数々の雑誌で活躍中! 目の前のお客さまに幸せを届ける接客法で支持を得る『LONESS』のサロン運営術
考え抜かれたサロン作りで、オープン後まもなく人気サロンに成長した『LONESS』。多くの美容室が失客やスタッフの離職によりサロン経営に苦戦を強いられるなかで、今でも安定した経営を続けています。その陰には、雑誌に関わることで高い技術を求める姿勢や、感情でスタッフを動かさない丁寧なコミュニケーション術がありました。
後編ではお客さまの信頼をつかみ、売上を伸ばし続けるための地道な取り組みに迫ります。
雑誌に関わることは、発信にもスキルアップにもつながる
————集客で意識していることはありますか?
「サロンの発信だけでなくスキルアップにもつながるので、雑誌に関わる仕事にはとくに力を入れています。雑誌の現場はSNSとは違い、自分の好きなスタイルだけを作ることができません。ディレクションをする編集さんがいて、カメラマンがいて、そして僕たちがいます。表現したい作品のテイストがありますから、それに合った髪型を作る技術が求められるんです。もし形にできなければ、次回から呼んでいただくことはできません。表参道には約700件の美容室があり、雑誌に載れるサロンは10サロンほどです。お声が掛かかることで、自分たちの力を図る指標にもなります。SNSの発信は確かに集客にはつながりやすいと思いますが、インスタなどで有名になった方が雑誌の現場にくると柔軟な対応ができないこともしばしばあるんです。つまり、移り変わる流行に適応する力が鍛えられていないということ。お客さまの理想も年齢と共に変化するので、自分の好きなスタイルだけを作っていては一生のお付き合いはできないと思っています」
売上を伸ばすには、まず目の前のお客さまを幸せにすること
————SNSを使った集客には取り組んでいないのでしょうか?
「完全に個人に任せています。なぜなら発信を強制することで失客につながる可能性があるからです。インスタのヘアスタイルを5本上げる、動画を3本上げるなどのルールを決めると、頭の片隅で常にSNSのことを考えている状態になり、施術中にお客さまに100%集中できません。それは必ず伝わってしまうので、お客さまが離れる原因になるんです。ちなみに『LONESS』では個人の売上目標を設定することもしていません」
————売上目標を設定していない理由を教えてください。
「売上を上げるために、踏むべきステップが違うと思うからです。先に金額を考えて、それを達成するためにお客さまに対応するのではなく、始めに目の前のお客さまのことを考えて期待に応えることができれば、自然とお金はついてくると思っています。売上はお客さまを幸せにした数です。それを積み上げることだけを考えればよいので、目標金額の設定は必要ありません。ちなみに『LONESS』のなかで売上の低いスタッフはひとりもおらず、入社したばかりでもだいたい3ヵ月で月々の売上が100万円を突破しますね」
スタッフ同士の良好な関係を作るのは、上に立つ人間の役目
————「目の前のお客さまに集中できる環境を作ること」の他に、売上を伸ばすために大切なことはありますか?
「『LONESS』のウリはサロン全体の空間なので、アシスタントやスタイリストに生き生きと働いてもらうこともとても大切です。そのために、感情で人を動かさないことを常に意識しています。たとえば挨拶をされた時に適当にあしらう人は、不機嫌になることでその人を自分から遠ざけようとしているんです。つまり、感情でその人を動かそうとしています。1人のこの感情はサロン全体に悪影響を及ぼすので、大切なのは頭で一度考えて丁寧に言葉で伝えることです。とくに役職がついているスタッフには心掛けるように伝えています。職場の雰囲気を変えるのは、常に組織の上に立つ人ですからね」
————最後に今後の目標を教えてください。
「バランスのとれた教育を整えることが目標です。今後は社員100人を目指しているので、ある程度のルールは必要ですが、決め過ぎてしまっては働きにくくなると思います。もちろん『LONESS』のスタイルからずれていたら、びしっと言います。しかし『右に向いてほしい』と言ったときに、1mmの狂いもなく同じ方向を見る組織ではなく、左を向いているスタッフがいなければいいと思うんです。1人ひとりの自由をきちんと残して、個性を消さない教育を目指したいですね。すべてにルールを作るほうが統率を取りやすい一面もありますが、それは『LONESS』のスタイルと合いませんから」
ファンを獲得し続けるための極意
今年の3月には銀座店をオープンした『LONESS』。安定した成果を上げ続けるための極意をまとめると下記の3つでした。
1.雑誌に関わることで、発信と同時に技術を高める
2.目の前のお客さまに集中できる環境を作る
3.感情でスタッフを動かそうとしない
ファンの獲得に苦戦している方、チーム作りに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
▽前編はこちら▽
一流をターゲットにし激戦区で大成功!本物にこだわった空間で人気を集める『LONESS』の経営戦略>>