セラピストやサロン経営者向けにお香をコンテンツにする講座を開催 香司 椎名まさえさん#2
アロマセラピー講師からお香づくりのプロである「香司」に転身した椎名まさえさん。前編では、ひふみお香アカデミーを立ち上げるまでの経緯と、アカデミーの運営を軌道にのせるまでのお話を伺いました。この後編では、基礎からお香をビジネスにするまでを学べる講座が、なぜ人気なのか深堀りします。オリジナルのお香販売とお香づくりのオンライン講座をサロンのコンテンツにしたいセラピストさんへの需要が高まっていることが、人気の理由のひとつのようです。
お話を伺ったのは…
ひふみお香アカデミー
代表 椎名まさえさん
アロマセラピーの講師として大手アロマスクールに採用され、アロマコーディネーターの育成に関わる。千葉県にアロマスクールを開校。雑誌の連載、企業向けのビジネスアロマ講座を多数開催。その後、香りの原点であるお香に魅せられ、お香作りのスペシャリスト「香司」となる。伝統の和のお香作りからハーブやアロマを使って作るお香など天然の材料だけで作るお香講座をオンラインを中心に開催中。後世にお香を伝承するため「香司」の養成にも力を注いでいる。NHK BS「晴ときどきファーム」出演。著書「心と体に効く お香のある生活」
HP:ひふみお香アカデミー
椎名まさえさんのブログ
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ビジネスの話をお香に置き換えて分かりやすく指導
――講座にはどんなコースがあるのですか?
まず、お香の種類と基本的なお香づくりをマスターする「ベーシックコース(全6回)」があります。お香の香りを知り、お鼻を成長させていただきながら、ご自分で楽しむためのコースです。
次に、調合技術を身につけて、オリジナルのお香を作り、販売できる「香司養成コース(全6回)」。コース終了後には、香司としてお香の販売や体験会ができるお香作りのスペシャリストになるためのコースです。
そして、お香をしっかりとビジネスにしたい方のための「伝承者アカデミー」。技術はもちろん、お香ビジネスのいろはを一から学び、受講後は認定校としてわたしと同じ講座を開催していただくことができます。起業塾で習うことは、起業全般の話になるので理解しにくいことも多いのですが、それをお香に置き換えて、生徒さんが取り入れやすいようにお伝えしています。
――お香をどう取り入れたいかでコースを選べるのがいいですね。
そうですね。香司養成コースだけではないのが、うちのいいところだと思います。試しにベーシックコースをやってみて、そこで様子をみることもできるし、もっと進みたい方には、香司養成コース、伝承者アカデミーと学びを深めることができます。
とくに伝承者アカデミーでは、集客の仕方、体験会の開き方、講座の進め方など、わたしが扶養家族からスタートして月商7桁、年商8桁になるまでの経緯を惜しげもなく公開しています。
オンライン講座では作品を送ってもらい添削してフィードバック
――現在、生徒さんはどれくらいいらっしゃいますか?
香司のディプロマ取得者は、現在約50名。体験会参加者、受講生を合わせると500名以上になりました。
――講座はどんなスタイルで行っていますか?
対面とオンラインの両方できますが、オンラインの方が圧倒的に多いです。「スクールが遠くて…」とか、「介護で家を空けられない」とかブログでお問い合わせいただくことが多くなり、コロナ前からオンライン講座を開催しています。
――内容が香りということで、オンラインで難しいことはありませんか?
皆さんそうおっしゃいますね。わたしも始めるまでは本当にできるのかなと思っていました。でも事前にキットをお送りして「今回はこれを出してください」、作ったら画面越しに「見せてください」という感じで進めていくので、スムーズにできていると思います。ベーシックコースはレシピ通りに作っていただくのでとくに問題ないですし、香司養成コースでは、オリジナルで作っていただいたものを送っていただき、赤ペン先生のように添削してフィードバックする形をとっています。講座は、マンツーマンか2~3名の少人数開催が多いので生徒さんひとりひとりをフォローしやすい体制です。
お香の販売とオンライン講座で対面ができなくても安定収入
――きめ細かな対応ですね。ところで、生徒さんにはどんな方が多いのですか?
