「HAKUJITSU」は妻と息子、家族の好きなことを形にした空間。今後は2拠点の構想も 私の履歴書 【サロンオーナー 五十嵐将寿さん・かやこさん夫妻】#2

ヘアスタイリスト兼ヘアメイクアップアーティストとして活躍中の五十嵐将寿さんが、2024年の早春に立ち上げた「HAKUJITSU -晴空日-」。オーナー自ら“アトリエ”と称するこちらでは、将寿さんがヘアサロンを、そして妻・かやこさんがネイルサロンを営んでいます。

前編ではオーナーである将寿さんに、美容師としての色濃い半生を振り返っていただきました。後編では、妻のかやこさんにもお話を伺い、家族の話を交えながら、著名人も通う隠れ家的な魅力に満ちたアトリエでの日々などを紹介します。

妻との出会い、息子との出会い。今の環境は、守りたいものと出会えたからこそ

はにかみながら、出会った当時のことをお話ししてくださった

――妻のかやこさんとは、どのような出会いだったのですか?

将寿 妻との出会いは、僕が2店舗目のサロンで店長をしていた時。元々僕のお客様の友人で、そのサロンのレセプションパーティーで知り合ったのが最初です。その時は、挨拶してInstagramのアカウントを交換しただけでした。

SNSを通じてお互いどんな人なのかはなんとなく知っていましたが、そこからしばらくは会うこともなくて。そんなある日、恵比寿で偶然すれ違ったんです。

――ドラマみたいなお話ですね!

かやこ 私が先に気づいて、呼び止めちゃったんです。そこから、SNS経由で連絡を取り始めました。食事に行こうという話になり、そこで初めてお互いにゆっくり話しました。

将寿 実際に話してみると、自分の考えをとてもしっかり持った人で、魅力的だと感じました。僕たちは歳の差もあったので最初は意識していませんでしたが……。この時間がなかったら今の家族には出会えなかったな、と思うと感慨深いですね。

妻のかやこさん。取材中も終始笑顔を絶やさず、いるだけでその場が明るくなる方

――かやこさんの経歴についてお聞かせください。

かやこ 今のようにネイリストになる前は、芸能活動をしていました。けれど、芸能に関わる前からネイルが大好きだったんです。地元・三重県で、ネイルの勉強ができる高校へ進学したくらい。しかし入学後、ネイルの授業は2年生からの履修になるとわかり、ひどく落ち込んでしまって。

そんな時、母に「いっそ上京して、自分のやりたいことを探しておいで」と言われ、15歳で急遽上京することになりました。芸能に携わることになったのは、上京してからです。

芸能の仕事も楽しく一生懸命取り組んでいましたが、東京で訪れたネイルサロンで、ネイルにときめいていた自分を再び思い出したんですこんなにキラキラして美しいものを生み出せるネイリストは、なんて素敵な職業だろうって。そして20歳の時に1年間、ネイルの専門学校に通い勉強しました。

――紆余曲折を経て、ネイルに戻ってきたんですね。

かやこ はい。しかしそのすぐ後、交際していたマサ(将寿さん)と結婚することになり、間を空けずして子宝にも恵まれ、妊娠・出産を経験。子育てに注力していたので、ネイルの仕事には就けずにいたんです。それでもやはりネイルが好きだから、2〜3年経ち息子も手が離れ始めたタイミングで、時間を見つけてネイルの練習をしていました。

将寿 僕も、ネイルに対する妻の思いを知っていたし、練習をする姿を間近で見ていました。そこで独立の際、アトリエに妻のネイルサロンを併設しようと思ったんです。ネイルサロンに属したことがなく、まだお客様もいない状況ではありますが、彼女なりに挑戦してみてほしかったし、新しい働き方を提案したかった。そして、僕もそれを見たかった。

そこに、ちょうどしっくりくる物件との出会いもあり、現在のような家族経営になりました。思い切ってこの形にしたおかげで、家族との時間も大切にできていると感じています

妻・かやこさんのネイルサロンスペース。ネイルがもたらすときめきは、かやこさんにとってとても大切なものだった

アトリエの名の由来は、座右の銘「NO RAIN – NO RAINBOW」

「HAKUJITSU」は「晴空日」と書き、アトリエ名には息子さんの名前もかけているそう

――こうして生まれたアトリエ「HAKUJITSU」ですが、名前の由来はありますか?

