絵を描く仕事がしたくて介護職からネイリストへ転職 えがお爪工房 小山えりかさん#1
高校卒業後、介護職についたものの、絵の仕事をする夢を実現したくてネイリストに転職した、えがお爪工房の小山えりかさん。小山さんは、介護の仕事を正社員からアルバイトに変更し、ネイルスクールに通います。さらにスクールに通いながら、未経験OKのネイルサロンに就職し、ネイリストとしての活動もスタートさせます。介護職とネイリスト、まったく違う業界に多少のとまどいを感じながらも、以前から思い描いていた夢を叶えた小山さん。前編では、異業種からの転職活動をどのように進めたのかお伺いします。
お話を伺ったのは
えがお爪工房
ネイリスト 小山えりかさん
高校卒業後、介護職に就くが、絵を描く仕事がしたくてネイルスクールに通い始める。スクールと並行して未経験OKのネイルサロンに就職。回転率重視のサロンで経験を積んだ後、もっと人に寄り添える接客を求めて2023年5月シニア世代がメインターゲットのえがお爪工房に転職。JNECネイリスト検定取得。ニュアンスネイル、アート、お客様のイメージをカウンセリングで引き出すことを得意としている。現在25才・ネイリスト歴4年目
ずっと夢だった絵の仕事を叶えるためにネイリストに転職
――以前、介護のお仕事をされていたそうですが、介護職に就いた理由を教えていただけますか?
高校の部活で油絵をやっていて、全国大会を目指してしっかり朝練もやるような部活だったので、漠然とですが美術に関わる仕事がしたいなと思っていました。でも家庭の事情で大学や専門学校には行けなかったので、高校卒業後すぐに働くことに。いちばん下の妹とは11才離れていて、オムツ替えをした経験もあったので、介護だったらできるかもしれないと思って介護職に就きました。
――介護のお仕事からネイリストに転職しようと思ったきっかけは?
老人ホームのレクリエーションで、利用者さんにマニキュアを塗ってあげる機会があり、夏だったのでマニキュアを塗った上にかき氷の絵を描いたんです。そしたら利用者さんがすごく喜んでくれたんですよね。そのときに、これだと! ずっとやりたかった絵の仕事と結びつけられるネイリストに転職しようと思いました。
いちばん行きたいところを受けて、ダメだったら他を探す一点集中主義
――ネイルはどこで学ばれたのですか?
介護の仕事を正社員から週3~4回のアルバイトに替えてもらって、仕事がない日に週に2~3日ネイルスクールに通いました。ジェルネイルやマニキュア、スカルプチュアという爪を長く伸ばして造形する技術があるんですが、それも全部教えてもらえるコースを選んだので、トータル2年くらい通学しました。
――スクール卒業後、すぐにネイルサロンに就職されたのですか?
実は、スクールと並行してすでにネイルサロンで働いていました。
――スクールに通いながらもう働いていたんですね。未経験で雇ってもらうのは大変だったのでは?
ネイル業界のことはまったくの無知だったので、ネットで調べてみると、大手もあればアットホームな個人サロンもある。未経験でも雇ってくれて、研修制度がしっかりしているところを条件に探して、それが叶う大手サロンに決めました。
――一社目で決まったのですか?
はい。とりあえずいちばん行きたいところを受けてみて、ダメだったら他を探そうかなと思って一社に集中しました。
――どんなふうに自己アピールしましたか?
「ここしか考えてない」という気持ちをまっすぐに伝えました。「未経験だけど、めいっぱい練習してがんばります」と。
――面接のときに作品を持参したりしましたか?
条件にはなかったんですが一応持っていきました。会社としてはなくてもよかったみたいですが(笑)。
介護職とは違った接客が求められ一般的な接客方法を学び直し
――入社後はどんな動きを?
最初に3ヶ月間の研修期間がありました。研修期間中にすでに入客するのですが、お客様もそれを承知で、デビューしている先輩ネイリストより低めの料金設定で施術をします。後で、施術したデザインをサロン併設スクールの先生に見てもらって、アドバイスをもらえるようなシステムでした。
――未経験から始めて大変だったことは?
最初は1時間以内に施術を終わらせることができなくて、お客様にご迷惑をおかけしたこともありました。当時はまだ自分の技術に自信がなかったので、施術後に「かわいいですね」という言葉ががなかなか言えなくて…。それができるようになるまで少し時間がかかりましたね。
――前職とのギャップを感じたことはなかったですか?
介護職のときは、認知症の方とのコミュニケーションが多かったので、言葉を伝えやすくするためにわざと親しみやすい言葉を使っていました。でも、最初に勤めたネイルサロンは、一日約8名と回転率がよく、料金が安かったこともあり、比較的若いお客様が多かったんです。介護職のときとはまた違った客層だったため、ネットで一般的な接客方法を調べて、言葉遣いに気をつけるように心がけました。
最初は大変でしたが、2~3年経つとだんだん慣れてきて、後輩のフォローもできるようになってきました。
――そして、今度はネイリストとしての転職活動を始めるわけですね?
回転率重視のサロンに3年半いて、自分でも数はこなせたなと思ったんです。今度は、もっとお客様に寄り添える接客がしたいなと思って、他のネイルサロンへの転職を考えるようになりました。
後編では、シニア向けネイルサロンへの転職活動についてと、実際に転職してみてのメリットなどをお伺いします。
撮影/大崎聡
取材・文/永瀬紀子