「オタクのお客さま」が求めているものは? ファンが増え続ける『深夜美容室TAMA』の取り組みに迫る!
西荻窪駅から徒歩30秒というアクセスのよさを誇る『深夜美容室TAMA』。セット面2席の小さなサロンは、「深夜営業&オタク・コスプレイヤーが通いやすい」というコンセプトが人気を呼び、全国で名前が知られるまでに成長。北海道から沖縄、果てはフランスからもお客さまが訪れています。
そこで今回は店長のTAMAさんと、ともにサロンを運営する合同会社『迅風社』代表kirinさんに、根強いファンを作り出す経営術について伺いました。
オタクのお客さまには「安心」を。一般のお客さまには「利便性」を
————まずは、こちらのサロンがお客さまに支持されている最大のポイントを教えてください。
TAMAさん「お客さまの価値観やご要望を、何よりも大切にしているからです。たとえば、当店では女性のお客さまに刈り上げスタイルをご提供することがよくあります。私たちはまったく違和感がありませんが、お客さまの話を聞いていると『そのスタイルは、やめたほうがいいですよ』などと、刈り上げを避けたがるサロンもあるそうです。もしかすると『女性にはそのような髪形は似合わない』という、先入観があるのかもしれません。
『深夜美容室TAMA』では、お客さまの理想を第一に考えているので、できる限りご要望に沿った施術を行っています」
kirinさん「他にもスタッフが全員オタクでコスプレイヤーであることも、ファンを獲得できている理由だと思います。『コスプレでウィッグをかぶるときの襟足を整えたい』などの必然性があり刈り上げを希望されているといった、お客さまの気持ちがよくわかりますからね」
————サロンには、オタクのお客さまがほとんどなのでしょうか?
TAMAさん「オタク&コスプレイヤーのお客さまと、一般のお客さまがちょうど半分くらいずつです。男女比も半々ですね」
————「一般のお客さま」に刺さっているのは、どのようなポイントでしょうか?
kirinさん「深夜までの営業が集客につながっていると思います。当店の営業時間は15時スタートで24時までの入店に対応しているので、サラリーマンのお客さまから『この時間帯にやっているお店は少ないから、ありがたい』とよく言っていただけますね」
特殊なコンセプトにマッチする人材は極めて貴重
————スタッフを採用するうえで工夫されていることはありますか?
kirinさん「サロンのコンセプトに共感してくれる美容師を採用することです。当たり前のことですがとても大切だと感じています。ちなみにTAMAは、もともと『迅風社』が経営しているコスプレができるバーのお客さんでした。ちょうどサロン立ち上げの計画をしている時期に『コスプレイヤーの美容師がいる』と他のお客さまから紹介され、スカウトしました。また、もう1人のスタッフもお客さまから『オタクで信頼できる美容師がいるよ』と紹介していただき、入社に至っています。
サロンのコンセプトにぴったり合う『オタクでコスプレイヤーの美容師』は、育てようとして育つものではありません。サロンのスタイルから外れている美容師を採用して、無理やりお店を拡大することはサロンの魅力を消すことになると思っています」
————休日などの待遇面について教えてください。
TAMAさん「疲れていては質のよい施術行うことはできませんから、必ず月8日休みを取って体調を整えています。サロンのスタッフは私ともうひとりなので、交代で休暇を取るようにしていますね。また出勤のストレスを減らすためお店の近くに引っ越しをして、そのための費用はサロンで負担してくれたので、とても助かりました」
オープンから描き続けてきた手書きのイラスト
————「サロンの内装」について、どのような工夫をされていますか?
kirinさん「開店当初は一般のお客さまには受け入れられないと思い、オタク的なアイテムは置くことを控えていました。しかし最近はそれほど気にしないことがわかったので、飾るようにしていて気が付いたらかなり増えましたね(笑)」
TAMAさん「店内だけでなく、入口の看板にはキャラクターのイラストを毎日手書きしています。その日が誕生日のキャラクターを選んで描いていて、お客さまからも好評をいただいていますね」
kirinさん「開店当初から続けているので、これまでに描いたキャラクターは、ものすごい数にのぼります。年々TAMAの画力が上がっていますね(笑)」
安定して成果を上げる極意
わずかセット面2つ、スタッフ2名の小さな美容室でありながら、月間売上は数百万円を越えるという同サロン。安定して成果を上げる秘訣をまとめると下記の3つでした。
1.オタクのお客さまと一般の顧客のニーズに沿ったサービスの追求
2.サロンのコンセプトにマッチする人材を採用し、無理な拡大をしない
3.お客さまとのつながりを内装に生かし、その世界観を楽しんでもらえるようにする
後編では最近開催したヘアショーの様子や、接客で大切にしていることについて迫ります。
▽後編はこちら▽
「オタクのお客さま」に刺さるコミュニケーションのあり方とは? 手書きイラストがあふれる『深夜美容室TAMA』のサロン経営の取り組みに迫る!>>
Salon Data
深夜美容室TAMA
住所:東京都杉並区西荻窪3-13-1 伊藤ビル2F
TEL:070-3168-5523
URL :http://salontama.moo.jp/index.html