ヘアメイク・澤田曜さんがフリーランス1年目で好調の理由
フリーランスとして独立されてから、まだ半年にも満たないヘアメイクの澤田曜さん。TwitterやInstagramのアカウントを覗いてみると、ブライダルをはじめプロフィール撮影や家族写真でのお仕事、ヘアメイクレッスン、専門学校講師など、毎日お忙しそうに活躍されています。1年目にしてここまでお仕事が好調ということは、なにか秘密があるはず……。そこで、今回は澤田さんにフリーランスとして働くために大切なことを色々とうかがってみました!
今回お話を伺ったのは…
澤田曜さん
美容学校を卒業し、20歳でブライダルのヘアメイク・着付けやエステなどの美容をトータルで行う会社に就職。13年間の在籍中、技術者としてだけでなく店長や広報などさまざまな役職を経験し、2022年3月に独立。現在はブライダルのお仕事以外にもプロフィール撮影や広告撮影のヘアメイク、婚活メイクレッスンなど幅広く活躍している。
Instagram:@you.hair_make
0からスタートする必要はない! 前の職場とのつながりを大切に独立
――独立されてから非常にお忙しい日々が続いているそうですが、ずばりフリーランス1年目からお仕事の依頼がたくさん来ている理由は何なのでしょう?
現時点では5割くらいは、元々所属していた会社からの業務委託でブライダルのお仕事を継続しています。0からスタートというのは怖かったですし、ブライダルのお仕事をする上でも、これまで一緒にがんばってきたチームで取り組めるのは心強いです。それに加えて、自分の新卒の頃から現場でご一緒していたフリーランスの先輩方からも、私がフリーになったことを知り、お仕事をいただけることも増えました。これまで会社で着実に積み上げてきた土台が、どの現場に行っても信頼に繋がっていると実感しています。
――独立直後の不安定な時期には嬉しい条件ですね。
これまで育ててくれた恩もあり、自分の挑戦を応援し、卒業させてくれた会社ですので、今後も貢献していきたいと思っています。私が会社の外で活躍している姿を後輩たちに見せることで、目標のような存在にもなれたら嬉しいです。
――なるほど。ブライダル以外のお仕事も所属していた会社からのご依頼なのですか?
ブライダル以外のお仕事はSNSを通じて広がっています。実は退職する1年ほど前から、SNSで自身の認知を広げる活動や、フリーランスの方々との交流を意識的に行なっていました。フリーランスとしての最初のお仕事は、プロフィール写真撮影のヘアメイクでした。こちらはclubhouseという音声SNSを通じて知り合ったコーチ兼カメラマンさんと一緒に企画したお仕事になります。
――どういったサービスの内容なのでしょう?
プロによるコーチングとヘアメイクで「自分史上最高のプロフィール写真」を撮影できるサービスです。使用目的や仕上がりのイメージを撮影前に共有して、カメラマンさんと一緒に出張撮影を行なっています。これまでご依頼いただいたお客様は、20代中頃から30代前半の女性が中心で、起業やキャリアアップを考えている女性をサポートできればと考えてはじめました。写真のクオリティをヘアメイクの力で上げることはもちろん、プロフィール撮影が初めてという方にもリラックスして楽しんでいただける雰囲気づくりも私たちの大切にしていることになります。
徐々に独立後の基盤ができたのは、コミュニケーションを大切にしていたから
――もともと会社に在籍していた時からフリーランスで働く準備をされていたんですね。副業などをしてもよい会社だったのでしょうか?
会社として副業が許可されていた訳ではありませんし、また活動の目的は収入ではなく、自分の市場価値を見つけるために活動する期間でした。そこで「フリーランスになることを視野に入れて、お仕事の幅を広げたい」と上司に伝えました。見通しの甘さなどについて指摘され、まずは現実的なところから、自分の獲得してきた仕事を社内でできるよう、環境を整えることになったんです。
――フリーランスになる前から実践的な取り組みができたんですね。
はい。きちんと会社と話し合うことで周りのスタッフの理解を得ながら、先を見据えた活動をすることができました。会社の看板を掲げ営業をして、見守ってもらいながら、これまでの業務とは独立した仕事することで本当にたくさんの経験が積めました。
――独立する前に準備しておいて良かったことはありますか?
