理念を正しく伝え、スタッフの意見を正しく聞く。「SENSE beauty salon」の強い組織を作る人材育成術

「SENSE beauty salon」のほか3店舗を経営している木田昌吾さん。前編では、コロナ禍での出店となった「SENSE beauty salon」の経営を、どのように成功させたかを伺いました。

後編では、木田さんが実践してきた強い組織作りについて伺います。業務委託サロンが増え、正社員として美容師を雇用するのが難しくなっていますが、木田さんが大切にしているのは理念について正しく伝え、スタッフの意見を聞くことだそう。また接客の柱を「元気、感動、つながり」の3つに置いている木田さん。社内ルールを作ったことで、やるべきことも明確になり、お客さまのリピートにもつながったといいます。

今回、お話を伺ったのは…

木田昌吾さん

美容師/「keep hair design」ほか3店舗のオーナー

大手ヘアサロン勤務を経て、父親が経営していた「Hair Boutique KEEP」を継承する形で2013年3月に「keep hair design」をオープン。2018年3月に「THREE by KEEP尾山台店」、2020年9月に「SENSE beauty salon自由化丘」、2023年5月には FC店「カラープラス旗の台店」と、10年で4店舗を出店。2020年「髪が女のすべてを決める」を出版するなど、

Instagram:@shogokida

正しい意思決定には、スタッフの意見が欠かせない

意思決定するときは、スタッフの意見を聞くように心がけているという木田さん

――業務委託の美容師も増えており、美容室が正社員のスタッフを雇用し続けるのも難しい時代になっていると思います。経営者として何か心がけていることはありますか?

スタッフに会社の理念を正しく伝え、スタッフの意見を正しく聞いたうえで、意思決定することです。僕は美容師を増やしていきたいという思いがあり、その目標を絶対にあきらめたくないと思っています。そのために店舗展開を続けているということを、分かりやすくスタッフに伝えるようにしていますね。そして「何かあったときは僕が全責任をとる」と伝えること。この信頼関係がとても大切だと思っています。

――コロナ禍前とはいえ、新卒を5人も採用できたのも素晴らしいですね。

美容専門学校を周ってくれる専門のスタッフを雇っていて、時間があるときは僕も一緒に学校を周り、先生方にあいさつをさせてもらっていました。専門学校の先生は大事な生徒を預けるわけですから、ただ流れてきた採用情報よりも、膝を突き合わせて話したことがあるというのは強みになったのかもしれません。10数名応募がありましたね。

――中途採用ではなく、新卒採用にこだわっている理由は?

絶対に新卒にとこだわっているわけではなく、いい人がいれば中途でも採用をしたいとは思っています。ただよっぽど人柄がいいとかキャリアを持っている人でないと中途採用には至らないので、そういう人が表れるまで待つ時間をコントロールできないんです。新卒の場合は育てるのには時間がかかりますが、いつ頃、独り立ちできるかを読みやすいという利点があると思っています。

また新卒を育てることで、ほかのスタッフが教育にあたり、成長できるというのも会社にとってはプラスだと思っています。アウトプットは最大の学びですし、責任感も身に着くので。会社全体が活性化することにもつながると思っています。

具体的な指示とルールでやることを明確に

「SENSE beauty salon」の店内。広く、スタイリッシュな空間も好評とのこと

――前編で、口コミの評価も高いと伺いました。接客や技術の面でスタッフの方に伝えていることはどんなことでしょうか?

元気と感動とつながりが高い評価を生んでくれると思っており、この3つの柱を徹底するように伝えています。ただ、お客さまに元気に対応しましょうとか、感動を生みましょう、と言ってもかなり抽象的で分かりづらいので、ある程度やることをルール化しています。

――具体的にはどのようなルールなのでしょうか?

元気という点では、あいさつと笑顔についてルール化しています。あいさつの面でいうと「いらっしゃいませ」は禁止で、時間帯によって朝は「おはようございます」、昼は「こんにちは」、夜は「こんばんは」とあいさつするのがうちのサロンのルールです。また笑顔に関しても7分咲き、5分咲き、3分咲きとわけています。お客さまを迎えるときは3分咲き、カウンセリングでは5分咲き、お客さまとお話しているときは7分咲きと設定することで、自分の笑顔についても意識できるようになるんです。

感動に関してはお客さまの名前を呼ぶこと、そして自分がお客さまの何にコミットできるかを伝えてから施術に入るようにしてもらっています。たとえば新人の場合だとシャンプーに入る前に「○○様が本当に気持ちいいと感じるようなシャンプーをさせていただきます」という感じです。元気と感動があれば、このお店とつながっていたいと考えてくれるので、結果的につながりも生まれると考えています。

活躍できる美容師を増やすため、前進し続ける

店舗を拡大することで、活躍する美容師を増やしていきたいと考えているそう

――最後に今後の目標を教えてください。

今後は店舗展開を加速していきたい思いがあります。ここまで10年で4店舗というペースでしたが、ここからは1年で1店舗ずつ出店していこう、と。今年出店したフランチャイズのカラー専門サロンと教育サロンの両方を軸にしながら、展開できればと考えています。

僕は美容師をしていた両親に育てられたので、美容業界に恩があると思っていて、やりがいをもって働ける美容師がもっと増えるように店舗展開を続けていきたいんです。そのために僕自身も、経営者として成長していきたいと思っています。


「SENSE beauty salon」が強い組織となった3つのポイント

1.会社の理念を正しく伝え、スタッフの意見を正しく聞いて意思決定をした

2.新卒採用によって、会社全体を活性化した

3.元気、感動、つながりを生む接客をルール化した

2017年に続き、木田さんの取材をさせていただき、木田さん自身が早いスピードで成長していることを感じました。明確なビジョンを持ち、進み続ける木田さんの今後から目が離せません。

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Salon Data

SENSE beauty salon
住所:東京都目黒区自由が丘1-7-15丸栄ビル5F
TEL: 03-6421-1564
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