背伸びをせず自然体で、いまできることに真剣に向き合う『Liike』
東京でもっとも洗練された街のひとつである代官山。街にはおしゃれについて意識の高い人々が集まり、街を彩るお店もハイセンスです。代官山の美容室で働く美容師たちには、お客さまを満足させる高い接客技術を備えているように思えます。
お店では、スタッフにどのような技術や人間性を身につけて欲しいと思っているのでしょか。『Liike』ディレクターの内藤隆介さんに話を伺いました。
無理せず、背伸びしない範囲でトレンドを取り入れる
――代官山というエリア上、トレンドをしっかりキャッチしていかなくてはならない立場かと思います。そのあたりのアンテナはどのように張っていらっしゃるのでしょうか?
「特別なことはしていません。美容系の雑誌を読んだり、メディアから取材を受けたりするなかで自然に入ってくることもありますし、日々考えデザインしていることで思う事もあります。背伸びをしなくても情報が入ってくる環境にいることが大事だと思います」
――内藤さんは、スタッフの育成という面で、若手にいろいろな要求をしていかなくてはならない立場かとも思います。具体的にどのようなことを行っていますか??
「技術力の向上という意味では、スタッフそれぞれに練習のカリキュラムを作って、いまより、よりよくなるための取り組みを実施してもらうようにしています。営業中に気づいたことがあれば、タイミングを見計らって教えることもありますね。ほかにもアシスタントスタッフ同士で、カットコンペに参加する機会を作ることもあります」
悩みや葛藤があってこそ、人は成長していく
――カットコンペはいい刺激になりそうですね。なぜ、コンペを実施しようとされたのですか?
「若手のモチベーションを上げるためです。若いスタッフにとって、カットコンペに参加することってハードルが高いのです。まだそんなにカットの経験が豊富にあるわけではありませんから。しかし、コンペが用意されるとなれば、挑戦せざるをえません。自分の技量に向き合うことになるんですね。そうするといまの自分ではまだまだ足りないことが見えてきます。そういう状況に置かれることで、“成長したい!”という思いが沸き上がってくるのだと思います。
私の立場からすれば、彼らが成長できる環境を用意してあげることが大切。高めのステージが用意されたことで若いスタッフには葛藤や悩みも生まれるのですが、それが成長へとつながっていくのだと思っています」
――モチベーションにつながりそうですね。
「はい。コンペだとたくさんの人に見られるなかでカットしていくわけですから、それはいい機会ですよね。美容師は人に見られる仕事ですし、人に評価されるような部分もある仕事。とても厳しい環境だと思います。だから、コンペくらいでへこたれないでほしいし、挑戦を糧にしてほしいですよね」
――お客さまとの関係作りの面で、スタッフを育成することもあるのでしょうか?
「言葉づかいをはじめとした最低限のマナーは身につけてもらうようにしています。そこから先の気遣いに関しては、もちろんアドバイスもしますが、自分で考えて実践してほしいですね。
たとえば、のどの調子がよくなくてせき込んでいるお客さまがいらっしゃることに気づいたら、そっとそばに飴を置いてさしあげるとか。そういった小さな気配りができるようになってほしいですね」
未来は、毎日の積み重ねの先にあると思っています
――『Liike』の今語の展望を聞かせていただけますか。
「常に“いまをがんばること”です。たとえば、どんどんお店を増やしていきたい願望はあまり持っていません。いまあるお店をよくしていくことだけを考えたいのです。いまのお店がよくなっていけば、自然にお客さまの数も増えていくはずですよね。そうするとスタッフの数も増えていくでしょうから、自然にいまのお店では手狭になるタイミングがやってきます。
店舗数を増やすとしたら、そういうタイミングでしょうね。最初から“お店を増やすぞ!”とガツガツするのではなく、常にいまだけ一生懸命な姿勢で臨んでいき、自然な流れが来れば、それを受け止めたいと思っています。未来は毎日の積み重ねの先にあるものですからね」