【美容師のカット技術】QUEEN’S GARDEN by K-two 銀座 饗場一将さんが伝授! 今取り入れたい『重軽ネオウルフ』 #1
80~90年代に流行し、今また注目を集めている「ウルフカット」。ブーム再燃とはいえ、2019年のウルフカットは、もちろん現代風に進化をとげています。QUEEN’S GARDEN by K-two 銀座 饗場一将さんが提案する『重軽ネオウルフ』は、その代表格。今回は、スタイル提案にいたるまでのプロセスと、スタイルのポイントについて伺いました。
QUEEN’S GARDEN by K-two 銀座 饗場さんにインタビュー
「QUEEN’S GARDEN by K-two 銀座」代表 饗場一将さん
サロンワークで大切なのは「一生付き合える関係作り」
——サロンワークで心がけていることは?
サロンワークでは、お客様と一生付き合えるような関係を作りたいと思っています。そのためには、技術面はもちろん、人対人として真摯に向き合うことも大切。お客様から信頼していただき、「また髪を切ってもらいたい」と思っていただくために、美容師として何ができるのかをいつも考えています。一番大切なことは、その人の髪に対して、本人よりも愛情を注ぐことなんじゃないかなと思っています。
——「愛情を注ぐ」とは、どんなことでしょう?
どうしたらかわいくなるか、逆に何をしたらNGなのか、きちんと考えることですかね。髪質、生えグセ、ダメージまで理解して、ヘアスタイルを提案すること。そして、そのスタイルが、お仕事や生活などのバックボーンをふまえたもので、日常の中でも扱いやすく、お客様のライフスタイルにしっかりフィットしているかまで考えないといけないと思います。お客様本人のこだわりよりも、それを超えたこだわりを持っていないと、信じて任せていただくのは難しいんじゃないかなと思うんです。だから、ご希望をうかがったうえで、できないことがあればきちんとお伝えするのも愛情ですし、ご希望を踏まえて、さらにかわいくなれる提案をするのも愛情。どこまで真摯に、お客様の髪に向きあえるかが重要です。
新しいスタイルを考えるのはライフワークのひとつ
——トレンドに敏感でいるためにしていることは?
ファッションのコレクションは必ず確認しますし、雑誌は10代から60代向けまでひと通りチェックします。でも大切なのは、その取り込んだ情報を、どういう風に自分の中で変換するか。「これが流行ってるから」と、そのまま再現するのでは、自分がカットする意味ってないじゃないですか。トレンドを取り込んだうえで、自分の感性を通して、より輝くスタイルを作り上げていくことが大切だと思います。
——お忙しいなかで、新しいスタイルを考えるのは大変じゃないですか?
スタイルについては、考える時間をつくるというよりも、つねに考えていますから。そんなに大変だと感じたことはないですよ。仕事中とかも関係なくて、街を歩くときに「すてきだな」と思ったヘアスタイルを、自分だったらどうするかイメージしたりとか。そうやって考えていたものを、雑誌などの撮影でカタチにしてみることも多いです。業界誌ではちょっとチャレンジしたスタイル、サロンワークや一般誌では、トレンドをおさえたスタイル提案が多いです。
——では、最近のヘアスタイルの傾向について教えてください。
全体でいうと、ヘアもだんだんと「ジェンダーレス」になってきているなというのは感じます。女性が男性っぽいスタイルにしたり、男性が女性らしいスタイルにしたり。ヘアスタイルに性別の垣根がなくなってきた今、美容師の課題として「男っぽい、女っぽい」というような自分の中の当たり前を壊していかなきゃいけないですよね。あと、女性のスタイルでいうと、「エフォートレス」な雰囲気が全体にあると感じています。これまでは一定の層だけだった「ゆるい空気感」が、内巻きストレートが主流だったコンサバ層にもきている。寝起きみたいなのに決まっている、やりすぎないけど手をかけている感じは、みんなが求めていると思います。それを実現するためには、素の髪が健康で美しいこと、ベースに重さとツヤがあることにくわえて、美容師が計算してカットしてあげることが必要なんです。
——その空気感をつくるために気をつけることは?
その人に合うボリュームポイントとラインをしっかり作ること。これがブレなければ、本当の寝ぐせでもかわいかったりするんですよね。K-twoでは小顔カットの理論があるんですが、土台として理論があったうえで、顔型や髪のクセ、悩みを解決するカットや、トレンドを取り入れたカットをしていきます。例えて言うなら、きちんと基礎工事をした上に、今っぽい建設物をつくるイメージ。ベーシックなことはいつになっても変わらず、一番大切なところですからね。
——それでは、これから提案していきたいスタイルは?
今イチオシは、人気が再燃しているウルフカットに、今の空気感を取り入れたスタイル。昔流行したウルフカットは、トップが短く襟足が長いのが特徴で、くびれがついたシルエットでした。新しいウルフでは、このくびれていた部分に重さを加えることで、作り込んでいないエフォートレスな空気感が演出できます。毛先を軽くし過ぎないことで、ダメージも出にくくなりますし、日常での扱いやすさ、再現性も高くなります。重めベースとはいえレイヤーが入っているので軽やかですし、毛先にワンカールつけるだけで自然な動きが出てかわいいんです。
饗場さんが提案する『重軽ネオウルフ』
襟足にくびれがあった80~90年代のウルフカットのイメージを一新する、2019年の『ネオウルフ』カット。今っぽいゆるい空気感を作るため、全体に重さを残してカット。あごラインベースでレイヤーを入れていき、トップと毛先とのラインのつながりに丸みをつけている。ヘアアイロンまたはパーマで毛先にワンカールをつければ、カールが美しく重なり、作り込み過ぎていないのに決まるスタイルに仕上がる。
饗場さん流『重軽ネオウルフ』のいいところ
1.毛先に重さがあるのでダメージレス&扱いやすい
2.ワンカールつけるだけで毛先に自然な動きが出る
3.カジュアル過ぎず、キレイ過ぎないから誰でも似合う
「今」の空気感を取り入れた、2019年のウルフカットを提案してくれた饗場さん。カジュアル派からコンサバ派まで、幅広い層が取り入れられる『重軽ネオウルフ』は、今すぐ取り入れたいヘアスタイルです。後編では、提案いただいた『重軽ネオウルフ』の詳しいカット法をご紹介します。
▽後編はこちら▽
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取材・文:山本二季
撮影:片岡 祥
教えてくれたのはこの人!
饗場一将さん
QUEEN’S GARDEN by K-two 銀座 代表
都内1店舗を経て、2010年に株式会社K-twoエフェクト入社。現在はQUEEN’S GARDEN by K-two 銀座にて代表を務める。サロンワークを中心に、一般誌、業界誌、コンテスト審査員、国内外への講師など外部でも活躍中。2016年 JHA newcomer部門ノミネート、2018年 JHA 東京エリア賞受賞。ナチュラルからエッジの効いたスタイルまで、幅広い似合わせに定評がある。
インスタグラム https://www.instagram.com/ktwo_aiba/
Salon Data
QUEEN’S GARDEN by K-two 銀座
住所 東京都中央区銀座7-8-7 GINZA GREEN6F
TEL 03-6252-3285
URL https://k-two.jp/salon/ginza/