従業員満足度を上げることにシフト。美容業界最高待遇を目指し、改善を続ける「ニューアート・ヘルス&ビューティー」中村綺乃さん
日本の美容業界を支える企業の魅力を紹介する本企画。今回登場いただくのは、エステティックサロン「ラ・パルレ」を経営する「株式会社ニューアート・ヘルス&ビューティー」です。「ラ・パルレ」は1978年に誕生し、エステティックサロンの先駆けとして、業界をけん引してきました。
前編では「ニューアート・ヘルス&ビューティー」の企業の成り立ちや、特徴について、入社4年目でマーケティング部所属の中村綺乃さんにお話を伺います。
「ニューアート・ヘルス&ビューティー」が掲げるのは、美容業界最高待遇。未経験者でも初任給は25万円からのスタートなど、処遇改善を行ってきたそうです。
改革が行われるようになった裏には、社員の方たちが「フランクすぎる」と称するほど、社員と近い距離にいる社長の存在がありました。「従業員満足を上げられる会社にシフトする」というゆるぎない信念が、改善を推し進めてきたようです。
お話を伺ったのは・・・
株式会社ニューアート・ヘルス&ビューティー
マーケティング部
中村綺乃さん
実家がブライダル業界に携わっていたこともあり、ブライダルに携われる美容師を目指していたが、手荒れをしやすい体質だったため断念。美容専門学校卒業後は、ブライダルエステのあるエステブランドに入社する。しかしそこでもやはり手荒れが出てしまい、美容クリニックに転職。受付とマネージャー職を経験する。2021年、「ラ・パルレ」にマーケティング部兼社長室勤務で入社し、現在はSNS運用やブライダルエステの提携先への営業など、幅広い業務を担当する。
「これからは従業員満足度を上げる」。社長の声で変わっていった処遇

取材に応じる中村さん
――まずは、企業の成り立ちから教えてください。
「ラ・パルレ」は1978年に創業し、今年で46年目を迎えます。今は運営会社が「ニューアート・ヘルス&ビューティー」に変わっていますが、創業オーナーは「ニキビで悩む人を助けたい」という思いを持って創業しており、1号店を静岡県静岡市に構えました。業界で初めてメンズエステを取り入れたりと、常に業界に新しい風を吹かせてきた企業で、現在は関東エリアを中心に全国21店舗を運営しています。
――会社として大切にしている考え方を教えてください。
運営会社が「ニューアート・ヘルス&ビューティー」に変わる際に、今の社長が掲げたのが、従業員満足度の高い企業にシフトしていくということでした。
この業界は一見華やかに見えますが、体力を使う仕事も多く、実は泥くさい面もあります。そのため、以前は当社でも早期離職が多く、問題視されていました。そこで、社長が掲げたのが美容業界最高待遇です。
その一環として、お休みや休憩時間がしっかり取れるようにし、給与水準を上げることにも取り組んできました。未経験者でも初任給は25万円からスタートし、この業界でもあまり例がないのではないかと。私が入社したときと比べても待遇は、どんどんよくなっていると思います。
――お休みや給与面以外にも、何か改善されたことはありますか?
給与面に付随しますが、評価システムを明確にしました。それまでの弊社は、昇格や昇給の基準があいまいで、店舗ごとに差が生まれてしまっていることもありました。しかし現在は基準を明確に定めるようになり、社員は何をがんばれば給与が上がるのか、昇格するのかをしっかり把握できるようになり、モチベーションのアップにもつながったと思います。
またエステティック国際ライセンスなどの資格を持っている人には資格手当が付くのですが、これから資格を取得したい人にはその取得費用を100%(上限60万円)補助する制度もあります。
ほかにも産休育休や時短勤務の制度も導入し、お子さんがいても働きやすい環境を提供しています。時短勤務が適用できる期間は一般的に、お子さんが3歳になるまでだと思いますが、この会社の場合は小学校6年生までを範囲とするなど、手厚い支援を行っています。
充実した研修制度で、入社から1ヶ月ほどでデビューが可能に

