美容師や介護資格をもつスタッフが連携した、最高の訪問美容のカタチ「Ringo」大脇貴志さん
三重県で、訪問美容サロン「Ringo」を経営する大脇貴志さん。知り合いの少ない土地で顧客ゼロから開業し、5年が経った現在、毎月50万円以上を安定的に稼ぎ、かつプライベートも充実しているといいます。その背景にあるのは、自分が提供できる価値について考え抜いた働き方や、仕事としての収益性の高さ。前編では、これまでの訪問美容とは異なる「Ringo」の形態について、その特徴やこだわり、集客や売上げなどについて、詳しくお話をうかがいました。
今回、お話を伺ったのは…
大脇貴志さん
訪問美容サロンRingo代表。都内・埼玉県主要部で10年勤務後、2017年より妻の地元の三重県に拠点を移し、フリーランスの訪問美容師としてRingoを開業。埼玉でも定期的にサロンワークをしながらマルチに活動中。美容ブログ『HAIR CHILDREN』を運営
大脇貴志さんのInstagram：@hair_children
三重県の訪問美容室「Ringo」
美容機器やヘアアレンジについて詳しくまとまっているブログ「HAIR CHILDREN」
――まずは、現在の大脇さんの活動について教えてください。
三重県で、訪問美容サロン「Ringo」を経営しています。コロナ前は、3ヶ月に1回のペースで出張サロンワークを続けていましたが、現在は基本的に三重中心で仕事をしています。訪問美容ということで、働く時間は朝から夕方にかけて。夕方の4時か5時くらいには、家に帰ることができるので、夜の時間は家族と食事を楽しんだり、美容ブログの執筆にあてたりしています。
――仕事もプライベートも充実しているのですね！訪問美容サロン「Ringo」の特徴について教えてください。
一般的な訪問美容との大きな違いは、施設と合わせて在宅の方、育児中のママさんや高齢のご両親の介護をしている方、妊婦さん、障害があるためサロンに行けない方などに対して、サロンとほぼ同じ内容のメニューをサロン価格で提供しているところですね。以前は「訪問美容＝施設で出張カット」というイメージが強かったですが、今では何かしらの理由で美容室に行けない方のお家に「在宅訪問」する機会がとても増えています。私がフリラーンスとして独立した5年前は、在宅を対象にした訪問美容はほとんどなく、「それなら自分がやってみよう！」と思って始めてみました。
――美容室に行きたくても行けない人は多いですよね。そんな方々にとっては、本当にありがたいサービスなのだと思います。
訪問美容のお客様には、椅子に長時間座ることが難しい、ベッド上でしか過ごせない方など、たくさんのお悩みをもつ方がいらっしゃいます。実際、ベッドに横になったままカットをすることもよくあります。そんな方々のニーズをしっかり把握し、「この状態でできるベストは何か？」を考えていくことは、ほぼ全てがサロンワークと大きく異なる点ですね。
大切にしたいのは、お客様の「安心」と「信頼」
一人一人のお客さんと向き合っていくことが人気の秘訣
――その場の状況に応じて、柔軟な対応が必要とされるのですね。訪問美容において、大変な面がありましたら教えてください。
大変だと思う事は、カット中に動いてしまう方を施術する時は特に気を使います。時にはカットを拒否されお客様が暴れてしまうケースもあります。そのためハサミを使用するのは難しい場合は、バリカンやトリマー、レザーなどを使って髪を整えていきます。
――訪問美容師を続ける上で、大脇さんが大切にしていることを教えてください。
お断りをしないことです。訪問美容のお客様の多くが「自分の状況でもカットやカラーをしてもらえるのだろうか？」といった不安を抱えています。実際お体の状態を聞いて施術が難しそうなケースもありますが、行程を工夫すれば、なんとかなる！と僕は感じています。訪問美容を通してご希望のメニューができなければ、お客様の希望が叶う事はありません。そのため「自分がやらなければ誰ができるんだ」という気持ちをモットーに、お客様のご要望をお断りしない事を大切にしています。
――お客様の安心につながりそうですね！他にもお客さまのために気をつけていることがあれば教えてください。
Ringoの大きな特徴の一つに「美容師、看護師、助産師、介護資格をもつスタッフが連携し、今までにない最高の訪問美容を提供している」という点があります。私自身も、訪問美容を始める際に、福祉理美容師としての認定資格や、介護職員初任者研修（旧ヘルパー2級）といった資格を取得しました。こういった資格を持っていることで、お客様の状況の理解にもつながりますし、ご依頼いただく際の信頼感や安心感につながると考えています。
顧客0から安定して50万円を稼げるまでに
大脇さんの施術メニュー
――ここからは、経営面について教えてください。先程のお話で、施設と在宅両方の訪問美容をされているとうかがいましたが、割合はどれくらいになるのでしょうか？
以前は在宅訪問が多かったですが、今は在宅と施設訪問が半々くらいです。みなさん美意識の高い方が多いので、施術メニューも充実させ、カットやカラー前のヒアリングにも時間をかけるようにしています。
――現在の売上や収入について教えていただいてもよろしいでしょうか？
売上は多い時で60万円、普段は安定して50万円くらいです。サロンワーク以上に高い利益率が訪問美容の良いところでもあり、少ない時間でも高い利益を出しやすくなっています。またカラーなどの材料費とガソリン代以外が利益となり、割合でいくと利益率は9割くらいになります。
――それはすごいですね！他に訪問美容の魅力について教えてください。
様々な場所に呼ばれて施術をするため、移動が多いんですよ。私は一日中サロンにいるよりもドライブなどをした方が楽しく「こんなスポットがあったのか！」といった気づきも多く気分転換になっています。あとはリピート率が高いサービスなため、お客様としっかり向き合える点が自分の性格にあっているかなと思います。先日もお茶に呼んで頂き、世間話を楽しみました。私も施術やその前後の時間を通して、学ばせて頂いている事が多いですね。
訪問美容室「Ringo」が多くの人に支持される3つの理由
1.「お断りゼロ」をモットーに、柔軟性をもって施術を行う姿勢
2.美容師や、助産師、介護資格をもつスタッフが連携し、お客様の状況理解に努めているところ
3.大脇さん自身が学ぶ姿勢をもって、仕事を楽しんでいる点
お話を伺っていると、大脇さんが「自分らしく、楽しんで」働いていることがわかりました。しかし開業から、現在の状態になるまでの道のりは、決して楽なものではありませんでした。後編では、大脇さんがどのようにして、三重県で人気の訪問美容師になったのか、集客のポイント、今後のビジョンなどについてお話をうかがいます。こちらもお楽しみに！