フリーランスになるために準備した訳ではありませんが、会社の研修の一環でマーケティングやSNSを学んだ経験が非常に役立っています。3〜4年前に会社のなかでもSNSに力を入れようと動きがあって、そのときに周囲の同僚と比べ、私はSNSの活用に前向きというか「割と得意なタイプなんだ」ということに気づきました。それもあって一時期は社内で3つのInstagramアカウントの運用を任されていることもありました。
――特にTwitterを上手にご活用されているヘアメイクさんって珍しいですよね。
実はTwitterをはじめるまで、内向的で人見知りが激しい性格だったんです。自分が考えている言葉があっても、相手の顔色をうかがって発信できないことばかりでした。自己表現が苦手で人間関係もなかなか上手くいかない、つまりフリーランスとして働くのに向いてないタイプだったと思います。
――なるほど。お話していると全然そんな印象は受けませんが、自己評価としてはそうだったのですね。
Twitterをはじめたときには独立まで見越していた訳ではありませんが、ヘアメイクと言えば素敵なヘアスタイルの写真をInstagramに投稿するのが主流な中、「言葉で惹き付ける」という独自性を持ちたかったこともあり、結果的にTwitterに注力して投稿をつづけたことで、少しずつ自分の考えた言葉に共感してくださる方が増えていき自信に繋がったのだと思います。基本的にはありのままの自分を発信しているだけなのですが、それが自然と自分の人間性を知っていただき、お仕事の関係にも広がっていった流れです。
ヘアメイクと花嫁様の橋渡し役になるために無料相談も実施中
――澤田さんはSNSで花嫁様向けの無料ヘアメイク相談も行なっていますよね。
そうですね。SNSでリサーチをしているときに「思っていたヘアスタイルにならなくて悲しい」と投稿されている花嫁様が、想像以上に多くいらっしゃったのがきっかけでした。結婚式は人生の一大イベントですから、新婦様の理想が高まるのは当然なんです。しかし「なんだかプロ相手には要望を伝えにくい」と考えていらっしゃる方が多いようで……それがミスコミュニケーションを生んでいるという実感がありました。ヘアメイクリハーサル後の担当交代を希望される方がいらっしゃったり、結婚式後の後悔に繋がったり……。
――結婚式の写真を見返したときに不満がでる訳ですね。それはヘアメイクさんにとっても悲しいことでしょう。
そうですね。花嫁様に悲しい思いをして欲しくないというのと同時に、ヘアメイクとしても全力で向き合っているつもりが、花嫁様の本心を引き出せていなかったと知りショックを受けたという実体験がありました。
無料ヘアメイク相談では、まずご自身の「好き」と「嫌い」を明確に整理したり、ヘアメイクさんに要望を伝える際の表現方法を説明することが多いです。例えば「ふわふわ」や「ピタッと」などの表現も人によって捉え方が違ったりしますよね。そこで、よりヘアメイクさんの思考に近く、伝わりにくいニュアンスもしっかり言語化しておくことで、ヘアメイクさんとのやり取りは格段にスムーズになるんです。
――どうして、ご自分がヘアメイクするわけでないのに、そこまで相談に乗るんですか?
自身の手でヘアメイクを行うことは、物理的な距離をはじめ、1日に1組に限られるなど制限がります。オンラインのカウンセリングであればもっと多くの花嫁様を幸せに導けると思い、試験的に始めたところ思った以上の反響があったんです。
じつはフリーランスになる前から休みの時間などを使って相談を受けていました。そこで知り合った方からご親友をご紹介いただいて結婚式当日のヘアメイクのご依頼もいただけたんです。そのお二人との出会いは、私に「自分が届けたいことは誰かに必要とされていることなんだ」という確信を与えてくれました。そうやってご指名をいただくことも嬉しいのですが、今は純粋に、ヘアメイクさんと新婦様の橋渡し役になり、結婚式当日を安心して迎えられる花嫁様を増やせることを目標にしています!
澤田曜さんがフリーランス1年目から好調な3つの理由
今回、澤田曜さんからうかがった内容をまとめると以下の3つがポイントのようでした。
1.前の職場からのつながりを大切にしながらSNSなどで仕事の幅を広げる
2. 自分の考え方を積極的に発信してコミュニケーション能力を磨いた
3.困っている方を見つけたら積極的にサポートして未来の仕事につなげる
上司への相談やSNSでの発信を通じ、フリーランスで働く環境を整えてから独立した澤田さん。ヘアメイクの技術だけでなく、コミュニケーション能力や人との繋がりなども大切にしているからこそ、1年目から多岐にわたる活躍をされていることが分かりました。後編では、ブライダル業界への想いについても詳しいお話をうかがいますよ。どうぞお楽しみに!