サロンクオリティの商品「AI me」をクラウドファンディングで販売し、売上目標約400%を達成! AI TOKYOオーナー美容師・鎌形諒さん
渋谷エリアを中心に自身のサロン「AI TOKYO(アイトーキョー)」を3年で5店舗展開した株式会社P.B.代表の鎌形諒さん。本社機能や教育のカリキュラムを充実させることでスタッフがストレスなく働ける環境を作り上げています。急成長を遂げる会社ですが、4年後には80店舗を目指す鎌形さんにとってはまだまだ夢の途中だというお話を前編では伺いました。
後編では株式会社P.B.の新規事業である自社製品の開発と販売について詳しく伺います。多くのお客さまの手に届けるためにまずはクラウドファンディングから始めたとのこと。思わず購入したくなる商品の魅力とともに販売の戦略を教えてくれました。
今回、お話を伺ったのは…
鎌形諒さん
2016年に恵比寿ビューティーカレッジ専門学校を卒業。新卒でOCEAN TOKYOに入社し、当時最速の2年でスタイリストデビューを果たす。その1年後にはトップスタイリストに昇格。さらに1年後にはOCEAN TOKYO初の役職であるディレクターに就任する。2020年11月に独立。株式会社P .B .を設立し「AI TOKYO」を立ち上げる。2023年現在は渋谷エリアを中心として全国に5店舗を展開。7月には自社開発のヘアケアブランド「AI me」を販売するなど、サロン展開以外にも仕事の幅を広げている。
今までダブーだったサロン品質のトリートメントをお客さま向けに販売する挑戦
――2023年7月からクラウドファンディングで購入の受付を始められた自社製品の3STEP髪質改善トリートメント「AI me」について、開発のきっかけを教えてください。
僕はずっと疑問に思っていたんですよ。「美容院で使っているシャンプー、トリートメントが家庭用に売っていないのってなんでだろう」って。数年前から髪質改善が流行っていますが、美容院の商品が家で使えるのが一番の近道だと思いませんか?しかし美容院の商品を作るメーカーの商品は基本的にサロン専売品で、一般家庭には販売してもらえないんです。その点僕たちのエンドユーザーはお客さま。そのお客さまが本当に喜ぶことをしたいと考えた結果、サロンクオリティの商品を作ることに行き着き、メーカー業にもチャレンジすることを決意しました。泡パックシャンプー、トリートメント、ウォータートリートメントの3点をセットにして販売します。
――いままでタブーだったことにチャレンジするのに不安はありませんでしたか?
とくにありませんでした。たとえばサロンの品質が自宅で担保できてしまうと来客が減る、と考えるメーカーやサロンオーナーもいるかもしれません。しかしそれはサロンの都合で、お客さまには関係のないこと。また今回販売する「AI me」はサロン以上のクオリティで、お客さまに絶対満足していただけると自信を持って言えるものができました。その結果サロンでトリートメントをされる方が減っても、商品が話題になれば足を運んでくれる人も増えるはず。誰も損しない、というよりはみんながうれしい結果になると思うんです。もしも外部の方からなにか言われることがあっても、僕たちはお客さまのために仕事をしているわけで、あまり気にしませんね。
お客さまとともに作り上げた自信作「AI me」
――それだけの自信作ができたんですね!
これを使えばサロンでトリートメントをする必要がなくなるほどのクオリティです。サロントリートメントの主要成分である「グリオキシル酸」を主体とするさまざまな美容成分を配合することによって髪の毛のゴワつきやクセ、うねり、広がりを整える効果が期待できます。
「AI TOKYO」にご来店いただいたお客さま、年間約2万人のカウンセリングシートをすべてデータ集計して、悩みや希望を叶える商品を考えました。とくにくせ毛に悩んでいるお客さまが多かったので、その点はこのトリートメントで改良できるように力を入れています。また香りについても僕たち美容師がいいと思うものではなく、お客さまの意見を重視しました。ご来店の最後に試作で作った複数の香りのサンプルを嗅いでいただいて、一番好きなものを教えてもらい人気のものを取り入れるようにしました。
――お客さまの生の声からそれを解決するための商品が生まれたんですね。
はい。お客さまと一緒に作り上げてきた、という意識は自信をもって商品を薦められる理由のひとつですね。それから完成した後は友人や業界関係者100名ほどにお願いして使っていただいたんです。僕も驚いたのですが全員が絶賛してくれて。誰一人として不満や微妙だという声があがりませんでした。力を入れた過程と完成品の評価が良い商品という根拠になっていると思います。
人海戦術でランキング2位に浮上!いい商品を届けるために行った鎌形さん流周知法
――クラウドファンディングのみで先行販売している理由を教えてください。
「AI me」は今後ロフトや東急ハンズなどをはじめとした全国の店舗での販売を目標としています。しかしそのような店舗にはすでに多くの類似商品が並び、新規参入をするにはハードルが高いんです。そのため最初から直接お客さまに届けられて、実績も作れるクラウドファンディングを選択することにしました。
実際に2023年9月現在は目標の約400%を達成、販売初日のMakuakeデイリーランキングのヘアコスメ部門で1位、全プロジェクトで2位を獲得しました。電化商品や自転車など単価が何十万もするプロジェクトも多いなか、1万円前後の弊社の商品がこれだけの結果を残せたことはすごいことだと思います。
それから「AI me」を掲載しているクラウドファンディングのMakuakeの「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」という企業理念に共感したからです。本当にいいものがもっと世の中に広がってほしいという思いは弊社も同じですね。
――クラウドファンディングを成功に導くためにどのようなことを行なったのですか?
広告を打つなど事前にさまざまな施作を行なったのですが、一番効果を感じたのは人に直接お願いしたことです。「AI me」のサイトオープンの時間と同時に、インスタグラムで知り合いという知り合い全員にDMを送付したんです。当日は13時間くらいずっとメッセージを打っていて、腱鞘炎になりました(笑)。
ありがたいことに美容業界の大御所の方やフォロワーが何十万といる美容師さんと普段から仲良くさせていただいているので、そういった影響力のある方をはじめ、多くの友人や先輩、後輩がインスタのストーリーで拡散してくれたんです。いろんな方にご協力いただいたおかげで、リーチ数が伸びていち早く目標を達成することができました。結局泥臭くやることが一番結果につながるんだと実感しましたね。本当に周りの方には感謝の気持ちでいっぱいです。
鎌形さんが自社製品「AI me」の開発・販売で大切にしていること3つ
1.サロンと同様、もしくはそれ以上のクオリティの商品を作る
2.お客さまのことを第一に考えた商品づくり
3.多くの方に知ってもらうために自らも努力する
「お客さまのため」、「世の中のため」をつねに考えて仕事をしている鎌形さんの人柄が伝わる取材でした。だからこそサロンも自社製品も多くの方に愛されているのだと思います。まだまだ始まったばかりの鎌形さんのチャレンジは今後も世界中の多くの方を幸せに導いていくのではないでしょうか。