タイ山岳民族支援のため始めたヨガウエアブランドは現在世界に12店舗。経営危機はインスタで乗り越えた ヨガインストラクター・渡邉有優美さん

2011年にタイに移住し、ヨガの指導者を養成するスクールを運営している渡邉有優美さん。
前編ではその成功の秘訣を伺いました。ポイントは直感で決め、やると決めたら徹底的に行動する力にありました。タイへの移住、タイでのヨガレッスンへの集客、オンラインへの移行など、思い切って行動することによって、状況を好転させてきたそうです。

またスクールではただ資格を発行するだけでなく、インストラクターとして活動するときに困らないように模擬レッスンを行ったり、人生相談まで受けるほど、受講生と深くかかわる姿勢が信頼を集めているといいます。

後編は、山岳民族の子ども達へ支援したい気持ちからスタートした、ヨガウエアブランド「Aon Jasmine」の、開発・販売までの道のりについて伺いました。ここでも有優美さんは行動力を発揮。製作をしてくれる工場を探すため、タイ国内の工場を自分の足で回り、翻訳器も駆使しながらたくさんの人と交渉したり、100枚のヨガパンツを無料で配るなど、思い切った行動でヨガウエア販売を軌道に乗せます。

またコロナ禍で経営危機を迎えたときは、オンライン販売にも力を入れ、インスタグラムを徹底的に研究。告知文ではなく、だれかのお悩みを解決できる投稿を心がけたことでフォロワー数が増え、売上が上がり、危機を脱することができたそうです。

今回お話を伺ったのは……

渡邉 有優美さん


「一般社団法人メディテーションブリージングヨガ協会」代表、ヨガウエアブランド「Aon Jasmine」オーナー
ヨガ瞑想指導16年。ヨガ指導者養成講座(RYT200取得可)。
ヨガや瞑想をタイ、インドネシア、バリ島、スリランカ、インド、ハワイ、日本などで延べ3,000人以上を指導。自身の瞑想時間は1万時間を超え、今もなおマインドフルネス瞑想を学び続け、その素晴らしさを伝えている。著書に『マインドフルネス瞑想で自分らしく生きる』(デザインエッグ社)、電子書籍に『インスタフォロワー6,000人で売上アップした方法』(Ayumi BOOKS)がある。
渡邉有優美さんのInstagram:ayumi.yoga.jasminewear

「モノを作って売る」山岳民族の子どもたちへはじめた支援

有優美さんが支援した洋服を着ている、チェンライの子ども達と有優美さん

――ヨガウエアブランド「Aon Jasmine」はどのような経緯で始められたのですか?

「Aon Jasmine」はさまざまな紆余曲折を経て今の形にたどり着いたのですが、最初のきっかけとなったのは、北タイにあるチェンライという山岳民族との出会いです。バンコクとはまったく違う大自然で暮らし、決して豊かとはいえない生活のなかでも懸命に生きている子ども達を見て「何かしなくては」という想いが強くなりました。

私がヨガの生徒さんに直接呼びかけたり、instagramやfacebookで支援を募ると、バンコク中から物資が100キロ以上も集まって、それを持ってバスに乗ってチェンライに届けたんです。そうしたら子ども達がとても喜んでくれて。そのことをきっかけに、子どもたちにもっと支援をしたいと強く思うようになり、何かできないかを再度考え出したんです。

――その後、「Aon Jasmine」につながるということは、「Aon Jasmine」も支援の一環ということですか?

はい。始めは、チェンライの山岳民族の手刺繍を施したタイ産のヘンプバッグをフェアトレードで販売することを計画し、試しに50個作ってみたところ、タイに住む日本人に喜んでもらえてすぐに売り切れました

ところが、タイ国内のヘンプ材が手に入りづらくなったことでバッグが作れなくなってしまったんです。すべてmade in Thailandでなければ、売れても貢献にはならないので、バッグ作りは断念しました。

バッグ以外に何か作って支援できないか?と考えているうちに、「ヨガウエアはどうだろう!?」と思いついたんです。思い立ったが吉日で、製作をしてくれる工場を探すため、タイ国内の工場を自分の足で回り、つたない英語と翻訳器も駆使しながら、たくさんの人と交渉を重ねました。なかには、プレゼンの約束をすっぽかされたり、邪険にされたことも幾度となくあり、このときは少しくじけそうにもなりましたね。

「女性が輝けるウエア」をコンセプトに、着心地良く、着やせ効果もあるヨガウエアが完成

有優美さんが立ち上げたヨガウエアブランド「Aon Jasmine」。デザインだけでなく、機能面にもとことんこだわったという

――無事、ウエアは完成したのですか?

