まだ未開拓だったデリケートゾーンのケア。認知度を上げるために起業を決意!【ピュビケアサロン白金台 得田由美子さん#1】

今回ご紹介するのは、日本初のデリケートゾーン専門のサロン『ピュビケアサロン白金台』。妹の美奈子さんが代表取締役、姉の由美子さんが取締役専務を務めています。得田さん姉妹がサロンを開業したのは15年前のこと。まだ日本にはフェムケアという言葉すらなく、デリケートゾーンの話=下品なことと思われていました。そんな状況のなか、なぜデリケートゾーンに特化したサロンを開設したのか、認知されていなかったパーツのケアがここまで認知されるようになったきっかけなどを、姉の得田由美子さんに伺いました。

お話しを伺ったのは…
ピュビケアサロン白金台 オーナー
得田由美子さん

大学卒業後、出版社、広告代理店などマスコミ業界を渡り歩く。外資系コンサルティング企業に勤務していた妹の美奈子さんとともに、2009年白金台にデリケートゾーン専門サロンを開く。美奈子さんは経営全般を、由美子さんはサロンメニューのコンテンツや商品開発を担当している。

デリケートゾーンのケアを本にする予定がサロン開業へ大きく転換

サロンは白金台駅近くのマンションの一室。アクセスの良さだけでなく、居心地の良い雰囲気も長く愛される秘訣のひとつ。

――サロンを開業なさった15年前は、まだデリケートゾーンのケアは注目されていませんでした。それなのになぜ、専門サロンに着目したんですか?

私も妹も仕事やプライベートで、よく海外へでかけていました。海外では行く先々でデリケートゾーンの脱毛を含めたケアは当たり前…というのを実感していたんです。美容の悩みと同じように話題にしていました。ところが日本ではまだ手つかずの分野。こんなに面白いコンテンツなら必ず注目を集める!と思って、「本にまとめよう」と思い立ったんです。

いろいろな出版社を回りましたが、どこも受け付けてもらえませんでした。セックスの特集は組んでも、女性のデリケートゾーンは下品でいやらしい話題だと思われていたんですね。

書籍化するのが無理なら、デリケートゾーンの情報を発信できる場所を作ろう!と、考え方を切り替えてつくったのが、このサロンです。

――起業は由美子さんがきっかけだったんですね。妹の美奈子さんはどのタイミングで合流したんですか?

ことごとく出版社に断られて、サロンをつくろう!と思い立ったときです。たまたま妹も会社を辞めて充電期間中だったタイミングで、私の話に乗ってくれました。妹は外資系のコンサルティング企業でITコンサルタントとして働いていたんです。ITのスキルは本当に役立ちました! これから起業するなら、絶対にITスキルはあった方がいい。知識があるだけで、いろいろなことができますから

――デリケートゾーン専門のサロンは日本では珍しかったですよね?

当時は脇や足の脱毛がメインで、オーダーがあればビキニラインの脱毛もできたようです。エステティックサロンでも脱毛のメニューはあっても、デリケートゾーンに特化したサロンはなかったですね。

デリケートゾーンに特化した脱毛ならブラジリアンワックスがいい、と私たちは考えていましたが、この方法はまだ日本では知られていませんでした。

――ブラジリアンワックスの脱毛技術はどうやって身につけたんですか?

日本と海外のスクールに通って勉強しました。そうは言っても、スクールで学んだ知識だけでは足りないんですよね。デリケートゾーンの形状や毛の多さ、毛質は人ぞれぞれ。友だちや知り合いに声をかけまくって、練習台になってもらいました(笑)。

妹は本当に器用で、あっという間にマスターしていました。私は細かな作業が向いていないようで、途中で諦めましたね(笑)。

――サロン名の「ピュビケア」はどんな意味があるんですか?

