アロマセラピストが病院で働くには?メディカルアロマセラピストについて解説
一般に「アロマセラピスト」というとサロンで働くイメージがありますが、アロマセラピストのなかには介護施設や病院で働く人もいます。
そこで、サロンに勤務するアロマセラピストとはどう違うのか、また、病院で働くためにはどうすればいいのかについて詳しくお伝えします。
メディカルアロマセラピストとは
メディカルアロマセラピストとは、フランスで発祥した「メディカルアロマセラピー(芳香療法)」の技術者のことです。
メディカルアロマセラピーとは、医療や介護の現場でアロマセラピーによって肉体や精神の不調に働きかけるもので、補完医療や代替医療行為として認められている国もあります。
日本でも、医師や看護師との連携による認知症予防や終末期ケアに取り入れられつつあり、訪問看護師として働くなかで、高齢や病気の利用者にリラクゼーションの面でアプローチできないかを考え、メディカルアロマセラピストの資格を取った人もいます。
「petit bonheur」を運営している森本早紀さんは、利用者の肌への繊細な触れ方を学ぶことができ、訪問看護の仕事に活かせているそうです。
- 「現場で精油を直接使うのは難しいのですが、個人的にケアをする時には取り入れていました。あとはスキンケアのときなど、患者さんの肌に触れるときにはアロマセラピーの知識をよく意識していましたね。
『体がだるい』と言われて、以前なら知識なく体をさするところを、知識を持ったリラクゼーションを提供する。そうして、ケアのひとつとして取り入れています。
また、私自身アロマを取り入れてから、香りにすごく敏感になりました。そのため消臭スプレーやディフューザーなどは、すべて自分で精油を調合して手作りしています。それを現場に持っていくことも。嗅覚は脳を刺激するので、認知症の方にも香りは大切です。」
引用元
訪問看護師をしながらメディカルアロマセラピストの資格を取得!【petit bonheur 森本早紀さん】#1
普通のアロマセラピーとメディカルアロマセラピーはどう違うの?
一般的なアロマセラピーは、主にリラックスを目的としてリラクゼーションサロンや美容サロンで利用されていることが多いです。また、自分でアロマ用品を購入して自宅で楽しむ人もいます。
一方、メディカルアロマセラピーは、精油の持つ薬理作用を用いて自然治癒力を高めることや治療に伴う苦痛の緩和などを目的とし、医療現場や福祉現場で利用されています。このように、目的や利用される場面が大きな違いです。
ただし、メディカルアロマセラピーは「治療」ではありません。「治す」ことを謳うと違法になってしまうことに注意が必要です。
メディカルアロマセラピストになるには?おすすめの資格も紹介
メディカルアロマセラピストには国家資格がなく、関連する資格はすべて民間資格のため、資格を持っていなくてもメディカルアロマセラピストを名乗ることはできます。
しかし、精油ごとの効能や組み合わせ方、人体の構造、メンタルケアなど、多岐にわたる知識や技術が必要なため、資格を取得する過程で正しいスキルを学ばないと、適切な施術を行うことは難しいでしょう。
では、一体どのようにして学べばいいのか、メディカルアロマセラピストのスキルを身につけられる代表的な資格を紹介します。
メディカルアロマセラピスト|日本統合医学協会
健やかな長寿社会を目指す「日本統合医学協会」では、健康に関するさまざまな資格取得コースを用意しています。
「メディカルアロマセラピスト」もそのひとつ。6カ月間の通学(ハイブリッドも可)で、アロマ・心理学・基礎医学などを総合的に学べるコースを受講し、医療現場で役立つハイレベルな知識と技術を習得します。学科と実技それぞれの修了試験に合格すれば取得です。
引用元
日本統合医学協会
資格・検定について | 日本統合医学協会
メディカルアロマセラピストコース | 日本統合医学協会
メディカルアロマセラピストアドバイザー・スペシャリスト講座|日本メディカルアロマテラピー協会
日本メディカルアロマテラピー協会(JMAA)は、医師や獣医師の研究・指導のもと、治療としてのメディカルアロマの普及に向けて活動を行っているNPO法人です。
