アロマセラピー講師から、お香に魅せられ「香司」へ。ひふみお香アカデミー代表 椎名まさえさん#1

「香司」という職業をご存じですか? 「香司」とは、調合から仕上げまでお香づくりに関する全行程を担う仕事です。椎名まさえさんは、アロマセラピーのインストラクター時代、お香に魅せられ香司に転身、ひふみお香アカデミーを立ち上げました。アロマの知識を大いに活かし、5年の歳月をかけてオリジナルメソッドを完成。そのメソッドを広めるべく、今度は不慣れなWEB関連の知識を習得するために起業塾へ。50才を過ぎてからのスタートにも関わらず、これは自分にしかできない、わたしは神様に選ばれたのだからという強い信念の下、お香アカデミーの運営を軌道にのせます。

お話を伺ったのは…
ひふみお香アカデミー
代表 椎名まさえさん

アロマセラピーの講師として大手アロマスクールに採用され、アロマコーディネーターの育成に関わる。千葉県にアロマスクールを開校すると同時に、雑誌の連載、企業向けのビジネスアロマ講座を多数開催。その後、香りの原点であるお香に魅せられ、お香作りのスペシャリスト「香司」となる。伝統の和のお香作りからハーブやアロマを使って作るお香など天然の材料だけで作るお香講座をオンライン中心に開催中。後世にお香を伝承するため、香司の養成にも力を注いでいる。NHK BS「晴ときどきファーム」出演。
著書「心と体に効く お香のある生活」

HP:ひふみお香アカデミー
椎名まさえさんのブログ
ebook無料プレゼント!! 「まんがでわかるお香の習慣」無料ダウンロード

お香の神秘性とワクワク感に惹きつけられて

「お香にはその人本来を取り戻す力がある」と椎名さん。

――まず、アロマセラピー講師からお香の世界に入った経緯を教えてください。

都内のアロマスクールで講師を務めた後、千葉県にアロマスクールを開校し、約10年間アロマインストラクターの仕事をしていました。わたし、こう見えてとても繊細なんですね。でも、アロマの世界に身を置き、それを人に伝えることで自分もものすごく気持ちが楽になったんです。そうすると、次のステージへステップアップしたくなって。さらに自分をバージョンアップしてくれそうなものを求めていたときに、ちょうど武道家の主人と出会い、再婚しました。

そこで、待ち受けていたのが圧倒的な和の世界。あるとき、主人の仕事に同行して淡路島の有名なお香屋さんを訪れる機会がありました。当時は、香り=アロマで、お香の知識はまったくなかったのですが、その神秘性とワクワク感に、こういう和の世界があるのだな、自分でも作れたらいいのにと、魅了されたことを記憶しています。それが発展して、いまに至っています。

――お香づくりは、どこで習得されたのですか?

とくにディプロマが絶対必要というわけではないのですが、調合は行き当たりばったりではできないので、いろいろな先生方から学びました。その学びをより分かりやすいようにわたしなりにリメイクして、現在のメソッドを完成させました。「ひふみお香アカデミー」を立ち上げたのは、お香と出会ってから5年後のことです。

これを世に出す!という使命感が気持ちを後押し

講座には若い世代の生徒さんも増えているそう。

――「ひふみお香アカデミー」を立ち上げてからは順調でしたか?

お香を始めたのが52才のときだったのですが、技術は習得したけれどパソコンができない、ブログも書けない。WEB関連に関しては、非常に戸惑いましたね。

――でも、ブログにたくさん投稿されていますよね。

毎日は無理でも2日に1回は投稿するようにしていました。いま振り返ると、1記事を書くのに何時間もかかって、メチャメチャ疲れていたのですが、これを伝えていけるのはわたしだけだという使命感みたいなものがあったんですよね。

――WEB関連は独学ですか?

