変化に柔軟に対応しながら、スタッフやお客様とともにサロンを成長させたい【BLANK TOKYO 代表 フカウラシュウタさん】#2

「文化系メンズサロン」というキャッチーなコンセプトを掲げ、表参道に「BLANK TOKYO(ブランク トーキョー)」をオープンしたフカウラシュウタさん。YouTubeでわかりやすいヘアセット動画などを配信する動画クリエイターとしても活躍し、続々とファンを獲得しています。

後編では、特化型のスタッフを集めた理由や、フカウラさんが考える「通いたくなるサロン」「働きたくなるサロン」のために取り組んだこと、今後の展望などを伺います。

お話を伺ったのは…
BLANK TOKYO 代表 フカウラシュウタさん

2019年に早稲田美容専門学校美容科卒業。表参道の美容室にて半年ほど勤務後、2019年10月に顧客ゼロでフリーランス美容師へ転向。2020年4月にYouTubeチャンネルを開設し、ヘアセットやスキンケアなどの動画を配信。現在の登録者数は約8万5千人を超えている。2023年11月、表参道にメンズヘア&アイブロウサロン「BLANK TOKYO」をオープン。

Instagram:@shuta_fukaura
YouTube
YouTubeに関するインタビュー

特化型スタッフが集う「文化系メンズサロン」

「いずれは、メンズのトータルビューティーサロンに」。突出したスキルや得意分野を持つスタッフによるチームを構築中。

――BLANK TOKYOのコンセプトを教えてください。

「文化系メンズサロン」というコンセプトを掲げています。わかりやすいキャッチコピーというか、「半個室・完全マンツーマンで落ち着いたメンズサロン」を端的に表せる言葉はないかなと考えた時、わいわいと賑やかな美容室=体育会系タイプ、落ち着いた美容室=文化系タイプというイメージが思い浮かんだのでそのまま使いました。洗練された雰囲気のヘアスタイルを打ち出したいと思っていたので、そこにも合うかなと。

――メンズサロンにしたのは、元から男性のお客様が多かったからですか。

最初はむしろ逆で、女性のお客様が多かったんです。もともとメンズヘアをやりたかったんですけど、最初に入ったサロンが女性客メインのところだったので。フリーランスになりYouTubeを始めて、打ち出し方を変えてから男性のお客様が増えていきました。美容師になろうと思った原点が自分のヘアセットでしたし、メンズヘアで変われるという感動をお客様にも伝えたいというのもあってメンズサロンにしました

――ヘアだけでなくアイブロウの施術も取り入れたのはなぜですか。

ただのメンズサロンをつくるのはちょっと退屈だから、何かを掛け合わせたいと思ったんです。4、5年前は僕も眉毛サロンに通っていたのですが、ヘアサロンと眉毛サロンそれぞれに行くのは面倒だから、両方同じところでできればいいのに…と思っていました。それで、本当に自分が行きたいサロンをつくったという感じです。

僕のお客様の8割くらいがセンターパートスタイルなのですが、センターパートは眉毛が見えるので、眉毛に対する意識が高い方もたくさんいらっしゃいます。サロンの構想を練っている時に「美容室と眉毛サロンが併設したサロンをつくろうと思ってるんですけど」と話したら、「それはすごく助かります!」という声をいただけたので、併設しました。

――髪もそうですけど、眉毛で印象は大きく変わりますもんね。

首から上のトータルバランスを整えられる場所という感じで、髪型との相性も考えた眉デザインも提案できますし、そこが一般的な眉毛サロン専門店とは差別化できるポイントかなと思います

――ヘアと眉の施術をセットで受けるお客様が多いですか。

大体6割くらいですかね。眉毛の施術用のスペースがあるのですが、ヘア用のスペースからたったの数歩で行けるのがやっぱり魅力だと思います。興味はあるけどなかなか踏み出せなかったという方も、ここなら挑戦しやすいみたいで。眉毛専門サロンだとエステや脱毛のイメージが強くて行きづらいと感じる方にも、「眉毛サロンデビュー」の場として選ばれることが多いなと感じています。

アイブロウ専用の半個室。初めてプロに眉毛を整えてもらうお客様も、安心して過ごせる空間です。

――スタッフさんのプロフィールを拝見すると、「アイブロウ特化」や「韓国ヘア特化」と謳っていらっしゃいますね。

やっぱり何かに特化していたほうが、お客様により高いレベルの技術やサービスを提供できると思うんです。例えば学生時代なら、英語がわからなければ英語の先生に聞いたほうが、絶対満足度の高い回答を得られます。それと同じで、韓国ヘアにしたいと思ったら韓国ヘアを得意としている美容師さんにお願いするほうが満足度が高い。満足度が上がると、必然的にリピート率も上がります。お客様と美容師の双方にとってメリットがあるので、「〇〇特化」としています

今後はチームとしてやっていきたいというのも大きな理由です。僕はフリーランス時代、センターパートスタイルやパーマに特化していたのですが、カラーや縮毛矯正もやりたいお客様がどうすればいいのかわからなくなっている気がしました。それで、チームを構成すればお客様のいろいろな要望に応えられるのでは、と。近々、パーマが得意な美容師もメンバーになる予定です。

野球でも全員ピッチャーだとダメだし、サッカーでも全員ゴールキーパーだと成り立たない。それぞれ得意分野の異なる人たちが集まることで、相乗効果みたいなものが生まれるかなと思っています。「メンズ美容」とか「メンズ身だしなみ」っていう競技の中で、いろいろなポジションの人がいるという感じですね

