自信が持てない施術で迷いを抱えるセラピストを救いたい!セラピスト森川まきさん♯2
セラピスト歴16年、「小顔のプロ」として活躍されている森川まきさん。
前編では、解剖学に基づいて顔のゆがみを整える「小顔美容矯正」など施術内容について詳しく伺いました。
この後編では、表参道と京都、2つのサロンをおひとりでどう運営されているのか。また、開講するスクールについても伺っています。まきさんのスクールには、すでにサロンを経営しているが、実は施術に自信が持てない生徒さんが多いそうです。個人サロンが増えている今だからこそ、正確な知識と技術を身につけることがセラピスト自身を守ってくれるとまきさんはおっしゃいます。
お話を伺ったのは…
relaxation salon N°572
オーナーセラピスト 森川まきさん
OLを経験後、セラピスト養成スクールへ。スクールの直営店である某大手リラクゼーションサロンに勤務。セラピストとして施術を行う傍ら、インストラクターを兼任。100名以上をセラピストとして卒業させる。5年後、自宅サロンを運営しながら、美容皮膚科にカウンセラーとして勤務し、解剖学的な皮膚・美容について学ぶ。2015年、京都四条河原町にrelaxation salon N°572を開業。東京表参道にもN°572を出店。顧客にはモデル・タレントも多数。2016年 小顔セラピストスクール開講。小顔アドバイザーとして東京・大阪など各地でセミナーを開催。2020年 勝山美容矯正 正規分校・講師資格取得。スクール名を東京表参道&京都美容矯正スクールに改名。
表参道⇔京都の二拠点活動でリフレッシュ
――2拠点で活動されるようになったきっかけを教えてください。
兄夫婦が表参道で美容室を営んでいるのですが、そちらのお客様から施術のご依頼をいただいたことが東京での活動の原点です。京都にサロンを開業した半年後のことで、最初は美容室の一角で施術を提供していました。始めたころは、1ヶ月のうち2~3日を表参道でというペースでしたが、だんだん表参道の予約がとりにくい状況になってきて、5日、1週間と徐々に滞在日数を増やしていきました。現在は兄の美容室から、お客様にご紹介いただいたサロンに場所を移して施術を提供しています。
――京都のサロンはどんな場所にあるのですか?
京都のサロンは、ホテルのフリースペースをレンタルしています。こちらは、一般の方も利用できる場所で、アパレルやジュエリーブランドの展示会などが開催されることもあります。京都には10日間くらい滞在することが多く、だいたい2ヶ月前くらいにホテルの空きを確認して、日程を確保してからお客様にご案内しています。ベッドなども全部ひとりでセッティングするんですよ。こちらの場所もお客様からご紹介していただいた場所なんです。お客様とのご縁には、本当に感謝しています。
――東京と京都でなにか違いはありますか?
価格も施術内容も同じです。お客様の層が、東京は30~60代がメイン、京都は20~50代がメインなので、京都のほうが少し若いことくらいですね。
――二拠点ともまきさんおひとりでやっているのですか?
はい、そうです。
――二拠点活動のメリットとデメリットを教えてください。
メリットは両方の良さを感じられることです。東京では刺激をもらえて、京都は初心に戻れて新鮮。両方のサロン運営のためにリフレッシュできていると思います。
デメリットといえば、交通費と移動時間がかかることですかね。でもわたしにとっては、二拠点がちょうどいい切り替えになっています。
スクール受講でリピーターが圧倒的に増えた
――まきさんは、スクールも運営されていますよね。
はい。スクールも表参道と京都の両方で運営しています。最近は、スクールに通わずにセラピストになる方がとても多いんですね。はじめからサロンに入店し、そのお店の施術メニューができるようになって、何年かしたら独立するというスタイル。当スクールの生徒さんには、すでにサロンを経営されていて、「小顔矯正をメニューに取り入れてから5年経つけど、自信がないんです」という方がたくさんいらっしゃいます。言葉が悪いかもしれませんが、浅はかな知識のままに独立している方がすごく多いんです。
――開業5年目にして自分に自信が持てないのは辛いですよね…。
そうですね。小顔メニューで「頬の部分を強く押しているけれど、本当にこれでいいのかな」といった感じです。顔は触れるとリンパが流れて少しは変化するので、お客様もすっきりする感覚は得られます。でも中には、頭痛が起きた、内出血が起きたという問合せがあったという方もいらっしゃいます。理論が学べていないままお客様に施術を提供してしまうとクレームへと繋がってしまうんですよね。
