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特集・コラム 2025-06-25

社会福祉士の給与・平均年収はどれくらい?資格を取得するメリットを紹介

社会福祉士は介護・福祉の相談業務に従事し、身体的・精神的に日常生活に困難を抱える人々をサポートする職業です。社会的な需要が高く、収入が安定している傾向にあるものの、活躍できる場所が多岐にわたるため、人によって年収に差が出る場合があります。

そこで本記事では、社会福祉士の給与を全体・施設別に詳しく紹介し、年収を高めるために意識したいポイントについても解説します。社会福祉士として、収入をより安定させていきたいと考える場合には、本記事の内容を参考にしてください。

社会福祉士とは

社会福祉士の仕事内容は、福祉関連の相談業務がメインです。「ソーシャルワーカー」と呼ばれることもあります。職場は福祉の事業所や病院などで、なかには社会福祉士の資格を持ったうえで支援相談員・生活相談員として活躍する方もいるでしょう。

身体的・精神的・経済的に困難である状況の方に対してサポートしたり、解決策を考えたりする仕事です。また、他の福祉のプロフェッショナルと連携して仕事を行います。

引用元
厚生労働省:社会福祉士・介護福祉士等の施策情報
公益社団法人日本社会福祉会:社会福祉士とは

社会福祉士の給与・平均年収はどれくらい?

国家資格であるため社会的信用性が高く、社会福祉士の資格を持っていれば医療・介護・福祉など、さまざまな分野で専門性を発揮できます。では、社会福祉士の給与・平均年収はどのくらいなのでしょうか。

ここでは、厚生労働省統計の「令和6年度介護事業者処遇状況調査結果」のデータをもとに紹介します。平均給料を把握することで、資格を取得し、働きだしてからの生活をイメージしやすくなるでしょう。

引用元
厚生労働省:令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果

常勤の社会福祉士の平均給与は約40万

厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果によれば、ベースアップ等支援加算を取得している事業所で勤務している常勤の社会福祉士の平均給与は39万7,620円で、介護職全体平均の33万8,200円よりも高い水準です。

また求人サイト「リジョブ」のデータによると、社会福祉士の月給の上限と下限は以下のとおりです。

正社員 月給下限 月給上限
スタッフ 257,269円 415,109円
リーダー(候補) 301,620円 448,537円

※2025年4月現在

このように社会福祉士の実際の給与は職場環境や労働条件によって異なりますが、介護職のなかでは平均給与が安定して高い職業のひとつだといえます。

常勤の社会福祉士の平均年収は約596万

上記の給料を12カ月分で賞与なしと考えると、平均年収が約477万円です。賞与が3カ月分出ると仮定すれば、約596万円になります。

社会福祉士のニーズは、高齢化社会が進む日本において高まってきており、今後さらに活躍の場が広がることが見込まれます。今後は年収だけでなく、待遇の改善も期待できる、将来性のある仕事だといえるでしょう。

非常勤の社会福祉士の平均給与は約14万

時給で働く非常勤の社会福祉士の平均給与は14万3,010円となっており、実働労働時間の少なさの影響もありますが、常勤の社会福祉士の給与(39万7,620円)よりも25万円ほど低い水準になっています。ただし、全体平均である12万9,880円よりは高い水準にあるのが特徴です。

施設別の違いを紹介|介護老人福祉施設・訪問介護事業所など

社会福祉士の平均給与は、下記のように勤務場所によって大きく異なります。

勤務施設の種類 令和6年 令和5年
介護老人福祉施設 40万490円 38万590円
介護老人保健施設 38万6,950円 38万4,350円
訪問介護事業所 42万1,190円 39万6,080円
通所介護事業所 38万8,880円 34万4,260円
通所リハビリテーション事業所 35万6,520円 35万150円
特定施設入居者生活介護事業所 38万9,280円 37万2,290円
小規模多機能型居宅介護事業所 35万4,470円 34万8,220円

引用元
厚生労働省:令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果

介護老人福祉施設と訪問介護事業所で勤務する社会福祉士の平均月給が高く、通所リハビリテーション事業所や小規模多機能型居宅介護事業所で働く社会福祉士の平均月給は相対的に低い傾向です。

社会福祉士の資格を取得するメリットとは?

社会福祉士の資格を取ることで得られるメリットは、下記のように多岐に渡ります。

・介護職のなかでは高待遇
・資格手当をもらえる可能性が高い
・昇進で有利になることもある
・活躍できる場所が多い
・公務員としても仕事の幅が広い
・ほかの資格を取得すればさらに活躍できる

ここではそれぞれのメリットについて、詳しく解説します。

介護職のなかでは高待遇

前述した令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果を見てもわかるとおり、平均月収・年収は令和5年度から上昇しており、収入アップの傾向が顕著です。具体的には、常勤の社会福祉士の平均給与額は、37万7,210円から39万7,620に増加しています。

