大人気サロンの地方出店に注目!店長から聞く都心と大阪の相違点【sand Osaka代表・へぎしょうたさん】#1

2017年のオープン以降、首都圏で5店舗を展開するヘアサロン「sand」。ショートヘア・ショートボブを得意とする若手実力派スタイリストが多数在籍し、幅広い世代から熱い支持を集めています。勢いに乗るsandが次に選んだステージは、地方出店という大きなチャレンジでした。
全国展開の第一歩は、大阪・梅田の「sand Osaka」。こちらの代表を務めるのは、表参道店の店長として活躍していたへぎしょうたさんです。2022年1月のオープンから半年を過ぎた今、へぎさんが肌で感じる都心と大阪のサロン運営の違いとは?前後編に分けてお伝えします!

お話を伺ったのは…

sand Osaka 代表 へぎしょうたさん

都内有名店に約3年間勤務した後、sandの立ち上げに参画。「絶対に可愛くなる」ショートスタイルを武器に人気を博すと、25歳の若さでsand Omotesando店長へ就任。2022年1月、sand Osaka代表として関西へと拠点を移す。

僕の人生を変えてくれたsand。その素晴らしさを全国に

――へぎさんのこれまでのご経歴を聞かせてください。

関西の美容専門学校を卒業後、都内の大型店に就職しました。3年ほどアシスタントを勤めましたが、僕は本当に要領が悪くて不器用で…(苦笑)。もう美容師は辞めようと思っていた矢先、尊敬する先輩がsandを立ち上げると聞いて、オープニングスタッフとして参加させてもらうことになりました。

スタイリストデビューはsandに入ってしばらくしてからです。SNS集客がうまくいって、デビュー初月からすでに予約1ヶ月待ちの状態。それからもコンスタントにお客様を獲得し、2019年、25歳でsand Omotesandoの店長を任されるようになりました。2021年1月からは関西に拠点を移し、大阪・梅田にオープンしたsand Osakaを運営しています

――今回、sand初の地方出店となりますね。

経営陣の間で「sandの次のステージは全国進出」といった共通目標があり、それにはまず関西だねなんて話は出ていたんです。その流れで「僕が行きます!」と宣言したことで、へぎを代表として関西本部を任せ、東京と大阪の2拠点からsandを大きく展開していこうという方針が明確になりました。

――へぎさんはもともと、独立願望をお持ちだったのでしょうか?

いいえ、これが全然。美容師を志した時も「東京で活躍したい」といった大ざっぱな目標しか持っておらず、実際に上京した後もただ目の前のことに精一杯という感じでした。

でも、表参道の店長を務めるようになった頃から徐々に気持ちが変わってきて、「このsandという最高のサロンを全国に広げたい」と考えるようになりました。それまでは自分の人気や売上といった、ごく狭い範囲のことしか見えていなかったんですよね。経営に携わることで、視野が大きく広がったように思います

――ご自身の価値観が変化してきたんですね。

同時に、自分を育ててくれた人たちへ恩返しがしたいという感謝の気持ちも強くなりました。sand Osakaはフランチャイズではなく直営店です。大阪に移る際に新会社を設立したので代表取締役の肩書きは付いていますが、一国一城の主になりたいなんて欲はまったくなくて。‘sandの仲間やお客様と「つながる=connect」’という意味を込め、社名は株式会社 two sand connect と決めました

sand得意の似合せショートボブ。「一度だけでなく、長いお付き合いができるサロン」をコンセプトに圧倒的リピート率を誇る。

新規集客とブランディングの両立は永遠の課題

――多くの顧客を置いて、新天地で再スタートを切ることに不安は感じませんでしたか?

