妊娠を機に家庭へ入ることを決意。7年のブランクを経て訪問美容の道へ 訪問美容師 永井美奈子さん#1

バリバリ仕事をこなしながら子育ても頑張っているワーキングママをご紹介するこの企画。今回は訪問美容師として個人宅や介護施設などで施術をしている永井さんにお話を伺いました。

一番下のお子さんは思春期まっただなかの高校生。前編では、復職するために考えていた条件や訪問美容師の道を選んだ理由など、先輩ママからのアドバイスを中心にご紹介します。

お話を伺ったのは

訪問美容師 永井美奈子さん

美容専門学校を卒業後、都内のサロンに9年間勤務。その間に鍼灸師のパートナーと出会い結婚。妊娠7か月で退職して専業主婦に。休職中の7年間で3人の子どもを育て、一番下のお子さんが2歳のときに訪問美容師として復帰し、現在に至る。

仕事をやりきった思いから、第一子の妊娠で家庭に入ることを決意

こんなに幼かったお子さんも長女は20歳、長男は19歳、次女は16歳に成長。

──妊娠7か月で退職されましたが、後悔はありませんでしたか?

技術者として一人前になるまでは、恋愛も結婚も後まわしにして自分のスキルを磨くことを優先していました。ようやくスタイリストになって、お客様からも店のオーナーからも実力を認めてもらえるようになったころ、夫に出会いました。私が今まで学んできたことは自分にとって財産になると思えましたし、結婚して子どもも授かった幸せの絶頂期でもあったので(笑)、「いったん仕事に区切りをつけよう!」と思いました。きっとすべてのタイミングがピッタリ合ったのだと思います。

──第一子に続いて第二子の妊娠、出産が続きますが、計画をしていたのですか?

そうですね。私の姉が1歳違いの「年子」を育てていて、「年子だと最初は大変だけど、あとあとの子育てが楽」とアドバイスしてくれたのがきっかけです。最初の女の子は丈夫で手のかからない赤ちゃんだったので、「この状態で2人なら楽勝!」と思いましたが、次に生まれた長男は体が弱くてすぐ熱を出す子だったのですごく手がかかったんです。歩けるようになると、子どもたちはあちこち走り回るし。ペースがつかめるまで本当に大変でした。よく、「3歳まで。あとはラクになる」と声をかけてくださる方がいますが、実際に子どもが3歳になったら、また違う大変さがあって「いつになったらラクになれるの!」と思っていました(笑)。

でも、今となっては、声をかけてくださった方の想いがよく分かります。毎日が目まぐるしくて大変でしたが、本当にいい思い出です。気持ちにゆとりがなかったけれど、楽しかったですね。私が子育て中のママたちにアドバイスするなら、「手のかかる時間がいちばん可愛い。今は大変でも、あとから思い出すといちばん楽しい時間になるよ」と言いたいですね。

──3人目のお子さんを出産して、復職したきっかけは何ですか?

長女と長男の子育てがある程度落ち着いたら、「仕事を始めよう」と思っていました。そろそろ就職活動を…と思っていたときに妊娠が分かり、復職を断念。そんないきさつもあって、次女の子育てが落ち着いたら、すぐ働けるようにいろいろと調べていました。

働く時間を自由にアレンジできる訪問美容師として復活

永井さんの職場は介護施設や個人宅。10年近くお付き合いしているお客様も。

──美容師以外の仕事は考えませんでしたか?

一生懸命に勉強して資格を取って技術を磨いてきた職業ですから、美容師以外の道は考えませんでした。

実は私の母も美容師で、体の弱かった父に代わって家計を支えていました。80歳を過ぎても現役で自分の店を切り盛りしているんですよ。そんな母の姿を見ていますから、私も何歳になってもずっとこの仕事を続けていきたいと思っています。

──永井さんが復職を決めた15年ほど前は、まだ訪問美容師は知られていなかったのでは?

鍼灸師の夫はお年寄りや寝たきりの方、体の不自由な方のお宅に出入りすることが多く、そこで「訪問美容師」というニーズがあるらしいと教えてくれました。そこからネットやSNSで調べて、訪問美容師を探している団体に辿り着きました。

──美容師のパートタイマーもありますが、サロンで働くことは考えませんでしたか?

サロンで働くとなると、土日や祝日はお休みしにくいですよね。サロンを経営している母は休みなく働いていて、運動会や父兄参観に来てくれることはほとんどありませんでした。週末に一緒に出かけることもなかったですね。

子どものころから家に帰ったらお母さんが家にいる家庭に憧れていました。そんな影響もあって、私は子どもたちと一緒に過ごす時間を優先したかったんです。子どもたちが学校から帰ってくる時間には家にいて、子どもたちが家にいる週末は朝からずっと一緒に過ごせるような働き方はサロンでは難しいかな…と思って、訪問美容師を選びました。
もちろん、実際に自分が母親になって、改めて母には感謝しています。

──7年のブランクは気になりませんでしたか?

もちろん不安はありました。でも休職中もずっと夫や子どもたち、友人の髪を切っていたので、ハサミを持つことやベーシックな技術に関する不安はありませんでした。久しぶりに美容師として働ける嬉しさの方が大きかったですね。

最初は月に2回のペースで家の近くにある介護施設に通うことから始めました。当時は訪問美容師のための講習会はなかったので、一から現場で学ばせてもらいました。

──3番目のお子さんはまだ2歳。働いている間はどうしていましたか?

最初のうちは義母に預けていました。義母は本当にいい人で、長男を出産するときには長女を預かってくれて、困ったときは何も言わずに助けてくれました。最初のうちは月2回の出勤でしたが、少しずつ要領がつかめるようになると仕事も増えていきました。義母に甘え続けるワケにもいかず、保育園に預けるようになりました。

──訪問美容師の仕事でも時間が読めないときもあるのでは?

仕事仲間にも恵まれました。私のまわりには子育て経験者が多かったので、「保育園のお迎え時間が迫っている」と分かると、仕事の途中でも送り出してくれました。子どもが急に熱を出して休みたいときも、病気になって早く仕事を切り上げたいときも、いろいろサポートしてもらいました。子育てを経験している方たちが多いので、「仕方がないよね」と温かな目で見守ってくれるのが嬉しかったですね。

──-訪問美容師の働き方は、永井さんに向いていたのですね。

現場によっては午前中で仕事が終わることもあります。働く時間を自由に選べるスタイルは、私に合っていると思います。最初はお年寄りの接し方に戸惑うこともありましたが、今はお年寄りとお話をするのが楽しくて(笑)。それにカットしたあと、「ありがとう」と感謝されることもすごく嬉しいですね。
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永井さん流! 子育てと仕事を両立させる3つのポイント

1.人生の中で実績を積む時期と子育てする時期を集中させる

2.子どものライフスタイルに合わせて働く時間を調整する

3.子育て経験者のいる職場を選

まだ訪問美容師が広く知られてない時期から、このジャンルの可能性に着目してキャリアを築いてきた永井さん。専門学校を卒業してからの9年間は美容師としての実績を積み、その後の7年間は子育てに集中。子育てが一区切りついたところで、今は訪問美容師としてのキャリアを着実に積み重ねています。

永井さんのように仕事または子育てに集中する期間を設けるのも、ひとつの選択です。
後編では、子育てで溜まったストレスの発散法や、お子さんとの向き合い方などを伺います。

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