JMAAが実施するメディカルアロマセラピストの認定講座として、アドバイザー講座とスペシャリスト講座があります。アドバイザー講座には基礎と応用があり、基礎では16種類、応用の前半では19種類、応用の後半では14種類の精油について学びを深めます。
また、スペシャリスト中級講座は、有機化学・精油の薬理効果・ストレス・関連法規などについて幅広く学ぶカリキュラムです。
引用元
日本メディカルアロマテラピー協会
協会認定講座とは | NPO JMAA
アドバイザー基礎講座 | NPO JMAA
アドバイザー応用講座 | NPO JMAA
スペシャリスト中級講座 | NPO JMAA
ISA認定メディカルアロマセラピスト|国際アロマセラピー科学研究所
ISA認定メディカルアロマセラピストは、アロマと漢方をかけ合わせた研究を行う「国際アロマセラピー科学研究所(ISA)」が認定する資格です。
法令遵守・科学的思考・リスクの回避・説明責任という独自の四原則を定め、より高度なアロマセラピストになるためのカリキュラムを学習します。看護師や薬剤師などの国家資格者向けの上位資格「メディカルアロママネジャー」もあります。
引用元
国際アロマセラピー科学研究所
ISA資格認定制度について|ISA
ICAA認定メディカルアロマセラピスト|インターメディアリー・クリニカル・アロマセラピー協会
医療現場でのアロマセラピーの普及とアロマセラピストのスキル向上を目指す「インターメディアリー・クリニカル・アロマセラピー協会(ICAA)」が認定する、メディカルアロマセラピストの資格です。所定の講座を受講し、試験に合格することで取得できます。
引用元
ICAA インターメディアリー・クリニカル・アロマセラピー協会
ICAAについて|ICAA
認定資格制度|ICAA
IFPA認定メディカルアロマセラピスト|国際プロフェッショナルアロマセラピスト連盟
アロマスクール「ジャパン・エコール・デ・アロマテラピー(JEA)」では、「IFPA資格対応メディカルアロマセラピストコース」を用意。
世界でも権威あるイギリスのアロマセラピスト団体「国際プロフェッショナルアロマセラピスト連盟(IFPA)」の認定講師のもとで学びながら、メディカルアロマセラピストの資格を得ることができます。
本場の高い知識や技術を学べることが大きな特徴で、本格的にメディカルアロマセラピーのスペシャリストを目指したい人におすすめです。
引用元
ジャパン・エコール・デ・アロマテラピー
英国IFPA資格対応メディカルアロマセラピストコース|JEA
メディカルアロマセラピストの資格を取得するメリットは?
最後に、メディカルアロマセラピストとしての資格を取得するメリットをお伝えします。
1.エビデンスに基づいた知識を取得できる
メディカルアロマセラピーは、一般的なアロマセラピーとは異なり、医学と密接に関連している療法です。そのため、資格取得の過程で、医療や福祉の現場に必要な心身のケアとアロマの知識を科学的根拠に基づいて学習することができます。
2.信頼を得やすくなる
資格を取得しているということは、一定のスキルを有していることの証明になります。国家資格のない職業とはいえ、資格があるほうが雇用主や利用者も安心です。信頼してもらいやすくなるうえ、資格手当がつくなどの給与アップも見込めるでしょう。
3.協会の支援を受けられることがある
資格によっては、認定する協会の会員になることが求められます。
しかし、協会に加盟することにより、協会が開催するセミナーに参加できたり、求人情報を提供してもらえたり、資材の販売割引を受けられたりするなど、支援を受けられることは大きなメリットといえるでしょう。
アロマセラピストが病院で働くためにはメディカルアロマセラピストになろう!
病院で働くアロマセラピストのことをメディカルアロマセラピストと呼び、アロマセラピーの知識や技術のほか、医療についてのスキルも求められます。
必須の資格はありませんが、医療や介護の現場で仕事をするため、科学的根拠に基づいた高度な専門知識があることは信頼につながります。メディカルアロマセラピストとして活躍したい人は、ぜひ今回紹介したような資格を取得してください。