大工や魚屋、歯科技工士も? 数々の経験を経て美容師に『King’s Berry』
大阪の摂津市駅すぐ目の前にあり、地域に圧倒的支持を受けているヘアサロン「King’s Berry」。この店のオーナー、桐山尚千さんは、ちょっと変わった経歴を経て美容師になったことでも知られています。今回は、そのオーナーさんにご自身の経歴やお店の魅力を語っていただきました。
ともかく働くのが好き
――まずオーナーがこの店をオープンされるまでの経緯についてお教えください。
「僕はまず、学校に入る前はアルバイトで大工をやったり、魚屋として百貨店でマグロを売ったりしていたんです。よくマグロの解体実演販売とかあるでしょ。あれです。その後、美容学校ではなく、歯科技工士の専門学校に行って歯科技工士として働いていました。しかしちょこちょことやる仕事が自分に合ってないなと。ちなみにこの間も、長期休暇の時はまだ大工のアルバイトを続けていました(笑)。例えば盆正月だったら百貨店が忙しいでしょ。そうなると魚屋で働く。とにかく働くのが好きなんですよ。たぶん」
――その時点でぜんぜん美容師になろうという話が出てきませんが(笑)
「自分の実家が美容室やったんです。歯科技工士をやめてふらふらしてたら、親から『美容学校でも行ってみたら』って言われて」
――家を継いでほしい、という意味合いだったのですか?
「いや、そういう訳でもなかったようです。ただ、ちゃんと働きなさいと。そこで美容学校に行って、まずは某サロンで働き出したんです」
――いつから独立を意識したのですか?
「もうそのサロンに入る時には、独立すると決めていました。面接でも『キミは独立したいの?』と言われたのでハイ、と答えました」
カリキュラムも半年でクリア
――学校の同級生に比べて年齢的にも上だったのですか?
「そうですね。5歳ぐらい上でした。それに美容学校では落ちこぼれてましたから(笑)。そりゃのんびりしてられない、ということで、サロンでのスタイリストへのテストも、みんなが3年ぐらいかかるところを半年でクリアしました」
――半年ですか。それはすごいですね。
「当時の店長から『他のメンバーの手前もあるし、困る』と言われました。まあ、そりゃそうでしょうね。デビューまで3年かかるところを半年で終わったところで、アシスタントを続けてもらわないといけないのですから。そういうカリキュラムになってるんだから、と」
――店としては早々にデビューしてもらって売上を上げてもらう方がよいのではないでしょうか。
「ひと昔前の話ですから、当時はそういった感じはなかったですよね。早くデビューさせる、というよりは、もっと下積みをしろ、という風潮でした。だから、カリキュラムを終えたのに店側はテストを1つずつ増やしていって、アシスタントを続けていかねばならない、という状態でした」
アシスタントでコンテスト!?
――なるほど。出る杭は打たれるといった感じでしょうか。
「まあそうなんでしょうかね。でも、そのあたりからコンテストに出るようになりました。店にいて、ただただアシスタントをしていてもあかんな、と思ったので」
――それは店として出たのではなく、個人的に応募されて?
「そうです。普通、こういったコンテストには、アシスタントならウィッグを使うのですが、僕は人頭を使って出ました」
――結果としてはどうだったのでしょうか。
「まだアシスタントなのに全国大会に出たりしてましたね(笑)。周りからは『おい、何やってんねん!』と言われて(笑)」
――店からは何と言われていたのですか?
「店からは、もっとやれ、と言われていましたね」
――でもデビューはできなかった?
「そうです。僕の先輩たちがまだスタイリストデビューしていませんでしたからね。先輩がデビューしてないのに、店としても僕をデビューさせるわけにはいかなかった、ということでしょうね」
――その後はどうなったのですか?
「3年目で渡英してヴィダルサスーンで修業したあと、帰国してからスタイリストデビューしました。そして7~8年目ぐらいで店長をやりました。あとは専門学校の講師やメーカーのインストラクターも務めました」
変わった経歴から、一気に店長まで駆け上がった桐山さん。働く意欲と駆け上がるパワーには脱帽するばかりです。後編では、店舗の施術におけるポイントや、スタッフの育成などについて語っていただきます。
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