ローズは流行で終わらせるものではない。仕掛けず、流行らせず、じっくり大切に育てていきたい。ローズ療法家 今井通子さん#2

妊娠中に薬草化粧品の販売からスタート。10年目にメーカー史上初の1億円の売上を達成し、販売会社として独立した今井通子さん。上手に話そうとせず、自分の経験したことをそのまま伝えることを心がけ、この驚異的な数字を達成したそうです。とはいえ、そこまでの間にはくじけそうになったことも。そんなときに背中を押してくれたのが、ヨーダの「試すはない。やるか、やらないかだ」「大きさではない。心ひとつで決まるんだ」という言葉でした。

この後編では、SNSで全国的な広まりを見せたローズ蒸しテントですが、実は、「流行らせないようにしていた」という興味深いお話をしていただきました。流行ったものは廃れる。ローズは、流行で終わらせるものではないから、過剰に仕掛けたりせず、じっくり育てたい。そんなローズへの熱い思いを伺います。

お話を伺ったのは
ローズリンク株式会社
代表 今井通子さん


専業主婦から、妊娠中にフェイシャリストとして美容業界デビュー。その後、INFAエステティシャン国際ライセンスをはじめ数々の資格を取得し、全身をケアするスペシャリストに。全身に幅広くアプローチするローズに注目し、オーガニックローズを使った自社ブランド Mi(ミイ)を設立、商品開発を行う。その商品を使用したローズ蒸しテント等、メディカルローズ®メソッドを考案。全国のサロンにローズメソッドを導入し、高い実績を上げている。直営店「 Rose de Mi」、エムアイローズたまプラーザ店、奄美大島店、オーガニックローズ協会など運営。

ホームページ

「流行らせない」という意識でここまでやってきた

100%オーガニックのこだわり抜いたオリジナルローズオイルを使用。

――見た目もネーミングもキャッチ―なローズ蒸しテントを考案された経緯を教えてください。

ローズオイルを使った究極のエステメニューを作りたかったんです。ローズは、生理痛や妊活など女性特有の悩み全般への対応力が高く、肌はもちろん体の内側からキレイにしてくれます。このローズの恵みを、短時間で、全経路から体内に入れるには、よもぎ蒸しのようなスタイルがいいのでは。そう考えて、よもぎ蒸しのローズオイルバージョンを考案しました。

――ローズ蒸しテントが全国的に広まったきっかけは何かあったのでしょうか?

ローズの花びらを象ったテントがかわいらしいということで、SNSに写真をアップしてくださったり、自分のサロンにも取り入れたい、他のサロンにも広めたいというお客様がたくさんいらして、それでフランチャイズ化したんです。メニューをスタートさせる際にプレスリリースを打ったり、Facebookにもアップして、会社としても発信はしたのですが、どちらかというと求めていただいて広まったという感じですね。大きな宣伝もせず、導入サロン様が現在170以上という状況は、ありがたいことだと思います。ただ、流行らせないという意識でやってきたのも事実です。

――「流行らせない」とはどういうことでしょうか?

バラエティー番組で紹介したいというお話をいただくこともありますが、うちはお断りしていました。新しいものが好きな人たちが一瞬わっと集まって、さ~っといなくなる。そうすると、常に来てくださるお客様に対してずさんになってしまうんですよね。流行ったものは廃れます。ローズは、流行りで終わらせるものではない。ずっと大切に育てていくべきものだから、過剰に仕掛けたりするのではなく、人から人へ伝わったり、本当にケアできるものを探している方に行きついてほしいと願っています。

理想はバラ好きな人のためのテーマパーク

同じビル内に、日本で唯一のローズドレナージュ®専門エステサロン「Мose de Mi」と、サロン・ショップ・カフェが併設されている「MI ROSE」の2店舗がある。どちらもローズ蒸しテントが体験できる。

――サロンのお客様には、どんな方が多いのですか?

ローズに引き寄せられる方が、北海道や九州など遠方から足を運んでくださいます。定期的に通ってくださるお客様には、千葉や埼玉から往復5時間かけてきてくださる方もいらっしゃいます

――往復5時間もかけて通ってくださる理由はどこにあるのでしょうか?

