「あの人みたいにはなれない」自分でいることが、ブランドサロン確立の一歩に「ORIKA」KAORIさん
2021年に独立した「ORIKA」のKAORIさん。前編では美容師として心がけてきた「見られ方」について伺いました。
後編では、経営について伺います。集客サイトも求人サイトも使わずに経営を軌道に乗せているKAORIさん。はたから見ると順風満帆に見えますが、オープンから1年ほど経ったころから、お店をスタッフに任せた方がいいのか、自分がプレイヤーとしてお店に立ち続けるか悩んだこともあったといいます。またブランドサロンを確立するためKAORIさんがやられてきたことも伺いました。
今回、お話を伺ったのは…
KAORIさん
美容師/「ORIKA」オーナー
兵庫県生まれ。16歳で美容師になり、某有名店3店舗、アイリストとして5年勤務を経験。2018年大阪に拠点を移し、業務委託美容師に。大阪で300名以上が所属する大手サロンに勤務し、 顧客0の状態から 社内スタイリスト売上ランキングNo. 1を獲り続け 同時に歴代最高売上を樹立。予約の取れない超売れっ子美容師に。2021年5月、大阪堀江にカフェを併設したヘアサロン「ORI」をオープンその後、店名を「ORIKA」に変更。「お城みたいな美容室」をコンセプトに 集客サイトを使わず生産性100万円以上をキープし続けるブランドサロンとなる。 求人費用0で開業後からスタッフも自然と集まり現在9名に。
スタッフの退職で行き着いた、先頭に立ち続けるオーナースタイル
――KAORIさんは現在もお店に立っているのですか?
はい。一時期、お店にあまり立っていない時期もあったのですが、自分がサロンに立ち続けるしかないと決めたのが、実は今年に入ってからのことで。
――何かきっかけがあったのですか?
私がいない時にどうお店を回すかというルールや仕組みを作らないままに、不在にしてしまったので、スタッフの統率がとれなくなってしまって。不平不満を言う子や辞める子もでてきて、私も悩んでいました。そんなときに、ある経営者の方から、「ORIKAはKAORIさんの魅力にお客さまやスタッフが集まっているサロンだから、KAORIさんが現場を離れて経営に回るのは難しいよね」と言われたことで、ふんぎりがついて、現場に立つことにしました。
元々、自分がお店にいたほうがいいのかもしれないと思いつつも、ほかの経営者の方とお会いする機会が増えて、経営者がプレイヤーとしてお店にいなくても、お店が回る状態をいかに作るか」を考えられている方が多かったので、自分もそうしようと思ったんです。言い方は悪いかもしれないですけど、それができたら楽そうだなと思ってしまって。自分が目指しているのも普通のサロンではなくて、ブランドサロンだったので、自分が先頭に立つ道を選ぶことにしました。
人間らしさを消し、「あの人にはなれない」自分でいる
――ブランドサロンを作りだしたということですが、どのようにして作ることができたのでしょうか。
ブランドサロンというのは多分、作ろうとしてできるものではないのかなと思います。よっぽどタレント性や、カリスマ性の高い人がサロンにいたときには、簡単にできるかもしれないですけど、だれもが作れるものではないのかな、と。ただ私は意識していることはたくさんありますね。
――具体的にはどんなことですか?
お客さまに対しても、スタッフに対しても、意識していることなのですが、「あの人にはなれない」と思われる人でいることです。たとえば、生活感を見せない。人間味あふれる感じは消す。美容師は、サロンに行って仕事前に髪の毛をセットするのが基本だと思うんですけど、メイクもヘアもかならず家で準備してからサロンに行くようにしています。服も毎日コーディネートをちゃんと考える。あとは前編でお話したことにもつながるのですが、キャラ作りはしていました。少し高飛車な感じというんですかね。そういう方が、憧れの存在にもなりやすいのかなと思っています。
「ORIKA」と関わることを誇りに思ってもらえるように
――スタッフの方にも「あの人みたいにはなれない」人でいる必要があるのですね。
「オーナーみたいな仕事、私でもできるわ」と思わせたら、お店を辞めてしまうのではないかと思うんです。だから誰よりも寝ずに、努力を、成果を見せ続ける。そしてこの人を味方にしておけば、成長できる、自分にはメリットがあると思ってもらえることが大事だと思っています。
――誰よりも寝ずに・・・。持続するのが大変だと思います。モチベーションはどんなところに?
かっこよくないかもしれないですけど、私の原動力はいつも復讐心ですね(笑)。辞めてしまったスタッフに、「あー、KAORIさんとこ離れんかったらよかった」と思わせたい、見返してやりたいという気持ち。もちろん、離れていったスタッフの幸せは願っていますが、その気持ちがあるから、つらいことも乗り越えられるのかなと思います。
――今後の目標は?
8月に2号店である「HACHI by ORIKA」をオープンさせるので、まずはこの2店舗の経営を軌道にのせたいと思います。ブランドサロンとして、私の血が通うのは3店舗くらいだと思いますし、量産してしまうと価値がなくなるのかなと思うので、3店舗展開を目標に。もっとお金を稼ぎたいとか、店舗を拡大していきたいという思いはほとんどなくて、私が目標にしているのは、お客さまやスタッフが関わっていることを誇りに思えるようなサロンを作っていくことです。そこまではがむしゃらにやっていこうかなと思っています。
「ORIKA」の経営が安定した3つの理由
1.誰よりも努力し続けるオーナーの道を選んだ
2.「あの人みたいにはなれない」自分でいることを意識した
3.ブランドサロンとしてのありかたを模索することを決めた
取材中、1時間お話しただけでも、ぐっとひきこまれてしまうほど、求心力をもったKAORIさん。この力がお客さまやスタッフの心をつかんでいるのだと感じました。経営に悩むサロンオーナーは参考にしてみてくださいね。