがアイリストとしてのスタートだったんですね?
はい。内容はまだよく分かっていなかったんですが「よし、やるか!」という気持ちで挑んだらどんどんハマってしまいました。当時はマツエクもまだ話題になる前。やり方を教えてくれる講師なども特にいなかったので、オープニングスタッフのみんなと試行錯誤しながらの日々でした。
でもそこから1年ほど経って自分について下さるお客様も増え、やっと自信もついてきて、そこからまた別の店舗に移り店長をやるようになった形です。
――そこからどのような経緯で独立に至ったのでしょうか?
2店舗目で店長として働いていたお店は、かなりハードワークでした。同時に2名の施術をすると言う時もあったり。ビューティーを提供しているはずなのに、それとは反対に自分の心はどんどん疲弊してしまって。お客様とコミュニケーションをうまく取る間も無く、モチベーションが下がったまま綺麗を提供し続けるのがすごく辛くなってしまったんです。
その時に“もっと自分の理想に近づけたお店を作りたい”と思い、独立を決意しました。
――そうだったんですね。
じゅみさんが理想とするお店とはどのようなものなのでしょうか?
そのお店は羅列式だったんですが、隣同士の会話も聞こえやすくあまり喋ってはいけない感じだったんです。ただそれだとお客様のお悩みやご要望をじっくり聞けないのもあり、ゆっくりとカウンセリングできる空間にしたかったので、自分のお店は個室にしました。一人一人との時間を大事にできるスタイルにしようと思ったのが一番です。
切り開いて行った道の先に見えた自信
――24歳という若さで独立したその行動力もすごいですが、店舗を拡大していけた秘訣は何だったのでしょうか?
私はどちらかというと、一人で黙々と仕事を進めていくのが好きなタイプだったので、正直このスタイルで良いかなと思っていたんです。ただ、当時はまだ結婚をしていませんでしたが、美容師である今の主人の影響がすごく大きくて。主人は、私に色んな価値観や人を育てていく力を身につけてほしいと思ってくれていたみたいで、その為には人を雇うことが大事だなと気づきました。
その時は、売上も順調にいっていてお店を出せる資金もあったので、この5年という節目にチャレンジしてみようと動いたんです。
今は隣の店舗で店を構えている主人と共同経営をしていますが、初期の頃は今の店舗の半分ほどのスペースで始め、2店舗目から徐々にスタッフとスペースも増やしていったという感じです。
――お隣が旦那さんの美容室と言うのも素敵ですね。今の店舗が3店舗目と言うことになりますか?
はい、そうです。1店舗目で5年、2店目も5年、今のお店が出来てからは3年目、ちょうど今週が周年になります。
――なんと、おめでとうございます!
ありがとうございます。なので独立してからトータル13年になります。
やはり維持が一番大変だなと…。ここの店舗をオープンした時はコロナ禍だったのもあり、その時は本当に未知で大変でしたが、とにかく先手先手で対策を考えて取り組みました。一部屋づつに空気清浄機を置いたりなど、衛生面でお客様が不安になる要素は全て無くそうと出来る限りのことをやって、それを伝えていたらまた来てくれるようになったんです。
――最善を尽くして行ったことが、きっと真っ直ぐ伝わったんですね。
独立されてから他にも苦労などはありましたか?
そうですね、全てが自分の責任になるので、何か起きた時にそのベクトルを自分に向けると言う作業が最初はすごく難しかったです。ついつい人のせいにしてしまいそうになったり、けどそれは違うぞと、そこに気づけるようになるまでには少し時間がかかりました。技術云々ではなく、自分といかに向き合えるかという精神的なところが私にとっては一番苦しかった部分ではあります。
――やっていく中で自分でも色々と気づいていけたんですね。
もう泣きながら(笑)。その時はそうでしたね。
当時、20代前半の子が一人でやっている店だったので、お客様が育ててくれたという感覚もすごくあります。今思えば、良い意味で厳しいこともたくさん言ってくださっていたなと。凄く良いお客様ばかりで、今でもそのお客様たちはずっと10年以上いらっしゃって頂いています。
――凄いです!それはもう、じゅみさんの人柄と関係性を築きあげられてきた結果ですね。
本当にありがたいことです。
当時、年齢よりも若干見た目が上に見えていたこともあったので、あたかも出来るような(笑)少し背伸びをしてしまっていたところもあったんです。ただ、背伸びしすぎるとやはり疲れてしまうので、その部分が一瞬ポロっとお店の中で見えてしまっていたんでしょうね。それを指摘してくださったこともあったり。今振り返れば、皆様のおかげで成長できていたんだなと思うことばかりです。
どんな状況でも常に真摯に向き合い、お客様とも寄り添うようにコミュニケーションを取っている形が信頼関係を築ける結果となり、今のじゅみさんの接客スタイルとして魅力的なものになっているのかもしれません。後編では、スタッフ育成、そして開発者としての顔も持つじゅみさんについてお話を伺っていきたいと思います。
取材・文/笠原由布子
撮影/SHOHEI