客単価4倍を叶えたのは、失客を恐れない「攻め」のブランディング「ECLART CENTRAL 赤坂」まっきーさん

「ECLART CENTRAL 赤坂」でエグゼクティブディレクターを務める、美容師のまっきーさん。美大卒の美容師という異色の経歴を持ち、そのブランディングを前面に押し出したことにより、客単価4倍を叶えたといいます。

前編ではそのブランディングがどのように功を奏して、人気美容師となったのか。後編では逃げるように美容師を辞め、美大に入学したまっきーさんが、30歳で技術と向き合い今の地位を築くまでを伺います。

今回、お話を伺ったのは…

まっきーさん

美容師/「ECLART CENTRAL 赤坂」エグゼクティブディレクター
美容専門学校卒業後、都内サロン、関西でのカラーリストを経て、29歳で美大に入学。卒業後はデザイナーのかたわら美容師として仕事をしていたが、「美大卒の美容師」を打ち出したところ2カ月後まで予約が埋まるほど人気となり、美容師一本に。2022年、38歳のときに「ECLART」入社。現在は「ECLART CENTRAL 赤坂」エグゼクティブディレクターとなり、客単価は4倍を実現している。

Instagram:@mckee.eclart

価格に左右されない「美大卒美容師」というブランディングに成功

美大で培われた色彩感覚を武器に、カラーで人気を集めるまっきーさん

――客単価が4倍になっているそうですが、具体的にはどのようにして実現したのでしょうか?

大きな転機が2回ありました。ひとつは「ECLART」に入社する前に勤めていた低価格帯のサロンで打ち出した、「美大卒の美容師」というブランディングがささったこと。美大で培われた「色彩感覚を活かしたカラー」と「仕上がりのデザイン性」を集客サイトの前面に打ち出したところ、2カ月先まで予約で埋まる状態を作ることができたんです。この美大卒のブランディングの効果はとても大きくて、コロナ禍でお客さまがまったく来なくなったときも、「美大卒美容師がパーソナルカラー診断をする」という打ち出しにしたところ、コロナ禍の真っ只中でもお客さまがどんどん来てくださる状況を作ることができました。

――もうひとつの転機は?

「ECLART」に入社し、単価の見直しを行ったことです。「ECLART」では美大卒のブランディングと赤坂という土地柄にあわせ、1人ひとりに丁寧な接客を行うスタイルに変更しました。「ECLART」全体ではカットが4000円くらいの店舗もあり、そこまで高単価というわけではないのですが、自分のブランディングに見合うよう会社側と交渉して、池袋店では6000円、赤坂店には入ったときにカット8000円、指名料1000円とさせてもらうことになりました。以前働いていた低価格帯のサロンではカットが2,200円でしたから、今では4倍になっています

――価格をあげることによって、お客さまが離れていくことはありませんでしたか?

そういう方もいましたが、僕は新しい方向性に舵をきるためには、いいお別れだと思ってあまり気にしていませんでした。離れていくお客さまは金額重視の方だと思うので、その金額にあう美容師さんを探された方がいいと思いますし、金額があがっても僕を選んでくれる方は僕に価値を感じてくれている方だと思うんです。ちなみに低価格帯のサロンから通ってくれているお客さまもいらっしゃいますが、今はマンツーマンで丁寧に接客ができているので、価格があがったことを受け入れてくれています。

提案、企画、仕上がりを柱に、丁寧に顧客に向き合う

まっきーさんが在籍している「ECLART CENTRAL 赤坂」。ラグジュアリーな空間もまっきーさんのブランディングの1つとなっている

――丁寧な接客とのことですが、具体的にはどんなことを心がけていますか?

提案、企画、仕上がりを3つの柱にしています。なかでも僕の強みだと思っているのが「提案力」です。とくに初回のカウンセリングでは、髪のことで今まで悩んだこと、今扱いづらい場所はあるか、今後どんなスタイルにしたいかなど、細かくコミュニケーションをとっています。新規のお客さまの多くが、それまで通っていた美容室に不満があったはずなので、その部分のヒアリングを行い、解決を目指します

次に企画。これは次回以降の提案のことを指します。このとき私生活の悩みも加味しながら、提案することが多いです。たとえば仕事が忙しくて、彼氏とすれ違っているという人だったら、「パーソナルカラー的にイエベの春と夏もいけるから、春らしくピンクにしてみる?そうしたら彼氏もまた振り向いてくれるかもしれないよ」という感じで。このとき髪のことだけでなく、一緒に画像を見ながらメイクなどの提案をすることもあります。

――提案の仕方をお聞きすると、フランクなお話の仕方をされていますね。

僕の接客は「都会で働く田舎の美容師」をコンセプトにしており、お客さまと距離の近いコミュニケーションがとれることも強みだと思っているので、話しやすさ、フランクさは大切にしていますね。その話しやすさがあるから、いろいろな情報を引き出せますし、提案もささりやすくなると思っています。

僕が提案するときにもうひとつ大切にしているのが、楽しみながら提案すること。フランクに話すことで、ワクワクした空気もより伝わりやすいと思っています。そうすると、お客さまもワクワクできると思うんです。

ブランディングは、後からついてきたものほどうまくいく

ブランディングは、自分で決めつけない方がいいとまっきーさん

――仕上がりも大切にしているということでしたね。

はい。僕は提案のときに「これにはケラチンが入っていて…」とか「○○というカラー剤ではなくて○○を使うので2000円プラスになります」というような堅苦しい説明はほとんどしません。それは仕上がりに絶対の自信があるからです。技術のことなどを細かく説明するより、仕上がりで質感や色味に満足してもらう。それがお客さまの満足度や信頼感につながると思っています。

――どうやったら自分にあったブランディングは見つけられるのでしょうか?

自分で決めつけずに、いろいろな経験をして、あうものを選んでいくのがいいと思います。僕も低単価、高単価、厳しいサロン、少しぬるめのサロンなど色々と経験していくなかで、あとから振り返ってみて、自分に一番あった接客スタイルを見つけていったので。気が付くと長く続いていること、ほかの人から褒められることなどをベースに見つけていくといいと思います

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まっきーさんが客単価4倍を叶えた3つのポイント

1.「美大卒美容師」というブランディングをした

2.失客を恐れず、ブランディングにあった価格設定にした

3.提案、企画、仕上がりの3つを柱に顧客満足度を高めた

後編では29歳で逃げるように美容師を辞め、美大に入学したまっきーさんが、30歳で技術と向き合い、今の地位を築くまでを伺います。後編もお楽しみに!

Salon Data

ECLART CENTRAL 赤坂
住所: 東京都港区赤坂2-14-1 6F
TEL: 03-6770-1232
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