【子育て応援メソッド】子どもが小さいとき限定!と割り切って働き方をチェンジ 鎌倉Retreat Spa SUI田邊恭子さん♯2
鎌倉長谷の海見えサロン「鎌倉Retreat Spa SUI」を主宰する田邊恭子さんに、仕事と育児の両立についてインタビュー。前編では、ママになりたいという夢の叶え方や、多忙なママセラピストの心の整え方などをお聞きしました。
後編では、仕事と育児を両立するためのより具体的なリアルライフに迫ります。個人サロンを運営するママ美容家さんにも参考になることをたくさんご紹介いただきました。
お話をお伺いしたのは…
鎌倉Retreat Spa SUI主宰
田邊恭子さん
大学卒業後、大手エステサロンに勤務。ブライダルサロン、都内ホテルのスパ店長を経て、大好きな鎌倉へ移住。長谷に海見えサロン「鎌倉Retreat Spa SUI」を開業。セラピスト歴14年1才男児のママ。
保育園の時間内におさまる働き方にシフト
──産休・育休はどれくらいとりましたか?
2ヶ月くらいです。産前は2週間前まで施術をしていて、産後は2ヶ月で復帰しました。息子はまだ保育園に入れていなかったのですが、年末にトリートメントを希望されるお客様が多いので、主人が休みの土日のみ、リピーター様限定でお受けしていました。
──鎌倉エリアの保育園事情はいかがですか?
保育園に関しては、妊娠してすぐに市役所に相談に行きました。生後2ヶ月で申し込みはしていましたが、やはり年度の途中だと難しくて、入園できたのは4月時点の生後6ヶ月のときでした。でも都内に比べたら、鎌倉エリアは比較的入りやすいのかもしれません。家からいちばん近い公立の認可保育園に入れたので通園も楽で助かっています。
──お仕事は保育園の時間内で間に合っていますか?
最初は、日曜に子どもを主人に任せてサロンを開けていたのですが、主人も生後数か月の赤ちゃんをひとりでみるのは大変だったんですよね…。はじめてのことでやってみないと分からなかったので、予定通りに行かないのは当然ですよね。
いまは、保育園の時間に合わせて、基本的に火~土曜の9時~18時におさまるような働き方にしています。その中でやれることしかやらないと自分の中で割り切りました。
子どもが生まれる前は、20時スタートの施術もお受けしていて、「仕事終わりにできていいわ」と地元の方にも好評でしたが、いま営業時間は10~17時にさせていただいています。長時間の営業は、子どもにも主人にも負担が大きいですし、自分にゆとりがなくなって、せかせかした施術は何よりお客様に申し訳ないです。
子どもの急な体調不良時は、誠意をもってお断りすることも必要
──お子さんの体調が悪いときはどうされていますか?
保育園に入園したばかりのときは、本当に風邪ばかりひいていて、サロンの予約も控えめにしていました。子どもの体調が安定してきたときに、通常の予約受付を開始したのですが、先日、子どもが突然熱を出して。その日は、10時から新規の方の予約が入っていたので、保育園に早めに送る予定だったんですね。でも、いつもより食欲がないなと思っていたら、たちまち熱が上がってきました。主人も仕事を休めないし、実母は高齢で遠方に住んでおり、義母も仕事を持っているので急に預かってもらうのは難しくて、どうしても預け先を見つけることができませんでした。
基本的に、当日キャンセルはしないという考え方だったので、自分の中ですごく葛藤しましたが、お客様が家を出てしまう前にと思い、お電話をしました。お客様も小さいお子さんがいらっしゃる方で、「ぜんぜん大丈夫ですよ」とご理解いただけたのですが…。当日にお断りするのははじめてだったので、不完全な思いは拭い去ることができずにいますが、不安がお客様に伝わってしまうような施術になってしまうのも良くないですよね。病児保育に預けられるようになるまでは、誠意をもってお断りすることも必要なのかなと思っています。
わたしも子どもの風邪が染ってしまったことがあって、セラピスト養成スクールの講師の仕事を他の先生に替わっていただいたこともあります。そのときは、本当に助かりました。ホテルスパ勤務時代も、お子さんが熱を出てしまったときは、他のセラピストが交替していました。サポート面を考えると、子どもがある程度の年齢になるまでは勤務という形もありかもしれません。
──仕事と育児を両立する上で助けられている人は?
サロンの予約が早い時間に入っているときは、いつもより1時間早く預かってもらうなど融通をきかせてもらっているので、やはり保育園には助けられていると思います。
主人は、もともと料理するのが好きだったみたいで、大人のご飯を作ってくれることが多いです。時間があるときは、子どもの面倒もみてくれるし、掃除や洗濯もしてくれます。わたしが間に合わないときは保育園のお迎えにも行ってくれます。主人に子どもを任せるときは、近所に住んでいる義母も一緒に見てくれているので、家族にももちろん感謝しています。
人生を思いっきり楽しむ女性を増やしたい
──最後に、今後の目標を教えてください。
サロン運営の理念に「人生を思いっきり楽しむ女性を増やしたい」ということを掲げています。お客様にはもちろん、スクールの生徒さんにも、セラピーで自分の人生が楽しくなった、好転したという人を増やしたいです。そのためには、サロンとスクールの運営を一生懸命やることですね。
それから、コミュニティみたいなものを作れたらいいなと思っています。鎌倉に移住してきてすぐ、居酒屋さんでバイトしていた時期があったんですね。そのときに、すごく楽しそうな女性グループのお客様がいらっしゃって。思わず、どんな集まりなのかお聞きしたら、鎌倉エリアで起業する女性事業者が集う「かまフル」というコミュニティの方たちでした。鎌倉エリアの情報やスキル・知恵の交換の他、イベント開催もされています。鎌倉に引っ越してきてすぐだったので、わたしも仲間に入れていただき、いろんなことを教えてもらいました。ママの集まりになるか、ビジネスの交流になるかまだ分かりませんが、そんなコミュニティを作れたらいいなと思っています。
──ママとしての目標は?
セラピストの仕事をしていく上で心理面の勉強もしてきたので、それを子育てにも活かして、自己肯定感の高い子に育ってほしいと思っています。自尊心を持って、楽しい人生を送ってほしいですね。
以前は、子どもが泣いていると、自分が悪いと思ってしまうことがあったのですが、最近は「子どもは泣くのが仕事。いつも自分に原因があるわけではない」と思うようにしています。ママが楽しそうに仕事をしたり、趣味を楽しんでいたほうが子どもにも良い影響があると言いますしね。
田邊さんがママになって変化したことは
ママになる前に思い描いていた通りには、なかなかいかない仕事と育児の両立。田邊さんが前向きに考えて、これまでのルールと変えたことは、以下の3つです。
1.保育園の時間内でやれることをやると決めた。
2.子どもの体調不良時は誠意をもってお断りする勇気をもつ。
3.子どもが泣いたとき、自分のせいだと思わない。
取材・文/永瀬紀子