マニュアルにない技術だからこそ面白い『宇宙開発美容所』
アメリカ村らしい個性的なヘアスタイルを約20年前から発信し続けるハードパーマのトレンドセッター的サロンは、独自に編み出したオリジナル技術と高い完成度が魅力。後編となる今回は、特殊パーマやカラーが中心のお店ならではの大変さをはじめ、スタッフに求める条件などをオーナースタイリストの畑中さんに伺っていきます。
独立して初めて意識したスタッフ教育
――現在スタイリストを募集されていますが、求める人材はどのような人でしょう？
「当店では基本的に新卒者の募集はしておらず、最低2年以上の経験がある美容師を採用しています。というのも、店独自の技術が中心であるため新たに学ぶことが多く、基本的な技術がすでになければ一人前になるのにかなりの時間を要するので。もちろん人にもよりますが、当店で扱うすべての特殊パーマの技術を習得するのに約4年程度かかります。その間にも新たな技術や手法をどんどん開発していくので、正直仕事内容はかなりハードだと思いますね。求める人材は、熱意があって真面目な人。それにアートや音楽、ダンスなど、何かこれが好き！と言えるものがある人が理想的。特殊パーマやカラーは施術が長時間になるという大変さはありますが、それ以上にご来店されるお客様が個性的で面白いのが魅力です。また、マニュアルにない技術を学べるメリットもあるので、そういったプラス面をポジティブに楽しめる人に来てもらいたいですね。」
型にはまらない教育方針がモットー
――実際にスタイリストのレッスンなどはどのように行なっているのでしょう？
「現在は僕を含めて4人のスタッフがいますが、全体のレッスンは週に2回実施している朝レッスンのみです。それ以外は個々に自主レッスンを行なっていますが、中には店の定休日にレッスンをしているスタッフもいますね。当店はオリジナルの技術や道具が多いために覚えることが多く、そのため教え方もマニュアル通りにはいきません。実は独立して一番苦労したのがスタッフ教育で、技術同様に試行錯誤を繰り返した結果、あまり型にはめることなく自主性を重んじるようにしています。これはこれ、と押し付けるのではなく、スタッフ自身に考えさせることが大切。ちなみに、ドレッドにつけるビーズの中にはスタッフが手作りしているものもあるのですが、これもスタッフが自主的に製作し始めたものなんです。個人が持つアイデアを形にできる環境があるので、スタッフにはのびのびと成長してほしいですね。」
将来的には全国にお店を拡大したい
――お店として今後どう言ったビジョンや展望をお持ちでしょうか？
「まだ具体的なことは何も決まっていないのですが、全国にお店を出したいという夢があります。というのも、当店独自の技術が多いため近くのサロンでは思い通りの仕上がりにならなかったり、そもそも特殊系の技術を扱っていなかったりなどで、かなり遠方から来られるお客様が多いのです。そういったお客様ができるだけ負担が少なく通えるように、ゆくゆくは全国展開するのが目標。他にも、現在ドレッドに合うシャンプーや特殊カラーを際立たせるトリートメント剤などを店で作っているのですが、技術を含めてそういったプロダクトもさらに進化させていきたいですね。」
創り出すヘアスタイルの奇抜さや派手さにばかり目を奪われがちな特殊系スタイルのサロンの根っこには、個性的なヘアスタイルを生みだすために欠かせないテクニックや開発力がありました。他店にはないオリジナルの技術を持っているからこそ長い間特殊系サロンの第一線を走って来た「宇宙開発美容所」は、これからもどんどん進化を続け、誰もが見たことのないようなヘアスタイルを発信してくれるのではないでしょうか。
Profile
畑中利光さん
オーナースタイリスト
京都出身。高校卒業後、美容室でアシスタントとして現場で働きながら美容専門学校の通信教育で学ぶ。22歳の若さで独立して以来、唯一無二の個性を持つヘアサロンのオーナーとしてサロンワークを中心に活躍。