社会的な介護サービスのニーズの高まりから、高待遇な職場も増えているのです。

引用元
厚生労働省:令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果

資格手当をもらえる可能性が高い

福祉・介護制度に精通していて、適切な相談業務を行える介護・福祉施設にとっては社会福祉士は貴重な人材です。資格手当をもらえるケースも少なくありません。

資格手当の平均額は1万円前後で、場合によっては2〜3万円ほどもらえる職場もあります。資格手当がついて収入の水準が高くなるのが社会福祉士の給料の特徴です。

昇進で有利になることもある

介護・福祉施設では、社会福祉士のような難関資格の取得・保有が昇進の条件になっている場所もあります。社会福祉士の資格を保有していることで、専門知識が豊富にあり、相談業務に従事できるスキルを証明できるため、勤務先へのアピールに役立ちます。

何らかの役職に就くことで、将来的な年収アップを目指せるでしょう。

活躍できる場所が多い

社会福祉士は活躍の場が幅広い職業です。

高齢者支援・障がい者支援・児童・母子支援など支援対象が多岐にわたるため、求人を見つけやすく勤め先に困らない点が強みといえます。たとえば特別養護老人ホームでは生活相談員、児童相談所では児童福祉司、学校ではスクールソーシャルワーカーとして勤務できます。

こうした観点から、社会福祉士は安定したキャリア形成を目指す場合におすすめできる国家資格です。

関連記事
社会福祉士として活躍できる就職先とは?最新の平均給与と仕事のやりがいも紹介

公務員としても仕事の幅が広い

社会福祉士が公務員試験に合格することにより、福祉職の公務員としてさまざまな施設で働ける点も強みのひとつです。役所で福祉保健課・生活支援課の職員として携われたり、公立病院・介護施設・地域包括支援センターなどで勤務できたりします。

福祉職は採用倍率がそれほど高くないため、公務員として安定して働きたいと考える場合には、社会福祉士の取得資格が有力な選択肢です。

関連記事
社会福祉士は公務員としても働ける!活躍できる職や受験資格、メリット・注意点について解説

ほかの資格を取得すればさらに活躍できる

社会福祉士とほかの資格を合わせて取得することで、更なる活躍が期待できます。

たとえば、精神保健福祉士を取得すれば精神疾患のある方への支援に特化でき、介護支援専門員(ケアマネジャー)は、高齢者福祉の専門性を高めるうえで有効です。また保育士の資格があれば子育て支援の分野で活躍できます。

社会福祉士は単体でも就職先が豊富な資格ですが、ほかの資格を組み合わせると、より活躍の場を広げられるでしょう。

関連記事
社会福祉士と精神保健福祉士のダブルライセンスは可能? 取得する方法を紹介

社会福祉士が給料をアップさせる5つの方法

ここからは、社会福祉士が給料をアップさせるには、どうしたらいいのかについて紹介していきます。社会福祉士は資格手当などもつき、安定した給料を受け取れることの多い職種ですが、給料に満足できていない方もいるでしょう。

今の事業所のまま簡単に給料アップが見込める方法のひとつとしては、夜勤に入るという方法があります。それ以外は以下で紹介していくので参考にしてみてください。

1. 役立つ資格を取得してキャリアアップ

社会福祉士の資格以外に、新たな資格を取得することでさらなる相乗効果が期待でき、給料アップにつながります。

代表的な資格としては、精神保健福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)・介護職員初任者研修などがあります。これらの資格を取得することで、現場でできることが広がり、仕事の役割も増えていくことから自ずと給料アップにつながるでしょう。

2.より待遇のいい職場に転職する

社会福祉士が活躍できる場は広く、働く場によって収入が大きく異なります。現在の職場で給料アップを目指すことがむずかしい場合は、より条件のよい職場に転職することもひとつの方法です。

ただし、年齢を条件としている施設もあるため、注意するようにしましょう。

3. 経験を活かして独立開業する

社会福祉士は独立開業でき、その際の条件や年齢制限はとくにありませんが、独立開業は収入が不安定になったり、責任が重くなったりなどのデメリットもあります。

ですがその一方で、仕事の自由度が増し、自分の能力や希望に合った仕事や地域に密着した仕事ができるというメリットも。さらには、成年後見人の業務を行うなど、業務の幅を拡大していくことで収入アップも可能です。

以下の記事では社会福祉士の独立について解説しているので、気になる方は参考にしてみてください。

関連記事
独立型社会福祉士とは? どんな仕事をするの?|社会福祉士として独立するメリット・デメリット

4. 成年後見人としても活動する

成年後見人は、認知症・知的障害、精神障害などの理由により、判断能力が充分ではない人を保護し、支援する役割を有しています。

具体的には、財産の管理・身のまわりの世話・施設へ入所する際に必要な契約手続き・悪徳商法への被害を防ぐことも役割です。社会福祉士として経験を積み、より専門的な知識や技術を持つことで成年後見人として活動できます。

5. 副業をする|セミナー講師など

現在の職場に身を置きながら、セミナー講師などの副業をすることで収入をアップできます。社会福祉士の知識や経験を活かしてセミナー講師を行えば、幅広い分野の人に発信できるでしょう。

