知ってなるほど！読んで納得！あなたの知らない『美容鍼灸の世界』
ここ数年巷で話題の“美容鍼灸”。TVや雑誌で、顔や頭皮、耳など、思わずエッ？ と思うような所に鍼を刺したりしているシーンを見たことがある方も少なくないのでは。 ただ、実際経験したことがあるという人は、一握り。多くの人にとってまだまだ未知の領域である“美容鍼灸”について、その魅力と実態を調べてみることにしました。
１ 鍼灸って何？
「鍼灸」と書いて、しんきゅう。
なかなか聞き慣れないこの言葉は、鍼（ハリ）を刺したり、灸（きゅう）を据えたりして身体に刺激を与えることで、不調を改善する手助けをしたり、健康増進を目指す東洋医学の治療法のこと。数あるアジアの国々のなかでも、とくに中国の伝統医学にルーツを置くとされています。
現在、世界で主流となっている西洋医学に比べるとメジャーな感じがなく「イマイチ信頼性に欠ける」だとか「怪しげ」などという印象を持たれがちな東洋医学ですが、その歴史は西洋医学にひけをとらないばかりか、西洋医学が発達するはるか昔、2000〜3000年前から脈々と研究・研鑽を積み重ねられてきたものです。そんな東洋医学の治療技術のひとつ「鍼灸」は、長きにわたる日陰の時代を経て2010年、ついにユネスコに無形文化遺産として認定されることとなりました。そんな歴史のある治療法、鍼灸が美容にも効果的だと昨今巷をにぎわせています。鍼やお灸で美容、とはいったいどんな方法なのでしょうか。
２ 美容鍼灸とその効果
美容鍼灸というのは、一言でいうと鍼灸の技術を利用した美容施術のこと。
現在日本国内にさまざまな流派があるため、施術する施設によって方法も効果にも違いがありますが、代表的なものとしては、ほうれい線や肌荒れ、シミ、小顔に効くというもの、ボディについては痩身効果や美肌効果があると謳っているところが多いようです。
果たしてその仕組みや理論は、どういうものなのでしょう。効能ごとに、順をおって説明していくことにします。
目じりのシワやほうれい線の改善
シワの局所に鍼を打って、真皮細胞に微小な傷をつけることで、肌の修復機能が活性化。コラーゲンやエラスチンが再生、増殖され、内側から皮下組織が健康な状態に。これによって、シワや肌荒れが改善されるんだそう。
小顔・痩身効果
顔、身体にかかわらず、鍼は局地に鍼を刺すと、その刺激で筋肉の緊張が弛められ、血行が良くなると言われています。結果、むくみが取れたり、脂肪などの老廃物が排出されやすくなり、小顔効果や美肌効果が得られるとか。
増毛
鍼の刺激による血行促進のため、新陳代謝が活発になってコリがほぐれ、老廃物を排出、髪の毛のボリュームアップや育毛につながるとされています。
さまざまな鍼灸院のHPやカタログをたどっていくと、鍼でつけた傷を修復させようとする“自然治癒力”を利用してお肌を活性化させるというものと、筋肉に直接刺激を与えて血流をよくし、新陳代謝をあげることで、老廃物のデトックス＝美肌や美髪の効果を得るもの、という２つの図式が浮かび上がりました。どの鍼灸院も絵や図式を用いてわかりやすく解説しており、言われてみればなるほど、効果がありそう！ と感じられるものばかりです。
３ インスタントな鍼灸師にご用心！
とはいえ、まだまだ一般に知られるようになってから日が浅い美容鍼灸の世界。４年前には「美容鍼灸」をメインに掲げる院は、ほんの一握りだったと言います。それが昨今では、インターネット検索をかけると、約1,490,000件（Yahoo検索から）もの件数がヒットするように。たった４年で、効果的な施術を行える鍼灸師さんたちがこうも育つものなのでしょうか……。
疑問に思う人も少なくはないようです。
「（美容鍼灸は）未成熟な分野ゆえ、指導者の適性を判断する制度が整っておらず、圧倒的に経験や知識が不足している駆け出しの鍼灸師が、指導者としてセミナーを開くことができるようになってしまっています」
（美容鍼灸最前線 http://www.yojospa.com/kitagawa_blog/より）
上記は、自らも美容鍼灸師として活躍する北川毅さんのブログ。
こちらによると、上記のような経験の浅い指導者や、その下で育った“インスタント鍼灸師”らによって、利用者が満足のいく結果を得られなかったり、皮下出血等による肌トラブルなどが起こったりする例が後を絶たないのだとか。
そんな現状を改善するために、北川さんが自ら立ち上げたのが “日本美容鍼灸協会”という全国組織。美容鍼灸について正しい知識を一般に広めるとともに、美容鍼灸分野の健全な発展、利用者の安全、潜在的な問題の発生を回避することなどを目的として活動しているそうです。また、協会では日本人の体質や生活習慣に合わせた「日本式 美容鍼灸」を提唱、日本国内で確立した技術を用いた施術や、日本製のディスポーサブル針（使い捨て針）の使用を原則として義務づけています。さらに、協会独自の「認定制度」を設け、経験が十分でない鍼灸師の施術が避けられるよう尽力しているのだとか。
施術とはいえ、肌に針を刺す行為ですから、慎重になってしかるべき。こうしたきちんとした制度がもっともっと整ってくると、利用者側としてはより安心して施術に臨むことができるのではないでしょうか。いずれにせよ、まだまだ発展途上のこの業界。噂やメディアだけに惑わされず、まずは自分自身でしっかり情報収集することが大切なようです。