それでも誰にも聞けない。自信が持てない施術とお客様との間で、辛い思いをしているのはセラピスト自身なんです。そういった方たちの疑問や不安を解消できるようにきちんとした知識と技術を身につけてもらいたいという思いでスクールを運営しています。もちろんその先のお客様のためにも。
――まきさんは、インストラクターをした後も、美容皮膚科で学んだりスクールに入り直したりしたそうですが、そのステップを踏まずにサロンを運営している方が多いということですね。
そうですね。わたし自身、セラピスト養成スクールでインストラクターまで経験しましたが、施術を提供していく中でもっと深く人体のしくみを知りたいという思いが湧いてきて、学びを続けてきました。セラピスト14年目にして、勝山美容矯正で解剖学に沿った美容矯正を一から学び直し、施術の経験だけでは知ることのできない専門的な知識を得ることができました。
わたし1人で対応できるお客様の人数は限られています。お客様に真摯に向き合っていらっしゃるセラピストの皆さんやこれから目指される方に、この正確な技術を身につけてもらいさらに自信をつけてほしいですね。
きっとその自信はお客様にも伝わりますし、それができていない時点で、何かしらの問題が発生しやすくなります。そういった意味でも正しい知識と技術を持つことが、セラピスト自身を守ってくれることにつながるのです。
――受講された方はどんな感想をお持ちですか?
すでにサロンをされている方は、リピーターが圧倒的に増えたとおっしゃいます。集客サイトに掲載している方も多く、新規来店はあっても何回かで来店されなくなる=リピーターになっていないということですよね。でも、スクールを受講してからは、リピートしてくださるお客様が7割まで増えたという声もいただきました。
それから、どこか自信が持てないがために施術の価格を上げられない方も多いです。セラピストは、誠心誠意お客様に向き合う仕事ですので、その対価をいただくことは当然のことだと思うんですね。スクールで正しい知識と技術を習得した後に、「単価を上げる」という提案もさせていただいています。
セラピストは1対1の接客業
――これからセラピストを目指す方にアドバイスをお願いします。
いまはSNSもあるし、セラピストは以前よりも独立しやすい環境にあります。わたし、それはすごく応援したいんです。自分の施術でお客様にご満足いただけて、どこかに属さなくても自分なりのペースで働けるのはとても良いことですよね。でも、これで大丈夫かなとか、何かしらの迷いを持ちながらサロンを運営している方の不安を解消したい。そういう方に出会えて、それを応援できればうれしいです。
知りたい!もっと深く学びたい!と思ったときがひとつの成長のタイミングです。それに気づいてぜひ行動に移してほしいですね。
それから、セラピストは1対1の接客業です。自分自身がブレてしまったり、気分の波があるとお客さまにも自分のマイナス部分が届いてしまうんですよね。そのためにも、自分の気持ちを豊かに保てるように心がけてほしいです。
――そのために、まきさんはどんなことをされていますか?
気にしない(笑)。すべてにおいて。周りの目とか、人に言われることとか。自分が「あっ、そうだよね」と思ったことは聞き入れますが、それ以外は聞くけど残さない。承認欲求が強い人が増えていますが、自分が自分にいいね!ができることがいちばんですよね。周りを気にし過ぎない。本来の自分と向き合うことが大事なんだと思います。
まきさんがサロン運営で心がけていることは
「あまり周りを気にせず、本来の自分を大事に」とおっしゃるまきさん。オーナーセラピストとして心がけていることは以下の3つです。
1.二拠点活動が両方のサロン運営をリフレッシュ
2.スクール運営で独立開業するセラピストを応援
3.ブレない自分でいるために心豊かな生活をする
取材でお話をさせていただいた後、こちらの心が整うような凜とした印象をお持ちのまきさん。セラピストとインストラクターを兼任しながらも、湧き出る疑問を解決するために学びを深め、深い知識と技術を身につけられました。そして、浅い知識のままに独立し、悩みを抱えてしまうセラピストを応援したいとスクールを開講、その技術を伝えています。もし「わたしのことかも?」と思い当たる方がいたら、門を叩いてみてはいかがでしょうか。
取材・文/永瀬紀子