【美容師あるある】女性客の扱いに慣れず、動作が荒くて注意された新人時代【sand S Ginza スタイリスト 尾里美輝さん】#1

美容業界でよくあるお悩みや課題にフォーカスする本企画。今回は、アシスタント美容師の「困った」に向き合います。取材させていただいたのは「sand S Ginza」でトップアシスタントとして活躍し、今年6月にデビューを果たした尾里美輝さん。入社したての頃は女性客への接し方に慣れておらず、動作一つひとつに厳しく注意されていたのだそう。

前編では、接客中に怒られたことや現在の接客で大事にしていること、入社後に学んだ社会人マナー、美容師ならではの身嗜み問題についてアドバイスしていただきました。

教えてくれたのは

sand S Ginza スタイリスト 尾里美輝さん

前サロンで3年半、中途入社したsandで1年半経験し、アシスタント歴は5年。2022年6月にスタイリストデビュー。Instagramのフォロワー数は1.4万人(2022年5月現在)。親しみやすく、気遣い上手な人柄で、アシスタントの中でトップクラスの売上を誇っていたという期待のエース。

美容師の接客中の失敗:眼鏡ケースの閉め方でも注意を受けた

まさに「素直」という言葉がぴったりの尾里さん。飾らないナチュラルな接客スタイルも人気の理由なのかもしれません

――接客時に気をつけてきたことは何ですか?

前のサロンは目白にあったのでマダム層が多かったんですね。だから、接客もかなり堅く、とにかく丁寧さが重視されていました。けれど、sandの場合は学生さんの来店も多いため、前のサロンのようにガチガチに堅い接客は逆効果に。丁寧すぎてクレームになることはないけれど、仲良くなるのは難しいんです。だから今は、お客様に合わせた距離感を大切にしています

かといって、ラフな接客でも気遣いをしなくて良いというわけではありません。気持ちフランクに構えて、でも決して失礼にならないように、という線引きは意識していますね。

――接客中にお客様や先輩から注意されたことはありますか?

前のサロンにいたときのことで忘れもしないのが、眼鏡ケースの閉め方のこと。自覚はなかったのですが、お客様からしたら乱暴に見えてしまうと。クロスの付け方やシャワーコックの置き方にもかなり厳しく言われましたね。

あと、これも前のサロンでの話なのですが、かなりのロングヘアのお客様にシャンプーをした際、張り切って洗ったら絡まっちゃって、シャンプーボールの中に毛玉ができたときはヤバいなと思いました。(笑)。ロングの人でも髪の毛が絡まないようにするテクニックを当時の僕はまだ習得できていなくて。そのあとマネージャーにこっぴどく言われました。

――男性アシスタントの場合、女性の髪の毛を扱い慣れていないうちはきっと大変ですよね。

今思うと、1〜2年目のときは雑だったかもしれません。女性の体感的に。タッチだったり、上着の着せ方だったり、女性との接し方という面では荒かったと思います。「女性は宝石のように思いなさい」と教えられました。

そういう細かいところや動作に気遣いの心を持つことは、今でも大切にしています。終礼で「尾里を見ていると、一つひとつに気を遣っているのがわかる」と褒めていただいたときは嬉しかったです。

――サロンワーク中、スタイリストの指示を聞き間違えたりすることはないのでしょうか?

ありました。前のサロンにいたとき、スタイリストの先輩が何を言っているのかわからず、でも言い方が強めだったので何回も聞き返す勇気がなくて、勘でこなすときもありましたね(笑)。それでパーマ剤を間違ってつけちゃったりとかも…。

でも、結局一番迷惑を被るのはお客様なので、曖昧な意識のまま仕事をしてはいけないなと。わからなかったらきちんと聞き返して、明確にした上で作業に入るようにしています。スタイリストとアシスタント間の単純なコミュニケーション不足による失敗はあってはならないですよね。

――カラーやパーマなどの長時間滞在のお客様に対してはどんな気遣いをされていましたか?