ローズ蒸しをやると、肌もメンタルの悩みもほとんどなくなるんです。それを実感されている方と、あとは幸せ感を感じられるという方もいらっしゃいます。というのは、ローズ蒸しテント専門エステ「MI ROSE」をオープンする際に、ディズニーランドをイメージしてつくったんですね。ディズニーランドに行くと、大人もワクワクするじゃないですか。 MI ROSEのカフェスペースにはローズスムージーなどローズが入ったものばかりがあって、その先のサロンスペースには、ローズオイルを贅沢に使ったローズドレナージュ®専門エステとローズ蒸しテント。バラ好きな人が来たらワクワクが止まらない、バラ好きな人のためのテーマパークにしたかったんです。それを楽しみに来てくださる方も多いですね。

わたしにはローズを伝えていく役割がある

「ローズオイルで肌がきれいになるのは想定内。プラスαで女性が喜ぶような提案がしたくて、バストがきれいになるレシピを考案しました」(今井さん)

――ローズ療法家という唯一無二の肩書きで、多角的にビジネス展開する熱量はどこからくるのですか?

ローズの良さを伝えていくという使命感に突き動かされているのだと思います。それは、私自身が本当にローズに救われたから。ローズオイルをつくったのは46才のときでしたが、当時は更年期の真っただ中。ホルモンバランスの乱れからくる生理痛や不眠、節々の痛みなど本当に辛くて。でも毎日、顔とバストにローズオイルを塗っていたら、それまで生理痛がないことがなかったのに、翌月の生理がまったく無痛で、だるさも重さもなかったんです。

ローズで女性ホルモンが整うと、こんなに快適なんだということを知ってしまったんですね。これは人に伝えないといけない。しかも、40代で知ることではない。10~20代の若い世代に伝えたい。

働くということは、自分のスキルを提供して対価を得ること

「ここまでバラに特化したサロンは他にはないと思います」(今井さん)

――最後に、これから美容業界を目指す方にアドバイスをお願いします。

まずは、勇気を出して行動すること。そして動いた先は、すぐに結果が出なくてもやり続けること。わたしは、あるセミナーで聞いた「10年続けたら必ず形になる」という言葉に背中を押されてここまでがんばれたんです。何かを始めるときに、10年やり続ける覚悟があるかどうか、まず自分の中で確認するといいかもしれませんね。お金のためだけでは、嫌なことがあったときに続けるのが厳しいので、それが好きだったり、それをやる意味を感じられるかどうかを自分自身に聞いてみるといいと思います。

あとは、軸をブラさないこと。化粧品の原料にしても、施術に使う機械にしても、次から次へと新しいものが出てきます。流行っているからやるのはいいんですが、流行りものは廃れます。何のためにそれを導入するのか、その本質がブレないことが大事だと思います。

――では、今井さんにとって働くということは?

改めて聞かれると難しいですが、働くということは、自分のスキルを提供して対価を得ることではないかと思います。趣味なら、好きなことを好きなようにやればいい。でも対価をいただく以上は、そこに責任というものが出てきます。その責任があるから、自分の嫌なこともがんばらなきゃいけないし、苦手な人でも対応しないといけない。

言い換えると、仕事は自分を成長させてくれる場所でもあると思います。苦手だなとかちょっとしんどいなと思う場面で逃げてばかりいると、いつまでも同じ悩みがつきまといますが、そこで踏ん張ることで、自分を成長させることができます

今井さんがローズ療法家として成功した理由は

1.お客様に自分の体験をそのまま伝えることを意識した。

2.「試すはない。やるか、やらないかだ」ヨーダの教えを胸に、
節目の10年目に1億円の売上を達成。

3.ローズを流行りで終らせないように、じっくりと育ててきた。

長女をおんぶしてお客様のマッサージをした開業当初から、メーカー史上初の目標売上を達成し、節目の10年目に独立した今井さん。「着実に挑戦はしてきたが、めちゃくちゃ無謀なことはしてこなかった」という今井さんですが、言い換えると、めちゃくちゃ無謀なことはしてこなかったけど、着実に挑戦はしてきたから、現在の成功があるのですよね。

撮影/大崎聡
取材・文/永瀬紀子

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