SNS投稿は楽しむのが一番!TikTokフォロワー16万人の「理容師のあいざわさん」が目指すところ【理容師・會澤和磨さん】#2
サロンワークを経て、2022年10月にフリーランスの理容師としての道を歩み出した「理容師のあいざわさん」こと會澤和磨さん。現在、TikTokでは16万人フォロワー、YouTubeチャンネルの登録者数は約4万人を抱えている會澤さんがSNS投稿を始めたのは、“集客”が理由ではなかったそう。
後編では、SNSへの投稿を始めたきっかけやその後の変化、そして今後の展望についてお伺いしました。
教えてくれたのは…
理容師・會澤和磨さん(理容師のあいざわさん)
理容師としてサロンワークを経験し、2022年10月にフリーランスとして独立。サロン時代から「理容師のあいざわさん」という名でTikTokをはじめとするSNSで活動を始め、現在TikTokフォロワー16万人、YouTubeチャンネルの登録者数は約4万人を抱えている。現在は、シェアサロン「LIBERTY SHARE BARBER 銀座店」で活躍中。
理容技術をより多くの人に知ってもらうため
――「理容師のあいざわさん」の名でSNSで人気の會澤さん。SNSに動画をアップしてみようと思ったきっかけを教えてください。
「理容師の仕事をみんなに見てもらいたい」というのが、TikTokを始めたきっかけです。正直、集客目的は1割に満たないぐらいの考えでした。結果としてお客さんを呼べたらいいなとは思ってましたけど、理容師の仕事について発信しようと思ってTikTokを始めましたね。理容技術を載せて、仕事についてもっと若い人たちに知ってもらいたいなと。
投稿を始めたのは1月で、動画が伸び始めたのが8カ月後の9月に入ってからです。その間は本当にたまに投稿するくらいだったんですけど、1本伸びてからは毎日アップするようになりましたね。毎日あげるとアルゴリズムの関係でおすすめに載りやすくなったりしますし、やっぱり楽しみにしてくれている人がいるので、つらいなと思ったことはなかったです。逆に再生数とフォロワー数という“数字”を見るのが楽しかったので、毎日あげないと伸びないんじゃないかという不安にはかられていました。
でも、コメントしてくれるコアなファンの方のおかげで頑張れましたね。やらなきゃっていう気持ちはなくて、自分がやってて楽しいなと思うから続けられてきたんだと思います。
――SNSの投稿を始めるようになってから、客層やオーダーメニューに変化はありましたか?
SNSを始める前は、お客さんの10割が男性でしたね。なのでカット、パーマ、シャンプー、シェービングとメンズメインの施術をバリバリやってました。動画が伸びて2年ほどは、男性7割、女性3割くらいでしたね。でも今はお客さんの9割が女性で、うなじ・顔剃りがメインになっています。
前のサロンでは10代がほとんどで、高校生や大学生が本当に多かったんです。銀座のシェアサロンに来てからは立地がいいのもあってか、主婦の方や30〜40代の方も一気に増えましたね。お客さんは20代以降の方が多くて、ほとんどがSNS経由で来店してくれています。
――急にお客さんの層が変わって、接客において大変なことなどはありましたか?
なかったですね。逆にSNSで自分のキャラを見せているので、相手に合わせて変えたりせずにありのままでいるようにしています。それもあってたまに語彙力が乏しくなってしまうときがあるんですけど、そこら辺もたぶん大目に見ていただけていると思うんですよね。
あと僕はSNSと全然違うので、「違いすぎてびっくりしました」ってよく言われます。ギャップ萌えですかね(笑)。接客になるとまた変わるんです。性別に関係なくアンニュイな接客を心がけていて、それはリピートにもつながってる気がしますね。
――本業をしながら、SNSを投稿するのが難しいと感じている人もいるかと思います。會澤さんからアドバイスはありますか?
本当に気持ち次第なんですよ。無理してやってもいいものはできない。最近はみんなクオリティが高いので、無理に中途半端なものをあげるくらいだったら、楽しんで投稿した方が絶対にいいと思うんです。結局、そのコンテンツが伸びなかったら落ち込むので。完成度80%くらいのものを作れるときに作っておいて、アップするといいと思います。
SNSが強い時代なので、やったほうがいいとは思いますね。でもライバルが増えて欲しくないなと思っているので、全然やらなくていいんですけど(笑)。
動画を投稿することによってサロンや本人の雰囲気が伝わると思うんですけど、僕は予約をしてもらったときにみなさんメッセージを送ってくれるんです。でもそのなかには「勇気を出して予約しました」「去年見つけて、やっと予約できました」というメッセージをくださる方が多くて。実際にSNSで雰囲気とかが事前にわかるものの、行きづらさはまだまだあるのかなと実感しています。
支えてくれる人がいるからこそ頑張れる
――會澤さんの自分の一番の強みは?
ナチュラルなあざとさじゃないですかね(笑)。技術力には自信があるので、そこは土台として常にあります。あとは気づく力、自分のブランディング力、それと感謝の気持ちを持っていることですかね。
でも一番は、“支えてくれる人がいること”が強みかもしれないです。家族も友達も恋人もお客さんもそうです。その人たちがいるおかげで頑張れますね。
それと父親がとても愛されている人だったので、サロンに入ってからずっと愛される理容師を目標にやってきました。どうやったら人に愛されて、どうやったら僕についてきてくれるかとすごく考えますね。言い方、伝え方、すべてにおいて、“愛”は自分のなかの大切な軸ですね。
技術を売ることから、物を売る仕事も展開
――今後の目標と、方向性について教えてください。
今29歳なんですけど、31歳になるまでに自分のお店を出すのが目標です。でもお金がないと始まらないので、それ次第かなというところですね。それに向けてしっかりお金を貯めていて、他にも不動産関係のお客さんもいるので、代わりに物件を見ていただいていたりもしています。あとは、そろそろ経営の勉強もしっかりしていきたいなと思っています。
今までは一匹狼で敵をつくる感じだったんですけど、同業からのファンもちょっとずつ増やして、一緒に働ける人を集めていきたいですね。今年の5月に自分の会社も設立したので、社員を抱えつつ同じようにフリーで働けるお店を作りたいなと思ってます。
あと実は来年の1〜2月くらいに、シェービングジェルを販売する予定なんです。今業界のある会社さんと打ち合わせをしていて、資金を全部出して完全に自分のオリジナル商品でオンラインなどで売っていく予定です。それに向けて、またちょっとSNSでの発信を頑張ろうかなと思っています。
技術を売りつつも、次は物を売るという仕事も頑張っていこうかなって思っていて。それをきっかけに理容師の価値や理容技術を変えていけたらなってと思ってます。シェービングジェルって世の中にあんまりないですし、顔剃りとかって面倒くさいし、肌荒れしそうとか良くないとかイメージあると思うんです。そういったところを価値のあるものや時間にしてもらえたらなと考えています。
【3か条】理容師の會澤和磨さんが大事にしてること
1.常に感謝の気持ちを持つこと。
2.SNSは楽しみながら投稿すること。
3.気づき力を武器に、個の力が持つ可能性を広めていくこと。
写真/Shohei
取材・文/菊地菜々