新規を紹介制にしたことで、既存のお客様からの満足度が向上【美容師 中高下 由真さん】#2
美容師の中高下 由真さんは、都内でもトップクラスの評判を誇るBEAUTRIUMの青山店で、月500人以上のお客様を担当しています。集客に至るまでの道のりは試行錯誤の連続でしたが、ブログによる集客の成果から客数も安定したのだそう。その秘訣は、Instagramよりもブログに重きを置いたことによるものでした。中高下さんはブログのどんなところに可能性を感じ取ったのでしょうか。また、現在、新規は紹介制にしているそう。集客を中止し、紹介制に踏み切った理由とは？
前編では美容師になるまでの経緯、売上が安定するために取り組んだ集客方法について伺いました。後編では、Instagramとブログを実際に活用して感じたそれぞれのメリット、紹介制を取り入れた理由と中高下さんが目指す美容師としての理想像をお聞きしました。
お話を伺ったのは…
美容師 中高下 由真さん
地元・広島県で美容専門学校を卒業後、都内にある大手サロンBEAUTRIUMに就職。昨年、青山店の副店長に抜擢される。現在美容師歴8年。車や建造物好きが影響し、ヘアスタイルのフォルムには徹底してこだわることで評判。
施術側とお客様側とのマッチングを重要視するため、新規は紹介制に変更
――ブログを読んで来店するお客様は、どんな悩みの方が多いですか？
ターゲットの年齢層が40〜50代なので、エイジング系の悩みが多いですね。髪は年齢とともに変化していくので髪質が変わってしまったり、扱いが難しくなったりしてご来店いただくことが多くなっています。
――Instagramとブログの二軸で集客をしてみたメリットは？
双方のSNSの特性によって、集客できる間口が広がったところでしょうか。
両者を比べるとInstagramの方が集客率は高いです。でも、僕がターゲットとしている客層は「髪悩み」のある方。そういった方は、大体ブログを見て来店いただいていたので、僕にはブログからの集客が合ってたんだと思います。
――SNSから来店したお客様を定着させるために心がけていることは？
事前にSNS上に載せているヘアスタイルの投稿と、実際にサロンに来ていただいた際の施術にギャップが生まれないように意識しています。そのために、投稿するときはなるべく、大多数のお客様が当てはまるようなお悩みを題材にすることが多いですね。
――現在、新規のお客様は紹介制と伺いましたが、その理由は？
もともと美容師を始めたときから考えていて。その気持ちがだんだんと大きくなり、この先ずっと新規のお客様を集客し続けるより、既に来ていただいているお客様を大事にしていきたいと思うようになったからです。
――なぜでしょう？具体的に教えてください。
美容師としての僕を既に知っているお客様なら、僕が得意とするカット技術などがわかっていますし、悩みのある方を紹介してもらいながらお互いに良い関係性が築けるのではないかと思ったんです。それで、2年前くらいに紹介制に切り替えました。
――紹介制を導入した今、以前と比べて売上に変化はありますか？
紹介制にする前よりはお客様の人数が減りましたが、リピートいただいたり、紹介いただいたりしているので、売上に大きな変化はありませんね。
ありがたいことに、Instagramやブログでそれぞれの角度からアプローチしたおかげで、月に約300人前後のお客様を担当させていただき、リピートいただいています。
――お客様のリピート率と紹介だけで営業しているのですね。紹介制の予約方法は？
既にご来店いただいているお客様から紹介いただいたあと、電話予約で承っています。
――紹介制にしてみて、いかがですか？
自分から取り入れたことなのですが、正直、紹介元のお客様に恥をかかせるわけにはいかないので、プレッシャーを感じています（笑）。
紹介って、ある人が「すごく良い」と思ったから紹介に至るわけで、勧められて来たのに実際は全然よくなかったと思われたら紹介した人の顔が立ちません。せっかく来ていただいた方にも申し訳ないですし、全力でご要望に応えるべく施術を行っています。
――もともとのお客様の反応にも変化はありましたか？
一人ひとりにかけられる時間が必然的に長くなった分、もともとのお客様からの満足度がさらに上がったと感じます。今までもお客様と丁寧に向き合って来たつもりですが、紹介制にしたことで、より寄り添う施術が実現できているのではないでしょうか。
「選んでもらえる」美容師になりたい
――新規を抑えた分、既存の指名してもらっているお客様と向き合っているのですね。紹介いただいたお客様の層はどんな感じですか？
同じく40〜50代の方が多いのですが、経験が豊富でいろいろな物事について見聞が広い方が多く、僕もそのレベルまで追いつきたい気持ちになります。自分自身の本質と向き合っていて、軸が固まっている人って素敵ですよね。
――今後はどのような美容師を目指していく予定ですか？
そうですね。集客を一番の目標にしていたときとは違って、今後は一人ひとりのお客様と少しでも長くお付き合いしていくことが重要だと思っています。いつご来店いただいても、恥ずかしくない接客や施術ができる美容師で在りたいなと。
例えば施術の際に好みや傾向など最初は分からなかったことも、お付き合いを重ねることでお客様が求める髪型の本質がなんとなく分かるようになってきます。お客様対美容師ではありますが、その前に人間として頼ってもらえる存在になりたいんです。そのためには、自分自身のスキルアップが必要だと思うので、選日続けていただくために施術はもちろん、それ以外の知識も積極的に学び、取り組んでいく姿勢を忘れずにいたいと思います。
月に約500人以上の集客ができた3つのはたらき
1.Instagramとブログでターゲット層や目的を分けて使用する
2.投稿内容は誰が見てもわかりやすいように意識し、反応を見てクオリティを上げていく
3.既存のお客様に寄り添った施術を大事にする
取材・文／東菜々（レ・キャトル）
撮影／SHOHEI