自分の売上面を心配しての躊躇はありませんでした。ためらうことなく拠点を移せたのは、現在のSNS全盛時代ならではかも。一緒に大阪へ移ったスタッフたちも不安はゼロだったとはいえないでしょうが、逆境だからこそモチベーションに火が付いたように感じます。全員がSNS発信に注力し、東京にいた頃よりもはっきりした目的意識を持って集客活動を行うという最高のムードでスタートできました。

僕が唯一気がかりだったのは、通ってくれていたお客様たちのことですね。異動を悲しんでくれる方も多かったですが、他のスタイリストへしっかり引き継ぎさせてもらい、皆さんが今も表参道店に来てくださっていることに心から安堵しています。

――実際に大阪へ拠点を移し、最も難しさを感じた点は?

料金設定には悩みましたし、現在も試行錯誤中です。大阪は都心に比べて客単価が3,000円程度低く、カット・カラー8,000円がボリュームゾーン。そこを踏まえて、クーポン利用で表参道より若干安い金額になるよう設定していますが、今までsandが確立してきたブランディングとのバランスが難しいです。

――地域価格に合わせすぎると大衆店化してしまいますからね。

そうなんです。sandならではスペシャル感が失われると、全国展開した意味がなくなってしまいます。ただ、関西での知名度が低い分、なぜ他店よりも高いのかという理由がお客様には分からないでしょうし、来店機会をつくるという面では値下げが有効ともいえます。

けれど、単価を下げてとにかく新規を呼ぶという集客スタイルではなく、高い技術を目的に来店・再訪していただくことが僕たちの目指すゴール。sand Osakaのブランド発信に注力し、「確実に可愛くなれるサロン」という期待値と実力を関西圏に浸透させることが急務ですね。

――客単価が下がることで、スタイリスト個人の売上も落ちましたか?

僕や実績があるスタイリストは指名が入るため、都心時代からさほど変動はありません。大阪に来てからデビューした子たちも、大勢のお客様を担当することにやりがいと楽しさを感じてくれています。彼らにリピーターが付いてくれるよう、支えていかなければと思っています。

sand Osaka店内の様子。セット面20席・シャンプー台7セットを擁する大型サロン。

地域性に合わせてクーポンサイトを充実

――先ほど、お店のブランド発信のお話がありました。集客手法は以前と変わりましたか?

表参道にいた頃は、スタイリスト個人がSNSを通して自己ブランディングを行い、自分のファンを増やして予約獲得につなげる、という集客法が主流でした。けれど関西ではクーポンサイト経由の予約が非常に多く、10代の若い層の利用率も高いんです

そこで、クーポンのバリエーションを豊富にして、お客様の選択肢を増やすこと。クーポンサイト内のブログやスタイル集を充実させ、お店全体の雰囲気・技術をしっかり伝えること。この2点が集客に向けた仕掛けの変化でしょうか。

――インスタフォロワー8万人を抱えるへぎさんですが、大阪に来てからSNSの投稿内容にも変化は加えていますか?

意識していることは主に次の3つです。まず、スタッフの人柄やお店の雰囲気が分かる「自己紹介」をより丁寧に発信すること。また、これまで大勢のお客様を喜ばせてきたんだという「実績」、この技術でより多くの方に幸せを届けたくて大阪へ出店したという「経緯や情熱」を伝えることですね。

――SNSを通して、お客様の県民性の違いを感じることもありそうです。

関西人って強気で遠慮がなさそう…なんてイメージする人もいるかもしれませんが、実は人の目を気にしていたり、周囲に気を遣っている方が多いなと感じます。SNSにも「お店へ行きたいけどオシャレすぎて気が引ける」「若い子ばかりで私は場違いじゃないか」なんてDMがよく届くんですよ。そのため、お店の明るい雰囲気や、多様な客層を歓迎しますというオープンな姿勢をアピールする投稿を心がけています


地域性に合わせ、集客手法やSNS発信の内容を柔軟に変えていったへぎさん。後編では、トレンド最先端の地で築き上げてきたブランドを上手に使ったお店づくりについて伺いました。関西エリアでの成功に向け、着実に歩みを進めるsand Osakaの秘密に迫ります。

取材・文/黒木絵美

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Salon Data

sand Osaka
住所:大阪府大阪市北区中崎西3-1-4
TEL:06-6467-8922
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