最近、20~30代の若い方やセラピスト、サロン経営者の方も多いですね。サロンの隙間時間にオリジナルのお香を作って販売されている方もいらっしゃいます。アロマで得た知識を十分に生かせますし、お香には使用期限がないので、在庫を抱える心配がないのもいいと言っていただけます。
――トリートメント以外に自分のプロダクトを持てるということですね。
そうです。40代後半からは気力・体力が衰えてくるので、セラピストの方は数をこなして収益を上げるのがきつくなってくるというお話をよく聞きます。コロナ禍のように対面ができなくなる事態がまた来るかもしれないし、そうなったときにお香の販売というトリートメント以外の収益があることは強みになりますよね。さらに、香司としてオンラインでできる講座を持っている方は、+αの収入があるので、対面ができないときも売上が落ちなくてすみます。
――トリートメント×お香の販売×オンライン講座のトリプルワークも可能ですね。
そうなんです。それも午前はトリートメントをして、午後は講座のレッスンを入れたり、日中はサロンワーク、夜はオンライン講座など自分でスケジュール調整できますし、どれも香りに関係することだから違和感なくできている生徒さんが多いですね。
トリートメントも回を重ねるとお客様から悩みを打ち明けられたりして、トリートメントで叶わない部分は、「お香体験してみますか?」とお香の生徒さんに結びつけている方もいらっしゃいます。
――既存のお客様にお香のお客様になっていただくわけですね。
そうなんです。お客様がそれをSNSに投稿してくださって、自分のお客様以外からもお問い合わせをいただくことも。オンライン講座なら、日本全国の方を対象にすることができます。
わたしにとって伝承者は、人生を共に歩んでいく人
――実際、生徒さんはどんな活躍をされていますか?
サロン経営者の方で、お香講座を開催して月商100万円の売上を上げている方がいます。伝承者アカデミーでは、そこに至るまでをしっかりサポートしていくので、最近では最初から伝承者アカデミー希望の方が増えていますね。
――椎名さんにとって伝承者の方はどんな存在ですか?
志を共にしていくわけですから、人生を共に歩んでいく人=同士ですね。育成の喜びは、ワークショップとは別物ですよ。自分に共感していただいて、「わたしも一緒に伝えていきます」と手をつなぐ人がいることは、とてもうれしいことです。
――しかも椎名さんの場合、ご自身が作ったメソッドですから喜びも倍増ですよね。最後に今後の展開などあれば教えてください。
すでにでき上がっているお香ではなくて、カウンセリングをして、お客様の状態に合ったものを組み合わせたオリジナルを提供できればいいなと考えています。
香司という仕事は、年齢を重ねても続けられることが大きなメリット。トリートメントが体力的に厳しくなった方はもちろんですが、若いうちからお香の世界に参入して親しんでいただけたらうれしいですね。
「ひふみお香アカデミー」講座が人気の理由は
ひふみお香アカデミーの講座が人気の理由は以下の3つです。
1.技術だけでなく、お香をビジネスにするまでを指導している。
2.オンライン講座では作品の添削などきめ細かい対応を実施。
3.サロン経営のコンテンツ増として人気が高まっている。
50才を過ぎてから起業塾に通ってWEBを習得、ビジネスをお香に置き換えて、初心者にも分かりやすいメソッドを完成させた椎名さん。飛鳥時代に仏教伝来で伝わってきたお香を、元アロマセラピー講師だった椎名さんの目線で新しいスタイルとして提案しています。オンライン講座にも関わらず、実物の作品を送ってもらって添削するなど、きめ細やかな対応が人気講座に押し上げているのだと思いました。
取材・文/永瀬紀子