本当に欲しい人材って? 採用担当のホンネ【Nalu pu loa 西山裕さん】
「面接で何をみているのか」、「どんな人材が欲しいのか」など、採用担当のホンネを探るこの企画。今回は、自己PR動画を採用に取り入れるなど、さまざまな取り組みを行っているヘアサロンNalu pu loaの代表取締役・西山裕さんにお話を伺いました。
「お互いの将来のために会社の理念、ミッション、仕組みなどの共有」を大切にしている西山さんならではの取り組みは必見です!
今回お話しを伺ったのは…
Nalu pu loa 代表取締役 西山裕さん
都内のサロンで腕を磨いた後、1997年渋谷に『Nalu pu loa ohana』をオープン。現在は原宿、表参道エリアに『Nalu pu loa ohana』『ROOMOO』『Tsum』『BOTAN』の4店舗を展開中。激戦エリアでハイセンスな方々から支持を集めている。
会社への貢献度も評価。会社員と同じ評価軸を導入
――まず、Nalu pu loaグループはどのようなサロンでしょうか?
Nalu pu loaグループは、「社会に貢献できる企業になること」を目指しているサロンです。当社では、「お客さまの満足度追求のために働く」と「人財育成をしながら仕事を楽しむ」という理念を掲げており、日頃から社内全体で共有をされています。また歩合制ではなく「評価制」を導入していることが大きな特徴です。
――「評価制」について、もう少し詳しく教えてください。
サロンでは、売上だけを見るのではなく会社への貢献度も評価しており、役職に応じて給料を支払っています。貢献度は、思いのほか見落とされがちですがサロンを長く続けるためには欠かすことはできません。たとえば、営業はいまひとつでも教育がとても上手なスタッフがいたとします。歩合制では、そのスタッフを適切に評価できないため「自分は会社に貢献できていないかもしれない」と落胆させてしまうかもしれません。
しかし、サロンにはそのスタッフのような美容師が必要です。美容師が1人で達成できる売上は、ひと月でだいたい100万円前後。それ以上を狙うためにはアシスタントの存在が必要になります。多くの場合、アシスタントは先ほど例に上げたスタッフに育てられているので、その指導力は大切にしなければなりません。そこで私は「教育という貢献度をしっかりと評価したい」と思っています。他にも、役職が高ければ退職金を多く支払う制度も整えているなど、普通の会社と同じスタイルですね。
自己PR動画の導入で学生の個性をチェック!
――それでは、採用の流れを教えてください。
採用は大きく3ステップに分かれており、1次選考では履歴書、全身写真、自己PR動画をチェックしています。履歴書は学生の大まかな情報を知るために必要です。また、全身写真では「センスがサロンの雰囲気と合っているか?」を見ています。そして、自己PR動画は、今年から新しく導入した採用方法です。
――その「自己PR動画」について教えてください。
自己PR動画では、自分の強みを自由に表現した作品を送ってもらいます。内容は本当にお任せで、これまでにはYouTuber風や公園で撮られた動画などがありました。作品はスマホで撮られて、手軽な編集ソフトで加工されていることが多いですね。とても魅力的な雰囲気にもかかわらず、あえて顔を出さないなどセンスが光る内容もありました。テイストは本当にさまざまで、それぞれの個性が詰まっているので本当におもしろいです。
――ちなみに、学生はサロンのことをどのようにして知るのでしょうか?
最近は、インスタグラムをきっかけにして応募の連絡が届くことが多いですね。また、これまでには、美容学校の先生からもよくご紹介をしていただきました。私たちは2~3回の面会で合否を出さなければならず、この回数では本来の姿はなかなかキャッチできません。一方、先生方は2年ほど顔を合わせていて、きっといろいろな一面を見ていますから「その経験はとても心強いな」と感じています。
リモートのメリットを活かしながら、対面の大切さも忘れずに!
――書類&動画選考の次は、どのようなステップがありますか?
続いて、学生4~5人と人事数名の集団スタイルでの一次面接を行っています。今年は「対面かリモートか」を選んでもらい、オンラインでも対応をしました。面接では、清潔感やコミュニケーションを取っている時の姿勢、説得力などの項目をチェックしており、私たちはチェックシートを記入しながら4段階で評価をしています。
また選考のなかでは会社の理念、ミッション、仕組みなども伝えており、この説明はお互いの将来のためにとても大切です。ちなみに、リモート面接ではオンラインならではの難しさも感じましたね。
――それは、どのような難しさでしょうか?
「リラックスをし過ぎてしまうな」と感じました。オンライン面接では、自宅にいる状態で受け答えするので大半の学生はかなり落ち着いています。力が抜けている時には、自分のペースを守ることができるため、よく見えますが実際に働くサロンは現実の場です。そのなかでは、周りの状況を読みながらスムーズに動かなければなりません。この柔軟な対応力は、リモート面接で確かめることが、なかなかできません。そこで採用では一次面接か二次面接のどちらかで、会う機会を設けています。
――二次面接では、どのような話をしていますか?
この時には、採用の方向で話を進めているので最後のすり合わせがメインです。面接では、会社の理念や評価制度などを改めて説明しています。
――入社2年目の鈴木亜実さんを採用した決め手を教えてください。
リーダーシップがあったからですね。彼女には、自分が中心に立って周囲を引っ張っていくような雰囲気がありました。彼女が入社した年は、新卒の採用をグッと増やしたタイミングだったので、「核になるような存在がいたらうれしいな」という考えもありましたね。実際に、日頃のサロンワークでとても活躍してくれています。
ここからは西山さんが選んだ鈴木穂乃花さんにお話を伺います。
西山さんが採用を決めた人材:ROOKIE’S FILE 鈴木亜実さん
神奈川県横浜市出身の22歳。山野美容芸術短期大学を卒業後『Nalu pu loa』に入社。現在は『tsum』で活躍中。趣味はYouTube鑑賞、ギター。
――美容師を目指した理由は?
小さい頃から、友達の髪の毛をアレンジすることが好きだったからです。喜んでくれると、とてもうれしかったので「美容師になりたい」と、思いました。
――Nalu pu loa グループへの入社を決めた理由は?
直感です! 初めてお店に行った時、スタッフさんの接客、雰囲気、すべてがとても気に入りました。
――将来の目標は?
常に笑顔でいることです。紹介から、たくさんお客さまが集まるような美容師になります!
採用担当のホンネから分かった3つのポイント
1. 自己PR動画の導入で、学生の個性をチェックする
2. リモートのメリットを生かしながら対面も大切にする
3. サロンの理念や評価制度の共有を入念に行う
最近の学生は、真面目だという西山さん。「とても仕事熱心ですが、その分、抱え込む傾向もあるので日頃から話をしやすい環境作りを意識しています」と笑顔で話します。自己PR動画など、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?