はじめは自己流でやっていましたが、フェイスブックに投稿するのもコツがあるじゃないですか。ここを見るとこういった分析ができるとか。ひとりで悪戦苦闘していても効率が悪いと思ったので、起業塾に行ったり、ブログ専門の先生にも教えていただきました。そこには結構投資したと思います。でもそれだけかけても、どうしてもお香を伝えたかったんですよね。

アロマセラピーは、わたしじゃなくても他に伝える人はたくさんいます。でも、天然の材料を使ったお香づくりに関しては、しかも作りやすいメソッドを伝えていけるのはわたししかいない。これを世に出すまでは!という思いだけでここまでやってきました。わたし、神様から選ばれたと思っているんです。だから寝る間を惜しんでもやりたい、やらなきゃ。何かに後押しされているような気がしますね。

大河ドラマ「家康」でお香ブームが到来するかも!?

天然素材を組み合わせて調合。

――椎名さんがつくるお香にはどんな特徴がありますか?

いちばんの特徴は、ビャクダン、丁子(クローブ)、桂皮、八角など天然素材のみで作るところです。例えば、サロンにお迎えするときのお香をつくりたいなどテーマを決めて、そこからイメージを膨らませていただき、天然素材を調合していきます。素材をしっかり混ぜて、水加減を見ながら練りこんで。お線香を作るのに、最初は2時間くらいかかってしまいますが、ずっと天然素材の香りを嗅いでいるので、その間にホルモンバランスも整ってくるんです

――作っている時間そのものが癒しなんですね。

そうなんです。ビャクダンは、どんな調合にもほぼ使われる素材ですが、ビャクダンのリラックス作用はラベンダーよりずっと高いと言われているんですよ。

――お香の素材は、アロマの精油より多いのですか?

お香の素材は20種類くらい。アロマのほうがはるかに多いですね。

――天然のお香にはどんな良さがありますか?

もともと繊細で敏感な自分が、天然素材のお香で元気になれたことは大きいですね。お香にはお線香だけでなく、いろいろな種類があります。例えば、肌に塗る「塗香」は、顔色を明るくして、女性らしさやエネルギーをアップさせます。お香相談会にはセラピストの方も多いのですが、精油の代わりに塗香をひとつまみ入れてスチームバスにしてもいいですよね。

肌にのせる塗香は微細粉末。

――そんな使い方もできるんですね。お香とアロマとの決定的な違いは?

お香の素材は、漢方生薬がメインになっていて、香りが長く残るのが特徴です。それから、お香は使用期限を気にしなくていいのが楽ですね。アロマだと柑橘系は開封したら半年で使い切るなど細かいルールがありますが、お香の場合は半年、1年、3年、保管状態がよければ100年持つものも。しかもどんどん香りが変わっていって、時が経てば経つほどいい香りになります。

椎名さんの著書「心と体に効く お香のある生活/日東書院本社」では、お香の種類や道具の説明はもちろん、気分や場所に応じておすすめのお香を紹介している。

――アロマセラピー講師から香司になったことのメリットはありますか?

もともと香りに関しての知識があったので、アロマとお香でアイテムは違っても共通点は多いので、習得しやすい部分はありました。生徒さんにもインストラクターやセラピストの方などアロマ関係者は非常に多いので、生徒さんの環境や立場を容易に理解できることもメリットのひとつかもしれませんね。

それから、生徒さんにはよくお話するのですが、お香の将来性に期待しているんです。アロマがこれだけ浸透した中で、今後アロマだけで開業するのはたぶん厳しいですよね。その点、お香の認知度はまだまだ。2023年の大河ドラマは徳川家康、その次が紫式部。徳川家康はお香の愛好家だったので、お香がクローズアップされるかもしれません。いまスタートすることで、時代が一気に後押ししてくれる可能性はあります。どんな業種でも、時代を先見することは重要ですよね

椎名さんが香司を仕事にするまでに踏んだステップは

椎名さんがアロマセラピーインストラクターから香司になるために行ったことは以下の3つです。

1.現在のご主人との出会いが香司になるきっかけを作ってくれた。

2.香司になるためにアロマの知識をフル活用。

3.お香を伝えるため、起業塾など自分への投資をした。

後編では、「ひふみお香アカデミー」の講座がなぜ人気なのかお伺いします。

1
2
求人数3万件!リジョブで求人を探してみる

取材・文/永瀬紀子

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くのアロマ求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