先輩の真似なのですが、スマホの充電は気にするようにしています。今は、タブレットで雑誌を読むより、自分のスマホを見たいという人の方が多いんですよ。となると、絶対に電池の減りも早いだろうし、綺麗にカラーやパーマをしたあとってお出かけするじゃないですか。彼氏とデートに行ったり、友達と遊んだりする際にスマホの充電が切れていたら困りますからね。

あと、薬剤を塗ったあとの放置時間。時間になるまでずっと放置するのではなく、通りかかったときになるべく「滲みてないですか?」とお声がけするようにしています。「ちゃんと気にかけているよ」ということがわかるように。

――尾里さんのシャンプーにはファンがいるとか。

前のサロンでは、僕より下の子がすぐ辞めちゃうので、3年目になっても僕が一番下っ端でした。だから、シャンプーはめちゃめちゃやってきたんですよ(笑)。おかげで、一人ひとりの骨格や頭皮の硬さに合わせて強さを調節できるスキルが身につきました。同じ力加減でシャンプーしても、人によっては「痛い」と感じたり「物足りない」と感じたりしますよね。「この人の場合はあまり強くしすぎると痛いかも」と考えながらシャンプーしています。

我流も入っているので、先輩方からは「変わってるね」と言われるんですけど(笑)、お客様の中には「一回別のサロンに行ったけど、尾里さんのシャンプーが良いからまた戻ってきた」と言ってくださる方もいるんです。「あなたが一番良いです」と求めてもらえるのは美容師の醍醐味ですよね。

美容師の社会人マナー:Tシャツにもアイロンがけ。どんなファッションでも清潔感は大切


――社会人マナーについて、入社後に苦戦したことは何ですか?
苦労したのはお酒の場ですかね。前のサロンではテーブルの上にスマホを置くのもNGでした。sandではそこまで厳しくはありませんが、先輩のお酒がなくなりそうだったら注文をする、ということは教え込まれましたね。後輩を含め、すごく気遣いできる人がsandにはたくさんいるので、僕もうかうかしていられないです。

あと僕、福岡出身なんですけど、地元の方言がこっちではタメ語に聞こえることがあるらしく、10個上の先輩に「何でさっきからタメ語なの?」と指摘されたことがありました。僕も全然そのつもりがなかったのでびっくりして、一瞬その場が凍りつきました(笑)。

――身嗜みで気をつけてきたことはありますか?

一人暮らしをするとき、どの家電を差し置いてでもアイロンだけは必ず買うと決めていたんです。お洒落は大好きですが、シワがついているのはダメだなって思っていたので。今も毎朝アイロンがけをしています。もちろんTシャツにも

前に、お気に入りのTシャツを着て出勤したときに、ブリーチのシミ(脱色あと)があって、先輩に「そんな汚れた服で営業しちゃダメ」と注意され、変わりのTシャツを貸してもらったことがありました。別に手を抜いて来たわけではなかったのですが、見る人によってはだらしなく映るんだなと気づき、それからはシミがついている服は避けるようになりましたね。

美容師である以上、お洒落やヘアセットはやって当たり前。奇抜なファッションでも良いと思いますが、そこに清潔感がなければお客様ウケは悪いと思います


アシスタントあるある:接客と社会人マナーで気をつけたいポイント

1.フランクな接客でも、動作一つひとつは丁寧に

2.長時間滞在のお客様にはこまめにお声がけする

3.どんなファッションでもシミ・シワは厳禁

特に男性のアシスタントの場合は、女性客に対して、気づかないうちに乱暴な動作になってしまいがち。尾里さんは「言葉で説明するのが難しいくらい、本当に些細な動作にも気を遣っていました」と言います。そういう細かい配慮ができてこそ、フランクな接客が受け入れられるのかもしれませんね。後編では、先輩スタイリストとの関係づくり、技術練習や物販のコツを教えていただきます。

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/喜多二三雄

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Salon Data

sand S Ginza
住所:東京都中央区銀座2-11-5 陽光銀座セントラルビル 3F
電話:03-6264-3311
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