スタッフの特技を仕事に生かす!『KAZE』の強いチーム作りに迫る
丁寧なカウンセリングで人気店に成長した『KAZE』。安定した成果を残し続けている理由について「美容業界以外の方々にインタビューをして、よいポイントは積極的に取り入れているからですね」と、オーナーのTERAOさん。他にも『KAZE』が、お客さまから厚い支持を得ている背景には、時間を掛けて丁寧に説明をする教育方法やスタッフが求めている仕事をお願いする運営術がありました。
後編では、強いチームを作る方法に迫ります。
体育会系のサロン運営を辞めた理由とは?
————チーム作りで意識していることはありますか?
「スタッフファーストのサロン運営を意識しています。実は、3年前までは僕中心にサロンが回っていましたが、さまざまな理由があり考えを改めました。その1つが、友人のひと言でした。
彼は全国大会でも活躍しているフットサルチームの監督をしており、ある時うまく機能していないチームについての話を聞きました。たとえ話として教えてくれたのは、小学生のフットサルクラブの話でした。そのクラブの監督は、怒鳴り散らして恐怖によって小学生を動かしていたそうです。彼は、その指導について『手抜きだ』と言いました。
何を言っているのか分からなかったので詳しく聞いてみると『恐怖で人を動かすことほど、簡単な方法はない』と。そして『指導者は、みんなに納得をしてもらうためにしっかりと説明をしなければならない。それは時間が掛かるのでとても大変なこと。でも、その姿勢がなければ本当によいチームはできない』と教えてくれました。それを聞いた時に『ああ、そうだな』と。
その頃はうまく信頼関係を作れなかったために、スタッフ全員が辞めてしまった時で、改めて自分の行動を振り返ってみると『間違った体育会系をしていたんだな』と。
それからは、個人面談の機会を作る、スタッフだけのミーティング時間を確保して、そこで上がってきた意見を積極的に取り入れる、ウェブ関係など外部の方の話に丁寧に耳を傾けるなど、少しずつ考えを改めていきました。今の『KAZE』には、体育会系の雰囲気は一切ありません」
サロンで生き生きと働いてもらうために大切なこと
————スタッフとのコミュニケーションの取り方について、もう少し具体的に教えてください。
「先ほどの個人面談では、『そのスタッフが求めているもの』についてヒアリングをしています。実は、オーナーの考えとスタッフの想いはシンクロしていないことがほとんどです。
たとえば、僕はそのスタッフを見て『きっと早くデビューをしたいだろう』と思っていたとします。そのため、どんどん練習をさせますが、そのスタッフの本心は『撮影現場でヘアメイクがしたい』かもしれません。おそらく僕が練習を促せば、若手は一生懸命に練習をするでしょう。しかし、仕事へのモチベーションはほとんど上がらないと思います。それよりも、ヘアメイクのチャンスを作ったほうが前向きに動くはずです。
もちろん、そのスタッフがまだアシスタントであれば、いきなり大きな現場を任せることはできません。それでも、その時点で身に付けている技術で十分に通用する現場もあります。たとえば、僕の友人のアパレルブランドの店員さんやテレビ業界の関係者から紹介してもらった撮影現場を任せることはできるでしょう。
そのために、まずはスタッフの想いをキャッチする。そして、僕はできる限りの協力をする。それが、サロンで生き生きと働いてもらうためには大切なことだと思います。他にも、スタッフの特技を生かすことも意識しているポイントです」
「ただモノではないサロン」を目指して
————「スタッフの特技を生かす」とは、どのようなことでしょうか?
「『スタッフの特技をピックアップして仕事に生かす』ということです。たとえば、現在働いているスタッフの1人はゲームやアニメについての知識を豊富に持っています。そこで日頃から『関係する仕事はないか?』と探していたところ、たまたまVチューバ―関係の方々が集うイベントを見つけました。
ちなみに『Vチューバ―』とはバーチャルYouTuberの略で、キャラクターを使ってYouTubeの配信を行っている方のことを差します。そこでそのスタッフに、イベント現場のヘアメイクをお願いしたところ、知識がありますから現場を盛り上げることができたそうです。後日、クライアントからも『次のイベントでもヘアメイクをやってほしい』とオファーがあり、『この経験は大きな自信につながった』と言っていました。
ちなみに、今は韓国好きのアシスタントがいるので韓国系の仕事を狙っています。そのために、最近は週1で新大久保を訪れてハングルの勉強も始めました(笑)。僕にとっても、ビジネス的にもプラスになっているので『とても有意義な時間だな』と。
仕事について考えてみると、多くの方は努力が嫌いだと思います。『90パーセントの人が苦手』と言ってよいでしょう。しかし、得意なことに関わっている時は努力を努力だと感じないことがほとんどで、自然に工夫をして勝手に自分のスキルを伸ばしていきます。
そんな個人が集まっている集団は、とても強くなるはずです。これからはさらに技術を磨いて『ただ者ではないサロン』を目指して頑張っていきたいですね」
強いチーム作りの極意
オリジナル商品も展開している『KAZE』。強いチーム作りの極意をまとめると、下記の3つでした。
1.指導者は、時間を掛けてでも丁寧に説明をする
2.スタッフが求めているモノをヒアリングする
3.スタッフの特技が生きる仕事を探す
教育スタイルについて、スタッフ自身にレッスンのスケジュールを決めてもらっているというTERAOさん。「1つの技術をクリアするごとに面談をしてアドバイスを送り、スタッフはその都度、自分でリスケジュールをしています。そちらのほうが、自主的に練習をすると思いますね」と、笑顔で答えてくれました。丁寧なカウンセリングを肌で感じてみたい方、チーム作りで悩んでいる方は、サロンに足を運んでみてはいかがでしょうか。
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キーワードは知識、説明、技術!『KAZE』のカウンセリング術に迫る>>