「似合う」と「なりたい」の最適解をビューティーフィッターで見つける【株式会社 galdy. 代表取締役 大友和子さん】#2
ヘアセットやメイクアップに体系的な理論を導入し、美容師のスキルアップと顧客満足度の向上を目指し講習活動を行う、galdy.代表の大友和子さんへインタビュー。前編では理論構築に向けて試行錯誤をつづけた日々や、起業に至るまでの想いをうかがいました。
後編ではgaldy.が新たに提唱するビューティーフィッター理論の詳細と、経営者とプレイヤーを両立するための心掛け、進化し続けるための新たなビジョンについてお話しいただきました。
すべての美容師・お客様に満足を。理論×デジタルで叶える理想
──これまでの理論をブラッシュアップした、新しい「ビューティーフィッター理論」について教えてください。
当社オリジナルのシステムを使い、お客様のお顔のバランスやパーツの形状など約20カ所を計測して、お顔立ちをエレガント・シック・クールなど11タイプに分けて診断。それぞれのタイプに応じた最適なスタイルが、誰でも簡単に導き出せるという理論です。
診断結果から導き出した最適なスタイルはタブレットやパソコン上でお客様にお見せできるので、美容師とお客様との行き違いが減り、より納得いただける提案を自信を持って行うことができます。
──実現するまで、どのようにして必要なデータを集めたのですか?
お顔の診断に関する膨大なデータを収集し、それをもとに検証を重ねながら理論を構築しました。ベースは私が考えていますが、スタッフからもたくさんのアイデアをもらい、サロンでの実地テストも重ねました。
最初は手動で診断する形式を考えていたのですが、誰もが安定したクオリティでスピーディーな対応ができるよう、パソコンやタブレットで撮影した顔画像を診断するシステムに変更しました。当初は1年ほどで完成する予定でしたが、想定よりも長い期間がかかりました。
──諦めかけた時もあったのでしょうか?
いえ、全くありませんでした。美容業界に必要な理論だから、予算や年月をかける価値があると、諦めず開発を続けてきました。
プレイヤーと経営者の両立、その過程で見えた課題
──理論の構築に力を注ぐ一方、経営者としてはどんなことを心がけてきましたか?
もともと現場が好きなプレイヤータイプなので、経営者としてはまだまだ成長途中です。それでもここ数年は、galdy.を一緒に支えてくれている仲間の強みを生かし、それを伸ばすことの大切さを強く感じています。
たとえば、取締役は創業時から一緒に伴走してくれているのですが、彼女の強みや良さは私にはないものなので、私より彼女のほうが向いている思った業務は、どんどん信頼して任せています。
以前は何に対しても、私が「こうしよう!」と独断で決めてしまうということが多かったのですが、それぞれに強みがあって、能力も違いますよね。
もちろん会社のトップとして理念を掲げ「こうやっていく」と旗をふることは大切ですが、仲間の強みを生かし成長できる環境を整えること、そして「galdy.で働けて幸せ」と感じてもらえる場所をつくることが、私がやるべきことだと強く感じています。ほかのスタッフに対しても、それぞれの長所に合った仕事を任せるようにしています。今では、スタッフみんなのアイデアから新たな発見をすることも多くなりました。
──経営者として、参考にしているロールモデルはありますか?
仕事柄、たくさんのオーナーさんと交流させていただくのですが、本当に勉強になることばかりです。とくに、スタッフの方がいきいきと働いているサロンの経営や組織づくりからは、多くを学んでいます。
美容業界を超えて必要とされるビューティーフィッター理論
──コロナ禍で講習にも影響はありますか?
確かに対面での講習会は減っていますが、逆にオンラインでの開催が増えています。全国各地から依頼をいただいているので、画面越しでも伝えられるカリキュラムづくりにも取り組んでいます。
──講習を受けたみなさんからの反響を教えてください。
ビューティーフィッター理論を導入したサロン様からは、売り上げ増やリピーターの増加といったうれしい反響を多くいただけています。年間売り上げ180~200%増というお客様もいらっしゃいますよ。
現場の美容師の方が「これまで苦手だったカウンセリングやセットが楽しい」と言ってくださるのが何よりうれしいです。お客様に満足していただける提案や技術が提供できれば、結果的にリピート率や売り上げに反映されていきます。それにより美容師としてのやりがいをさらに感じられる好循環を目指しています。
──美容師とサロンの抱える課題を見事に解決していますね!
お客様がリピートしない理由で多いのが、「なんとなく」。つまり「印象に残らなかった」ということ。逆に言えば、お客様が今まで体験したことのないサービスを提供し、お客様にとって強烈なプラスの印象を残すこと、これが本当に大切です。
お客様に合ったスタイルをプロならではの視点でしっかりと提案してくれる美容師には、次回もお願いしたいですよね。
ビューティーフィッター理論があれば、お客様に似合うスタイルをスピーディに割り出せるので、それをベースに自分なりに工夫する余裕も生まれます。それによって、お客様の満足度を上げ、次回の予約へつなげることができるんです。
──美容師さんにとってもお客様にとっても、必要と思える理論ですね。
本当に必要と感じているからこそ、私たちも自信を持ってお伝えしていますし、受講いただいている美容師のみなさんやオーナーさんもそう感じてくださっていると思います。
より多くのお客様に「見た目が変わると人生が好転する」体験を
──今後の展望を教えてください。
ビューティーフィッター 理論は、アパレルや求人業界など、他業界でも活用できる可能性を感じています。実際に美容以外の業界でのセミナー依頼も着実に増加していて、研究を重ねれば日本だけではなく海外でも活用できると考えています。
「見た目が変わると人生が好転する」という体験はかけがえのないものです。今後もビューティーフィッター理論を広げていき、少しでも多くの方にこの体験をしていただけたらうれしいです。
大友和子さんがヘアセット・カウンセリング理論の構築で成功した秘訣
1. ふとした疑問からヒントを見つけ、新しいアイデアを生み出す
2. 困難と思うことでも熱意を周囲に伝え実現に結びつける
3. やれることの限界を決めず、挑戦し続ける
取材・文/杉本 陸
撮影/石原麻里絵(fort)