憧れのネイルサロンへ転職。早く上手くなりたい一心でひたすら練習した新人時代 ao.ネイリスト&アイリスト宍戸琴美さん#1
美容師を経てネイリスト&アイリストに転向し、現職のao.ではマネージャーも務める宍戸琴美さん。前編では、美容師時代と前職のネイルサロン時代、現在のao.3つの新人時代についてお伺いします。
社会人としてのルールを叩きこまれた美容師の新人時代、前職サロンでは入社間もないうちに店長のポジションにつき、自分のスキル不足を感じてao.へ転職。技術レベルの高いao.では、基礎からやり直した後、憧れのニュアンスデザインを学ぶことになります。
お話を伺ったのは…
ao.ネイリスト&アイリスト兼マネージャー
宍戸琴美さん
美容師を経験した後、未経験でネイル&アイサロンに転職。短期間でネイル&アイの技術を学び、新店舗店長としても活躍。2年後憧れのニュアンスデザインを学ぶためao.に転職。現在は個性あふれるネイルアートを武器にしたネイリスト&アイプレイヤーとして、またマネージャーとしても活躍。口コミ評価4.8以上のサロンづくりを実現している。
美容師時代、作文の研修でメチャメチャ自分と向き合えた
――宍戸さんは美容師からスタートしたそうですね。
はい。専門学校卒業後、デザイナーとカラーリスト分業制の美容室にカラーアシスタントとして就職しました。
――美容師の新人時代について教えていただけますか。
新卒だったので技術以前に、社会人としてのマナーを一から叩きこまれました。新人研修では、会社の歴史や挨拶、言葉遣いなどマナーを中心に学びましたが、いちばん印象に残っているのは作文を書いたことです。職業観みたいなものを作文にして発表する研修なのですが、それがメチャメチャ自分と向き合えたんです。
――どんな内容なのでしょうか。
なぜこの会社を選んだのか、なぜ美容師を選んだのか、なぜ働くのか、ひたすら作文を書いて先輩に添削してもらいます。自分が選択したことの一つ一つに問いかけながら作文を書くことで、あ~そう思ってたんだと自分の気持ちが整理できるんですよね。そうすると、どうなりたいかが明確になるので、目指す方向性もクリアになっていきました。
――その後、技術に入るのですか。
そうですね。手を動かすことは好きだったので、技術面ではとくに悩んだり落ちこんだりすることはなかったです。美容学生時代に、練習したら上手になることは経験上分かっていたので、いまはできなくてもいつかできるようになるだろうとポジティブスタンスで臨みました。
美容師から好きな色彩学を活かせるネイリストへ転向
――美容師からネイリスト転向の経緯を教えてください。
2年3ヶ月美容師として働いて、これといった理由はなかったのですが、一旦美容と離れてみたくなったんです。とりあえず雑貨販売の仕事に就いたのですが、やっぱり手を動かす施術の仕事が恋しくなって。専門学校時代から色彩学が好きだったため、美容室でもカラーリストに。色彩学の知識を活かすにはと考えたところ、ネイリストがいいのではと思いました。
――その後はどんな方向に進んだのですか。
未経験でネイル&アイサロンに採用していただきました。まずはネイルを覚えるために2ヶ月間、朝から晩まで必死で練習しました。
スタッフに教わりながら、モデルさんを呼んで練習、チェックしてもらう。ひたすらその繰り返しの中、なかなかできなくて「もう!」ってなるときもありましたが、そう思える自分って素晴らしいなと思いながら(笑)2ヶ月くらいでワンカラーを習得。その後、アートは独学しました。
――ネイルを独学ってどんなふうに?
ネイリストの方のYouTubeやインスタを見たり、あとはビューティーワールドなど大きい祭典でデモをたくさん見ました。各エリアで有名なネイリストさんのデモが行われるので事前にスケジュール確認して朝から晩までステージを見学して、その後サロンで実践していました。
やっとネイル技術を習得した頃に新店舗ができて、今度はそこに異動することに。わたしとエクステスタッフの2人体制だったので、どちらかが不在のときはどちらかのメニューしか受けられないという状況が発生。オープン直後でまだ予約にも空きがあったので、じゃあわたしがネイルを教えて、もうひとりのスタッフにアイを教わるということになったんです。
――ネイルを覚えた直後に今度はエクステという状況は大変だったのでは?