はい。苦労の末最初に作った100枚のヨガパンツは、運営しているスクールの生徒さんに無料で配ることにしました。まずはお試しで使ってもらおうと。すると反響がよかったので、次は値段をつけて売ってみようと思い、さらに種類を増やして作ることを決意しました。思い切って、間近で声を聞けるヨガの生徒さんに配ったこと。これが、その後の販売に踏み出すきっかけになったと、今では思います

それと、私自身がヨガをやっている人間なので、機能面の良し悪しがわかります。そこで、デザインの勉強もしながら、「女性が輝けるウエア」をコンセプトに、着心地良く、オシャレで、着やせ効果も高いウエアの開発・販売をスタートしました。その後、順調に売り上げを伸ばしたものの、コロナ禍でブランド消失の一大危機があったんです。

――それは…災難でしたね。

そうなんです。試行錯誤を重ねてモデルチェンジなども加えながら、タイや日本に店舗を構えることができたのですが、インドネシアのバリ島でお店をオープンした後1年も経たないうちに、コロナ禍が訪れました。ロックダウンでお店は開けられなくなり、バリ島に限らず、全店舗が一時閉店になりました。ロックダウンが明けた後も、観光客はいなくなってしまって。新型コロナウイルスの影響で、売上は激減。ブランドを手放さなければならないかもしれないほどの危機に陥りました。

ですが、ここでやめてしまったら、チェンライの山岳民族への支援が続けられなくなる、従業員も路頭に迷うことになる…。悩んでいるなかで、ある日瞑想をしている最中に、オンラインショップへの意向を思いつき、すぐに実行しました。サイトのオープンと同時に、それまで活発には行っていなかったSNSで懸命に告知をすると、「Aon Jasmine」のファンのみなさまや私の友人たちがどんどん購入してくださって、結果、店舗に売れ残っていた商品をほぼ完売できました

――ドラマチックな逆転劇ですね。SNSでの発信がSOSとなって届いた、今の時代を象徴するお話だと思います。

はい、SNSの力を知りました。この時点では、売れ残っている商品を売り切ることができただけ。ブランド存続は未だ難しい状況でしたが、その後、インスタグラムの投稿方法を見直し、起死回生を図ることができました。

「告知文」から「だれかのお悩みを解決できる投稿」に方向転換!フォロワーが一気に1000人増

短い説明文をつけて投稿し、わかりやすく工夫したinstagramのリール動画

――具体的に、どのように力を入れたのですか?

告知文だけの投稿から、誰かのお悩みを解決できるような投稿をするように方向転換をしました。インスタグラムに力を入れ始めたばかりの頃は、新規のフォロワーがまったく増えず、自分なりにインスタを研究してみた結果、フォロワーの多い人は悩みを解決する投稿が多いと気付いたんです。そこで私もその方向に舵を切ることにしました。

またそれまではヨガ好きの人だけに向けて投稿していましたが、悩みをお持ちの様々な人を想定して投稿の内容を変更したんです。たとえば、運動したいけど余裕がなくてできない人を想像して投稿する日、ヨガに興味はあるけどやったことがない人に向けて投稿する日、ヨガに興味がなくても体質改善したい人などに向けて届ける日など、毎日誰か一人を想像してお悩みを解決できるような投稿をするようにしました。

さらに、リールにヨガ動画を載せたことで一気に再生回数もアップしたんです。それぞれの投稿にはサムネイルをつけて目に留まるようにこだわり、短い説明文もつけることでわかりやすさを意識。短時間で見られてパッと目を惹く内容が、運動やヨガをするきっかけになるという反響がありました。

――研究をされたのですね。方向転換をしてからバズった投稿はありましたか?

ありました! センシティブな内容なので投稿するかどうか迷った末の動画で、「妊娠力をあげるヨガ」です。年齢的に私のまわりは子育て世代で、子どもができずに悩んでいる人もいます。需要はあると思い、思い切って投稿したところ、動画の保存数がみるみる伸びました。

その情報を必要とする相手を意識し、誠意をもって届けることが大切なのだと実感できた動画でした。投稿の方向転換後、Instagramのフォロワーが2カ月弱で1000人も増え、常に「Aon Jasmine」のウエアを着用していたこともあって口コミが広がり、オンラインショップの売り上げも軌道にのせることができたんです。

今後も「Aon Jasmine」を通して、私のヨガインストラクターとしての基盤を作ってくれたタイにお返しをしていきたいなと思っています。
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「Aon Jasmine」がピンチを脱することができた3つのポイント

「Aon Jasmine」がピンチを脱することができたポイントは、以下の3つでした。

店舗に固執せず、オンラインショップをすぐに開設した

インスタでは告知文ではなく、だれかの悩みを解決できる投稿を心がけた

わかりやすい説明をつけたリール動画を絶えず投稿した

「子どもたちを支援したい」。その想いでスタートさせて、信念を曲げずにピンチも乗り越えることができた「Aon Jasmine」。渡邉有優美さんの行動の後ろには「女性が輝くことをしたい」、「みんなが喜ぶことをしたい」、「困っている人を助けたい」と、いつもぶれない想いがあり、それが結果に結びついていると感じました。今も新たな企画に着手しているとのことで、有優美さんの今後がますます楽しみです!

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