デリケートゾーンのケアを意味する英語、ピュービック ケア(pubic care)の略語です。
サロンをオープンさせた当初のメニューは脱毛だけでしたが、今は黒ずみやくすみのケア、婦人科系の機能を整えるケアなどデリケートゾーンの美容と健康を目指しています。

デリケートゾーン専門だからこそ路面店よりマンションの一室が通いやすい!

デリケートゾーンのケアだけに留まらず、婦人科系のトラブルにも着目。女性の大敵、冷えを解消するグッズも開発。

――サロンを白金台にオープンしたのには理由がありますか?

サロンの候補地として、銀座や青山、表参道あたりを考えていました。お願いしていた不動産屋さんが、たまたま最初に紹介してくださったのがここだったんです。実は私たちの家も白金にあって、妹とは「サロンは自宅に近いエリアがいいよね」と話をしていました。ちょうどいい距離感だったので、すぐに決めました。

――初期費用などはどうなさったんですか?

銀行から融資を受けず、自己資金だけで何とかしました。美容室と違って脱毛やマツエクなど私たちのようなサロンは、そんなに設備投資が必要ありません。起業を考えている若い方たちにも、どんどん参入して活躍して欲しいですね。

――インテリアもすごく凝っていて、こんなにおしゃれなのに自己資金だけですか?

最初からこの状態ではありません。少しずつ拡充していきました。昔からお付き合いのあるインテリアデザイナーさんに、サロンの開業当時から予算に合わせていろいろ考えていただいてます。

――ずっと同じデザイナーさんだから、全体の雰囲気が統一されているんですね。

看板のないマンションの一室だと、目立たなくて集客が大変だったのでは?

目立たないのは、メリットでもあるんです。デリケートゾーンのケアなので、通っていることをあまり大っぴらにしたくないですよね。マンションであればこそこそせずに通っていただけます。一度ケアを受けた方は、あまりの快適さに衝撃を受けて、お友だちに自慢してくださるようです。お友だちからお友だちに広まって、今につながっています。

――快適というのは?

生理中のニオイが気にならなくなったり、下着やストッキングで蒸れにくくなったり。デリケートゾーンを脱毛するだけで、QOLがものすごく高くなるんです。海外では脱毛することが一般的なので、何もケアしていない状態だと逆に驚かれます。

例えばイスラム教の国にはハマム(サウナ)があって、そこで年配の女性がデリケートゾーンのケアをしてくれるんです。韓国のあかすりと似ていますね。脱毛していないと「何でそんな不潔な状態にしておくの!」って、言われちゃうんですよ。

東アジアはお風呂の文化が浸透していて、脱毛していなくてもある程度は清潔に保てるのでそんなに必要性を感じなかったのかもしれませんね。

――最初はどんな方がいらっしゃったんですか?

モデルさんやセックスワーカー、パートナーが外国人という方も多かったですね。

書籍化は難しくても雑誌の特集記事にはよく取り上げていただきました。最初はファッション誌が中心で、「水着を着こなすためのデリケートゾーン脱毛」をテーマにした取材がほとんどでした。デリケートゾーンの美容と健康をテーマにした取材を受けるようになったのは、ここ数年のことですね。

ゼロから起業して、成功させる3つのポイント

1.まだ広く認知されていないコンテンツを見つけること

2.ITスキルを学び、磨いておくこと

3.資金が少なければ無理をせず、できる範囲で最高を目指す

デリケートゾーンをケアする意識がまったくなかった15年前、サロンをオープンさせた得田さん姉妹。後編では、デリケートゾーンの脱毛だけでなく美容と健康にまで施術の範囲を広げたいきさつ、女性経営者だからこそ受ける困難と乗り越え方、これからの展望などをご紹介します。

撮影/古谷利幸(F-REXon)

1
2
求人数3万件!リジョブで求人を探してみる

Salon Data

ピュビケアサロン白金台
住所:住所:東京都港区白金台4-5-7 サンストン白金台205
電話:TEL:03-6450-3434
この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事