将寿 僕には、座右の銘がありまして。自由人・作家である高橋歩さんが自著で記していた「NO RAIN – NO RAINBOW(雨が降るから虹も出る)」って言葉です。自然の摂理というか当たり前のことですが、だからこそどんな立場の人にも当てはまる言葉だなと感じました。

大変なことがあったからこそ美しい景色を見ることができるというのは、試練続きだったこれまでの僕のキャリアにも通じているのかもしれません。劣等感に苛まれるなか、美容師としてもヘアメイクアップアーティストとしてもガムシャラに努力してきたからこそ、家族時間と仕事とのバランスが取れた、今の愛しい景色を見ることができているのかな、と。

またそのように、僕たちのお店に来てくれたお客様が過ごすひと時が、日々の辛いことやしんどいことを乗り越える糧になるように、施術を終えアトリエを出られる時には晴れやかな気持ちになれるように願っています

――素敵な由来ですね。アトリエには、息子さんがいらっしゃることもあるんですか?

かやこ 幼稚園が活用できない土日祝日は、お店に連れてきます。4歳になりますが、私たちの仕事中でも騒ぐことなく賢く待っているんですよ。

将寿 お客様の理解があるということが大前提ですが、子どもが会話のきっかけにもなるし、大人と触れ合う機会が増えることは、子どもにとってもプラスになると考えています。

子どもがいる空間なんてありそうでないし、なかなかできることでもないですけれど、働き方の1つとしては“アリ“じゃないかと。お客様に私たち家族を間近に見ていただくことで、息子と同じ名前のこのアトリエを愛してほしいという、ちょっとわがままな思いもありますね。

――ご夫婦で同じ空間で仕事をされる上で、心掛けていることは?

将寿 いい意味で干渉しすぎないことですね。妻のことは1人のネイリストとして、互いに対等な立場でいたいと思っています。同じ空間にいるけれど手伝ったりしなくていい、自分のことに集中してほしいです。

かやこ 私は、ご機嫌に楽しく仕事に励むことかな。ずっとやりたかったネイルを自由にやらせてもらえる環境に、とても感謝していますから。お互いへのリスペクトを忘れず、それぞれのお客様を大切にしたいです。

地元への恩返しもしたい。ゆくゆくは、2拠点生活も視野に

ご夫婦で話すその姿からも、互いを尊重し合っている様子が見てとれた

――お二人らしい働き方をされていますが、今後の展望などはありますか?

将寿 僕の地元である長野県・松本で、ヘアサロンをオープンしたいと考えています。東京ではヘアサロン・ヘアメイク・ネイルをコンパクトに収めたアトリエを創りましたが、地元ではスタッフを雇用する形のお店を持ちたいですね。大好きな地元に恩返しをしたいという気持ちを込めて。

もし実現できたら2拠点生活になるわけですが、現在定期的に行っている大阪での月1回のサロンワークがその試運転になっているかな

――お二人にとって、「働く」とは?

将寿 「動いていく先にあること」ですね。「働」って、人が動くって書くじゃないですか。不安や恐れから縮こまってしまうこともあると思いますが、動かないと見えない景色が絶対にあります。今の自分があるのも、とにかく行動してきたからだと、改めてそう感じますね。

かやこ 私にとっては「出会い」です。ネイリストとしてまだ駆け出したばかりの私にとっては、お客様との新たな出会いが、今は楽しくて仕方ありません

アトリエを舞台にした五十嵐さん“家族”の物語は、まだ始まったばかり

五十嵐夫妻の成功の秘訣

1.試練が訪れても、やりたいことを諦めずに行動し続けたこと

2.夫婦としても、仕事人としても互いへのリスペクトがあること

3.今ある環境への感謝を忘れないこと

撮影/野口岳彦
取材・文/勝島春奈

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Salon Data

HAKUJITSU -晴空日-
住所:東京都渋谷区恵比寿西1-27-10 三友第二マンション103
・HAKUJITSU:@_hakujitsu_
・五十嵐将寿さんのInstagram:@masakazu_igarashi_
・五十嵐かやこさんのInstagram:@kayako_okuda
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