診断から即実践。美容室にイメージコンサルタントがいるからこそできること【イメージコンサルタント 尾形光咲さん】#2
イメージコンサルタントという職業に魅力を感じ、尊敬する師のもとで「人の魅力を見つけて引き出す」ためのさまざまな方法を学んだ尾形光咲さん。縁あって、美容室という場所でイメージコンサルタントとしての活動をスタートしました。
後編は、「FaNNa ginza」で美容師と組んで印象プロデュースをする意義や、尾形さんが感じているやりがい、今後の課題などにフォーカス。お話を伺うと、お客様の印象アップをサポートしたいという強い気持ちが伝わってきました。
診断→即実践が叶うのは美容師とのコラボならでは
――「FaNNa ginza」に参加することになり、オープンに向けてどんな準備をされたのでしょうか?
さまざまな診断の中で、パーソナルカラー診断は光が重要。自然光が必要なので場所や時間帯を選ばなければいけません。なおかつ、お客様は診断中にすっぴんになるので、普通に髪を切りに来られた方達と同じ場所ではなかなか難しい。それで、日当りがよい窓際に、人目を気にせず診断を受けられる個室スペースをつくってもらいました。
診断をきちんと行なうにはいろいろな条件がそろわないといけないので、内装の打ち合わせの段階から参加させてもらえたのは本当にありがたかったですね。
――美容室の中でイメージコンサルタントとして働いてみて、どんなことを感じていますか?
オープンして間もないのでまだわからないことも多く、不慣れなこともいろいろ。ですが、おもしろさも感じています。
イメージコンサルタントは大抵ひとりでやっていることが多く、その場合はカラーや骨格や顔タイプの診断をして、「あなたにはこういうものが似合いますよ」というアドバイスを差し上げて終わり。でも、美容師さんと組むことによって、パーソナル診断をしてからその場で変身ができるんです。
――それは、お客様にとって大きなメリットですね!
例えばカラーリングだったら、パーソナルカラー診断をしたうえで「こういう系統のヘアカラーが似合うのでどうですか」と提案して、お客様と私と美容師の3者で相談をしながら、一緒に変身プランを考えられる。そしてその日のうちに染めることができる。それは、私一人ではできないことなので、ワクワク感や大きなやりがいを感じます。
――顔タイプ診断は、どのように役立てられているのでしょう。
顔タイプは8つに分けられるのですが、それぞれのタイプによって似合うファッションやヘアスタイルの傾向がわかるんです。それもすぐに取り入れて、カットやパーマで「似合う髪型」や「なりたいイメージ」を叶えることができます。
診断から即実践、という流れは本当にこのサロンの強みであり魅力だと思っています。
スクールで学んだマインドを今も大切に
――どのように診断を行なっているのか、簡単に教えていただけますか?
パーソナルカラー診断は、まず「イエローベース」「ブルーベース」「ニュートラル」の肌色カードを肌にあてて、肌トーンを確認します。次にカラードレープを顔の下に当てて、顔映りをチェック。似合う色を当てたときは、肌がイキイキと明るく見えます。
顔タイプは、顔を正面と横から撮影して、写真上で顔の比率やパーツのサイズなどを定規で計測して診断します。いろいろな種類のイヤリングを実際につけてみて、自分の顔タイプに似合うテイストが目で見てわかるようにもしています。
――きめ細やかな診断をもとにアドバイスするのですね。尾形さんが考える「印象プロデュースの肝」は何ですか?
スクールで先生から学んだことのひとつですが、一番重要なのは限られた時間の中でいかにお客様に興味を持つか。興味を持たないと、お客様のよさを引き出そうとか、きれいにしたいとか、お客様の「なりたい」を叶えてあげようという気持ちになりにくいと思います。
お客様はお金を払って期待して来店してくださっている。限られた時間ではあるけれど、全力で臨みたいと常に思っています。
――人の魅力を発見するコツはあるのですか?
イメージコンサルタントの勉強をしていると、お客様だけじゃなく出会った人みんなのいいところを自然と探しちゃうんです(笑)。初対面でも、目がキラキラしていて素敵だなとか、この人のこういうところが好きだなとか、見つけられるようになります。誰しも、いい部分は必ずありますから。これ、私だけじゃなくて、スクールの先生や他の生徒もみんな同じことを言っています!
――自然といいところに目が行くというのは、自分にとってもプラスになりそうですね。
自分自身の学びになるところもあります。メイクが上手な方を見つけると、こういう技術すごいな、取り入れたいなとか。その人の秀でているところを自然と見つけられて、自分にも活かせるという面もあると思います。
診断の魅力を多くの人に伝えて、「好き」を増やすお手伝いをしたい
――今の課題や今後の目標はありますか?
スタートを切ったばかりの今は、パーソナル診断単品メニューのお客様が多い状態です。美容室で私がイメージコンサルタントとして活動するということのメリットをまだ活かし切れていないので、これからそこをもっと強化したいですね。美容師さんと協力しながら「診断+ヘアチェンジ」のメニューをどんどん増やしていきたいです。
それから、顔タイプ診断の知名度を上げていきたいという思いもあります。お客様に興味を持っていただけるように、どうプレゼンしていくかが課題です。
――雑誌などを見ていると、若い女性の間では顔タイプ診断の人気が出てきましたよね。
世代を超えてさらに多くの人に知ってほしいと思います。顔タイプ診断は「自分に似合うテイスト」がわかるんですよ。洋服の形や柄とか、アクセサリーのテイストとか、ヘアスタイルとか。
ですが、もともとこだわりの強い方や、自分の好きなテイストが確立されている方からは、診断を受けることによって「自分の好きなものが似合わないという結果になったらどうしよう。それが怖い」という声をたくさん聞きます。そういった不安や誤解をどう解いていくかがカギですね。
自分の好きなテイストと似合うテイストが違ったとしても、メイクや髪型などの要素で「好き」と「似合う」を両立できます。そうご説明しても躊躇してしまう方がいらっしゃるので、そこを打破していかないと。
――今のお話を聞いていると、診断を受けることで自分のおしゃれの可能性が広がる気がします。
その通りです。こだわりが強い方がいらっしゃる一方で、自分の「似合う」や「好き」がわからないという方も実は多くいらっしゃる。そういう方は、自分に似合うものを知ると、それが「好き」に変わっていくんです。
パーソナル診断を通してその人の「似合う」を見つけてあげて、「好き」をたくさんつくるお手伝いができればとても嬉しいです。
尾形さんの成功の秘訣
1.気になる!と思ったらとりあえずやってみる
2.自分と向き合い、自分の気持ちを最優先する
3.自分の好きなことや興味のあることを周りにアピールする
取材・文/井上菜々子
撮影/喜多二三雄