美容師になって後悔しないために、就職前に考えておくべきポイント
“美容師になってから後悔する人もいます。これはどの職業でも同じで、美容師だけ後悔する人の割合が高いということではありません。どんな職業でも、事前に深い考えなしでその業界に入った人は後悔する確率が高くなります。
この記事では、美容師になった人が後悔しないように美容師の仕事内容や業界の実情を紹介します。そして、美容師が不満を持ちやすい部分について解説します。自分が美容師を続けられるかどうかを考えてから、あらためて本格的に美容師を目指すのがいいでしょう。
美容師の仕事内容と業界の実情
美容師の仕事内容は、美容師を目指している人なら当然知っているでしょう。後悔する原因は仕事内容そのものより、それによって起こる弊害です。
たとえば、肉体的な弊害で最たるものは手荒れです。お客様に対するシャンプーで手荒れがひどくなります。特にアシスタント時代は接客面ではシャンプーが主な仕事になるので、自然とシャンプーの回数も多くなり、手荒れが酷くなっていきます。
肌質が弱い、あるいは美容院で使っているシャンプーが刺激の強いものであるなどの原因で、人によっては「もうシャンプーができない」というレベルまで荒れてしまうことがあります。これは本人の自己申告ではなく、皮膚科からドクターストップがかかるレベルです。アシスタントがシャンプーをできなくなったら、ほとんどのサロンでは辞めるしかありません。しかし、美容師の免許はサロン以外ではほとんど役に立たないものなので、この時点で後悔するアシスタントは多くいます。
肉体的な弊害は他にもあります。腰痛もその1つで、一日中立ちっぱなしというのが原因です。悪化するとヘルニアなどの重い症状になることもあり、ここまで来ると手荒れと同様に美容師自体を辞めなければいけないこともあります。
時間的なデメリットについては、休日が少ないことが挙げられます。美容師の月間の休日は平均6~7日で、一般の会社員などと比較して少なくなっています。通常の休日が少ないことに加えて、有給休暇の消化率も非常に低い数値です。日本全体での有給休暇の消化率が約50%なのに対して、美容師は約37%です。大体2カ月に1回のペースで取るのが平均とされていて、友人の結婚式や親戚の法事など、どうしても休まざるを得ない時だけ有給休暇の取得が許されるという雰囲気があります。
また、土日・祝日にも休めません。お客様が土日に集中するのが理由で、少人数のサロンはもちろん、ある程度大きいサロンでも土日に休むのは至難の業です。これが原因で友達や恋人、家族と遊ぶ予定が合わずに困る美容師も多くいます。
待遇面では低収入ということがよく指摘されます。美容師の平均年収は約270万円です。平均年齢は約29歳なので、単純計算で「29歳で年収270万円」となります。一方、日本人全体の29歳の平均年収は411万円です。29歳の時点で約140万円も年収の差がついてしまうのです。これでは将来的に家族を養うのも、マイホームを建てることなども難しいでしょう。特に男性美容師は、このような現実をデビュー後に痛感することが多く、これも美容師になったことを後悔する原因のひとつとなります。
精神的なデメリットでは「接客業なので疲れる」ということもあります。美容師は感情労働でもあり、落ち込んでいる時でもそれをお客様に見せてはいけませんし、嫌なお客様が来店した時にも愛想よく振る舞わなくてはいけません。その他にも、特に人数の少ない小規模のサロンでは、他のスタッフと気が合わなかった時に非常に居心地が悪くなるなどのデメリットもあります。
美容師の仕事で自分がどこに不満を持つか考える
美容師の仕事内容や業界の実情を理解した上で、その中のどの部分に自分が不満を持つかを考えましょう。たとえば「給与が安いのは絶対に無理」ということであれば、美容師でも高給を得られる働き方を選択するか、美容師になることを諦めるか、どちらかの選択肢になります。美容師でも高給を得る方法はあり、業務委託や面貸しなどのスタイルであれば、完全歩合制で成果を出すことにより、月収で50万円~80万円程度を稼ぐことも可能となっています。もしそのようなスタイルで稼ぐ自信があれば、低収入という理由で後悔することはなくなるでしょう。
手荒れについては、体質が一番の原因なので、本人の努力ではどうしようもない部分があります。これは事前に自分の体質を確かめることが重要です。つまり、アシスタントになって実際にこなすだろうシャンプーの回数を1カ月~数カ月実際にこなしてみるのです。
アシスタントがシャンプーを担当する1日の最大人数は、10~20名が一般的です。最多人数が20名は普通ということで「1日10名のシャンプーだったら頻繁にある」と言えます。美容師の月の勤務日数は大体23日~24日ですから、これだけの日数、毎日10回シャンプーをしてみることです。手は美容師の平均程度に確実に荒れますが、それで自分の生活に支障が出るレベルかどうかを確認しましょう。もし生活に支障が出るようなら、美容師になった後後悔する可能性が高いので、進路の選択を慎重にした方がいいかもしれません。あるいは、オーガニックのシャンプーだったら手荒れが減る可能性もあるので、そうしたサロンでの勤務を検討してもいいでしょう。
腰痛の可能性についても、やはり同様に専門学校時代からシミュレーションをするのが一番です。自分が連続で何時間まで立てるか、それを何日まで続けられるかということを確認しましょう。手が腱鞘炎になるリスクも同時に計算するため、切り絵などハサミを使う作業をするといいかもしれません。腱鞘炎のリスクを計算できるだけではなく、ハサミを扱う技術も上がるので一石二鳥です。
腰痛のリスクについては、同じ時間や日数立ち続けていても、合間に軽く腰の運動をするなどの方法でリスクを軽減することも可能です。こうした訓練を美容師になる前にしておくことも美容師になったことへの後悔を減らすことにつながるでしょう。
「休日が少ない」ということについては、美容師の宿命に近いものです。人気スタイリストになれば業務委託・面貸しなどのスタイルで自由に出勤ができるため、休日を増やしたり労働時間を減らしたりすることも可能になります。しかし、そのレベルに行くまでは、やはり誰でも休日が少ないことに耐えなければいけません。
精神的な負担については、元来人と話すのが嫌いという人は、初めから美容師を目指さない方がいいでしょう。逆に「嫌いではなく苦手なだけ」という人なら、努力次第で接客のストレスは減らせますので、美容師を諦めるのではなく会話術などを磨く努力をするのがいいでしょう。
後悔しないように良いサロンをしっかり探す
美容師になってから後悔する原因については、「サロンによってはその原因がない」ということもあります。たとえば休日について「土日に休めないのが嫌だ」という場合、サロンによっては休むことができます。「月に1日~数日」などの条件で、土日でも休みを取っていいサロンが増えているのです。休日の日数自体もサロンによって差がありますし、有給休暇の消化率も大きく違います。休日が多く、有給休暇の消化率が高いサロンを選べば、休日に関する後悔は減るでしょう。また、手荒れや腰痛などの負担も、休みが多ければそれだけ減りますから、これらの原因による後悔も減ると期待できます。
そのような良いサロンを探すには、やはり多くの美容求人情報を見ることが重要です。たとえば「リジョブ」のような美容の転職求人に特化した情報サイトなら、より良い条件で働けるサロンが見つかりやすくなります。美容師になったことを後悔している人でも、せっかく取った美容師免許を無駄にしたくないはずです。一度視野を広げるためにも、多くの求人情報をチェックしてみるといいでしょう。”