「ラ・パルレ」には、現場で早く活躍できるような研修制度が整っている
――エステブランドとしての特徴は?
お客様に合わせてコースを提案する、トータルエステティックサロンだということです。エステ業界は専門店も多いですが、痩身、ニキビケア、ブライダルエステなどさまざまなメニューを提供しているため、エステ全般について学びたい人には向いている会社だと思っています。
――研修制度の特徴について教えてください。
研修制度の充実には力を入れており、とくに新卒採用の場合は、早期デビューができるようにしっかりとカリキュラムが組まれています。まず学校を卒業した直後の3月に、4泊5日の合宿があり、ここでは社会人としてのマナー、エステの知識や技術が徹底的に叩き込まれます。
店舗配属後はいきなりすべてのメニューに入るのではなく、合宿で覚えた技術から少しずつお客様に施術を行うことができます。お客様に入っていないときは、先輩のお客様の施術の一部にヘルプとして入ったり、洗濯や事務作業などをしながら、少しずつ仕事に慣れていく形です。
――独り立ちするまではどのようなステップを踏むのでしょうか?
その後、店舗でOJTを行ったりしながら、技術を身につけ、徐々に独り立ちしていきます。大体、入社してから1ヶ月後くらいにはすべてのメニューでお客様に入れるようになるので、現場で活躍できるようになるまでの期間は、ほかのエステ会社と比べてもかなり短いのではないかと思います。
また業界のなかでも珍しいと思うのが、営業時間外の練習がなく、業務時間内で完結するため、プライベートも大切にできることです。さらに2年目、3年目となっても定期的な集合研修があったりと、学ぶ環境は整っていると思います。
――エステの仕事というと、ノルマが厳しかったり、積極的に営業をかけないといけないのではないかと不安を抱えている人もいるかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
ノルマがないわけではないのですが、お客様に無理にご契約を強いるようなことはないので、そこは安心していただいていいと思います。そもそも商品を買っていただくことやコースを契約していただくことは、無理におすすめをしても実現できることではないと思うんです。
エステティシャンにとって必要なのは、営業力より、コミュニケーション力だと思います。エステに来るお客様というのは、皆さん悩みを抱えていて、それを解決するためいらっしゃるので、コミュニケーションをきちんととって、その悩みに合わせてご提案をしていくことがとても大切です。「ラ・パルレ」で扱っている商品は、本当にいいものばかりなので、お客様との信頼関係ができていれば、ご提案もスムーズかと思います。
社長に直接LINEを送ることも。意見が届きやすい会社

エステの現場の仕事はできなくても、美容に携わっていたいとの思いから、「ラ・パルレ」に入社した中村さん
――中村さんが「ラ・パルレ」に入社を決めた理由は。
私は新卒でエステティックサロンに就職しましたが、手荒れの関係で仕事を離れています。技術者に戻るのは難しくても、大好きな美容の仕事でキャリアを積めたらという思いがあり、当時の社長と面談をしたときに、志の高さとビジョンに共感し、入社を決めました。
当時の社長から本来エステというのはヨーロッパでは医者と同等くらいのとても敷居の高い職業で、お医者様が病気を治すのに対し、エステティシャンは未病、つまり病気にならないようにストレスをなくしていく仕事だと聞きました。日本でももっとエステティシャンの地位を上げていきたいとお話しされていて、すごく素敵なビジョンだと感じました。
現在は社長が変わっていますが、それでもエステティシャンの地位向上は、変わらず弊社が取り組んでいる目標のひとつです。
――他社で働いた経験のある中村さんだからこそ感じる、この会社の魅力は?
評価制度がしっかりしていて、がんばった分だけ自分に還元されるところは大きな魅力だと思っています。正直、以前働いていた会社では、テストに受かって昇格しても微々たる変化だったんです。それがこの会社では着実にお給料に反映されていることが感じられます。
もう一点としては本社で働いていても、現場で働いていても、意見や思いが届きやすい会社だということです。改善したほうがいいと思うことがあれば上長にもすぐ伝えることができますし、必要があれば社長に直接、LINEで考えを伝えることが可能です。もちろんすべてが実現するわけではないですが、検討してもらえること自体がとてもうれしく感じます。
――こんなにたくさんの従業員がいらっしゃる規模の会社なのに、社長に直接、LINEができるのですね。
社長は本当にフランクな人で、たまにフランクすぎると思うくらいです(笑)。社員との距離がとても近く、常に社員のためを思って行動してくれます。たとえば地方の店舗で何か問題が起きたというだけで、飛行機に乗ってすぐに社員に会いに行くこともあるほどです。
あとは、スタッフ同士がお互いに尊敬し合っているのも、この会社の好きなところです。ご縁があってこの会社に入れて、本当にラッキーだったと思っています。
――会社としての今後の目標を教えてください。
今は美容がメインですが、「ニューアート・ヘルス&ビューティー」という社名の通り、「ヘルス」がついているので、お客様の健康を支えていくというミッションがあります。店舗展開をどんどんして、拡大していくようなイメージではなく、1店舗1店舗でしっかりお客様をお迎えして、満足度を上げていきたいと考えています。
取材中、質問をするたびにきらきらとした目で話してくれた中村さん。その表情から、エステという仕事の楽しさを心から感じていること、そして今の仕事がとても充実している様子が伝わってきました。
後編では2021年に新卒採用で入社し、エステティシャンとして2年を経験し、現在はWEBストラクチャ部所属の山脇菜那子さんに、現場の仕事のやりがいや現場目線で見た会社の魅力ついてお話しを伺います。山脇さんは人を大切にしてくれる会社だということを、最大の魅力だと感じているそうです。