確かに大変でしたが、早くできるようになりたいという気持ちのほうが強かったかもしれません。
――ネイル&アイが兼任できるようになって営業体制も変わったのでしょうか。
確か半年以内に新人スタッフが入ってきて、そこからは自分の技術を磨きながら、教育もしつつ、売り上げも上げないという状況になったんですよね。
――後輩に教える立場になっていかがでしたか。
言葉で伝えることが苦手だったので、実際に行程を見せた上で擬音を駆使して説明し、どうにかこうにかやってきた感はありますね。たぶん根気はあるので、新人スタッフが分かるまで何度でも見せたり説明したりという努力は惜しみませんでした。
ao.で基礎ができていないことを指摘されショック…
――ao.への転職の経緯を教えてください。
前職では、ネイルを始めて1年半とまだまだな時期にほぼ店長の立ち位置になってしまったので、もっと自分に実力をつけたいなと感じていました。そのタイミングでちょうどao.の求人を見つけて飛びついたんです。
――ao.は以前から知っていたのですか。
いつもao.のインスタを見ていた1ファンでした。こんなアートができるようになりたいと思ってデザインを真似してみるけど、うまく表現できなくて…。
――ao.の魅力はどんなところなのでしょうか。
今でこそニュアンスデザイン(フレンチなど決まった形ではなく、完全な再現ができないオンリーワンのアート)が主流になっていますが、それ以前からニュアンスデザインをめちゃめちゃ打ち出していたサロンなんです。
――ao.の新人時代について教えてください。
店長だった自分が、今度は一番下っ端になりました(笑)。ずっと憧れていたアートをする方たちがそこにいるので、最初はとにかく粗相がないようにと緊張していましたね。
基礎はできていると自覚して入ったのですが、実際には基礎のレベルもすごく高くて、まずはそこでちょっと凹みました。ファイルの使い方ができていないと指摘され、前の職場ではそれを教えてしまっていたことが結構ショックでしたね。アートを学ぶために入ったつもりが、基礎から学び直すことになりました。
――ニュアンスデザインは実際にやってみてどうでしたか。
ニュアンスデザインの技術そのものはそこまで難しいものではないと個人的には思っていて、それよりもパターンをどう組み合わせるか、発想力やクリエイティブ能力が問われるのかなという印象を持ちました。
ニュアンスデザインのお客様はオーダーの仕方も「夏っぽい感じで」とか「キラキラで」とかなんとなくの方が多いんです。いかにお客様の希望を汲み取って、理想を叶えるか。技術面よりもその汲み取り方が難しくて、先輩のお客様はなぜあんなに満足気に帰っていくのかと悩みました。結局それは、汲み取る力なんですよね。
――「汲み取れる」までにどれくらいかかったのでしょうか。
半年苦しんで、なんか分かるようになってきたかもという感覚でした。自分の中でのしっくり感と、お客様にいい反応をいただけるようになってきたのがその頃だったんですよね。
――「汲み取る」ためにどんな努力をしましたか。
先輩のカウンセリングを盗み聞きしました。お客様がこんな感じがいいとオーダーしたことを、先輩が具体的なワードに言い換えるんです。その言語化能力の高さに衝撃を受けて。次回お客様にそれに近いオーダーをされたときに、先輩が言っていたワードを口に出してみる。お客様が「あ、そうそう」となれば大成功。日々それを繰り返して経験と練習を積み重ねた結果、お客様の意図を汲み取れるようになりました。
後編では、入社2~3年目にどんなキャリアップをしてきたのか、口コミ評価4.8以上のサロンにするためのマネージャーとしての工夫などをお伺いします。
撮影/山田真由美
取材・文/永瀬紀子