ただし、まずは現在勤めている職場の就業規則を確認することが重要です。そして、副業が禁止されていないことを確かめるようにしましょう。

より給料の高い職場とは

社会福祉士として新しい場所でキャリアや給料をアップさせる方法があり、ここでは、給料アップに繋がりやすい勤め先などについて、具体的に解説します。社会福祉士と一言で言っても、さまざまな働き口があります。

介護の事業所だけでなく、ほかにもどのような場所で働けるのかや勤め先による給料の差を事前に知ることで、就職活動を行う際に役立つでしょう。

社会福祉士の具体的な働き口

社会福祉士の就職先には介護・福祉・医療・教育施設があります。具体的には下記のとおりです。

・高齢者や障がい者関係:介護施設、居宅サービス事務所
・児童・母子関係:児童相談所、保育所、保護施設
・生活保護関係:保護施設、無料低額宿泊所
・地域福祉関係:福祉事務所、社会福祉士事務所
・医療関係:病院、診療所、クリニック
・学校教育関係:小学校、中学校、高校、大学、短大
・司法関係:矯正施設、厚生保護施設
・行政機関:市役所、町村役場

自分自身のスキルに見合った職場で、給料や福利厚生がいい職場を選びましょう。

1番給料の高い事業所は訪問介護事業所で約42万円

社会福祉士は事業所によっても給料の違いがあります。令和6年度における厚生労働省のデータによると、1番給料の高い事業所は、「訪問介護事業所」で約42万円です。

訪問介護が給与の高い背景には、1対1で利用者の命を預かる仕事なので、高い専門性が求められ、責任も重い点が挙げられます。

社会福祉士として働くのに、給料の高い事業所がいいと考える場合は、参考にしてみてください。
引用元
厚生労働省:令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果

役所や児童相談所などの公的施設で安定的に勤める

安定的な給料を得られる職場として、役所や児童相談所などの公的施設が挙げられるでしょう。社会福祉士の資格に加えて、役所や児童相談所などで働くときは、公務員試験を受けて合格することで、「公務員」として働くことができます。

給料は公務員給与規定に沿って支払われるため、安定した給料を得ることができるのがよい点だといえるでしょう。

給料アップにおすすめの資格を紹介

社会福祉士としてさらに給料アップを目指していくために、おすすめの資格を紹介します。社会福祉士とは別に、介護系の違う資格を取得することで、仕事の幅が広がり、さらなる給料アップに繋がることも。

ここでは、給料アップに繋がりやすい精神保健福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)・認定社会福祉士の資格について紹介していきます。どのような内容の資格か確認してみましょう。

精神保健福祉士

社会福祉士とあわせて取得する資格として、精神保健福祉士は非常におすすめです。
精神保健福祉士は、精神障がい者の支援をはじめ、メンタルヘルスの課題にも対応する専門職であり、活躍の場は福祉・教育・労働など幅広い分野へと拡大しています。
社会福祉士とのダブルライセンスにより、生活面と精神面の両方からクライアントを専門的にサポートできるようになるため、より重宝される存在となり、収入アップが期待できるでしょう。
精神保健福祉士試験の受験資格を得るためには、一般養成施設(学習時間:1,050時間)または短期養成施設(学習時間:660時間)のいずれかで学ぶ必要があります。このうち、すでに社会福祉士の資格を持っている場合は、短期養成施設を受講すると受験が可能です。
引用元
公益財団法人社会福祉振興・試験センター:[精神保健福祉士国家試験]
公益財団法人社会福祉振興・試験センター:[精神保健福祉士国家試験]受験資格(資格取得ルート図):福祉系大学等
厚生労働省:精神保健福祉士について
日本精神保健福祉士協会:精神保健福祉士について

関連記事
社会福祉士が精神保健福祉士になるには? 目指す方法や仕事内容・給与の違いを紹介

介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員(ケアマネジャー)は、保健医療福祉分野での実務経験が5年以上、かつ900日以上ある人を対象とした資格です。介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、さらに実務研修を修了すれば資格を取得できます。

介護支援専門員のおもな役割は、要介護者や要支援者をサポートすること。訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを受けられるように、まずは要介護者や要支援者の状態や要望などを把握します。

そのうえで、ケアプランの作成や市町村・サービス事業者・施設との橋渡しの役割を担います。介護保険サービスを受けるためには、介護支援専門員の作成したケアプランが必要となります。そのため、介護支援専門員は介護保険のプロともいえる職種です。

社会福祉士と介護支援専門員の資格を持っていることでさらに仕事の幅が広がり、給料がアップする可能性が高まるでしょう。

関連記事
知りたい!ケアマネジャーとして働く魅力とは
ケアマネジャーになるにはどうすればいいの?|受験手続きについて紹介!

認定社会福祉士

認定社会福祉士は、専門知識やスキルを身につけて、他職種との連携、地域福祉などへの取り組みなどの実践力を認定する資格です。所属する組織で高度な知識を用いて相談業務に従事し、複数ケースへの対応の可否やリーダーシップの有無などを証明します。

高齢分野、障害分野、児童・家庭分野、医療分野、地域社会・多文化分野の、各分野で認定福祉士としての認証が行われます。

引用元
認定福祉士認証・認定機構:「認定社会福祉士」「認定上級社会福祉士」とは

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