サロンづくりの考え方は、Z世代オーナーならでは

皆さんの服装もモノトーンですねと言うと、「たまたまです!黒という決まりはないのですが自然とそうなりました。それがBLANK TOKYOらしさなのかも」とフカウラさん。

――フカウラさんのサロンづくりのこだわりを教えていただけますか。

美容師になる前の自分が通いたくなる、そして美容師になりたての自分が働きたくなるサロンをつくりたいと思いました

通いたくなるサロンは、とにかく丁寧に真摯に向き合ってくれて、居心地がよく落ち着いて過ごせるところ。美容室に行くというのは、お客様にとっては特別なことだと思います。美容師にとっては日常ですが、お客様には非日常。特別感があり、プロ意識を持って常に成長しているサロンや美容師のところにお客様は行きたくなると思っています

そのために、半個室で完全マンツーマンという落ち着いた空間をつくり、美容室と眉毛サロンの一体化でトータルに身だしなみを整えられるようにしました。非日常を味わってもらえるように、内装にも徹底的にこだわっています。

――内装のこだわりは具体的にどんなところでしょう。

色使いはモノトーンで統一しました。淡いグレーの壁や床、黒いイス、使用しているスタイリング剤までモノトーンです。そういった世界観は細かいところまで妥協性せずにつくっています。フリーランスの頃からそこは意識していて、シェアサロンの席もなるべく背景が白いところを選ぶようにしていました。その時に培った仕事へのこだわりも、今の自分の店に反映しています。

スタイリング剤の容器も黒・白・グレーで揃えて、スタイリッシュな雰囲気。

セット面の向きも特徴的だと思います。通常は壁側に鏡や椅子を設置することが多いのですが、壁に対して垂直に配置して半個室にしました。そうすると鏡に余計なものが映り込まず、お客様は自分の髪型を見やすいですし、人目も気になりません。担当する美容師側もお客様の髪を見やすいんです。

他のお客様やスタッフが通路を通っても、あまり気にならない設計。

――もうひとつの、美容師になりたての自分が働きたくなるサロンというのは?

効率的で無駄がない、休日やプライベートの時間も充実させられる、自分のスキルアップもちゃんと計れるのが、過去の自分だったら働きたくなるなと

そのためにiPadでの受付や完全キャッシュレス決済を導入して、来店も退店もスムーズにできるようにしました。電話予約を受けていないので、電話対応が苦手な若い子たちにとっては嬉しいと思います。朝礼や終礼もなく、ミーティングも必要最小限です。

「ヘアキャンプ」という美容師向けセミナーのサブスクリプションのようなものがあって、それも最近導入しました。700本近いセミナー動画が見放題なので、電車の中でもどこでもちょっとした時間で勉強ができます。そういったZ世代オーナーならでの柔軟なサロン設計を考えていますね

働くことは、成長すること。常に進化を続けたい

飛行機や新幹線で遠方からいらっしゃるお客様も多いBLANK TOKYO。「他との差別化や唯一無二性を考えた」というフカウラさんのブランディング力の表れだと感じます。

――集客数や利益を伸ばすために取り組んでいることはありますか。

とにかくお客様に満足していただけるように意識して、リピート率を大切にしています。現在は95%くらいのお客様がリピーターで、お客様のファン化は結構できているのかなと。ただ、新規の予約をなかなか受けられないので、これからスタッフも増やしていく予定です。

「ずっと予約が取れなくて他のところに行っていたけど、キャンセルが出てやっと来れた」と、数年越しにいらっしゃる方もいます。それはマンツーマンの弱点ではありますが、個人的にはやっぱりお客様と密に関われる働き方をしていきたいんですよね

――今後強化したいことや目標を教えてください。

お客様の満足度と収益の両方につながることだと思いますが、オリジナル化粧品の開発を考えています。それから店舗展開もしたいですね。今は眉毛の施術だけで来店される方もいて、メンズ眉毛サロンのニーズがあると感じています。

メンズコスメブランドと眉毛サロンを主軸にした店舗をつくることで、お客様に成長していく姿も見せられますし、他のスタッフに任せられる仕事もどんどん増えていくはず。先ほど話した「通いたくなるサロン&働きたいサロン」というところもさらに満たせるかなと思っています。

――止まることなく進み続けている感じですね。BLANK TOKYOは今年の11月で1周年を迎えますが、お客様やスタッフの皆さんに伝えたいことはありますか。

とにかく感謝しかありません。サロンはご来店くださるお客様がいないと成り立たないし、スタッフもいないと成り立ちません。お客様とスタッフあってこその1周年なので、とても感謝しています。2年目以降も、信頼できるスタッフと、そして僕たちを信頼してくださるお客様と一緒に、サロンをどんどん成長させていきたいです

――最後に、フカウラさんにとって「働く」ということは?

働くことは成長すること。美容業はトレンドも技術も集客方法もどんどん変わっていくので、終わりがないですよね。変化に柔軟に対応して、成長していける人だけが残ると思っています

だから、アンテナを張りつつ戦略を立てていけたらいいですよね。例えばSNSでもたくさんの種類があり、注目されるものも変化し、動画もどんどん増え続けている。その中でどう差別化して、どう訴求して、お客様に来てもらうのかが大事。

やっぱり、常に成長しないといけないですね!

フカウラさん流の進化し続ける秘訣

1. 理論立てて戦略を考えること

2.人のために行動すること

3.関わる人に対して誠実に向き合うこと

撮影/高嶋佳代
取材・文/井上菜々子

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Salon Data

BLANK TOKYO
住所:東京都港区北青山3-5-40 PRYME CUBE 表参道 4F
電話:050-6870-8129
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