2代に渡って成長する企業。癒しの時間がお客様の心をつかむ「東京ヴァンテアン」中林章さん
美容業界を支える企業の魅力を紹介する本企画。今回は、1982年創業の美容室グループを運営する「東京ヴァンテアン」で、取締役社長を務める中林章さんにご登場いただきお話をお聞きします。
前編では「東京ヴァンテアン」の成り立ちや企業理念、ここまで企業を成長させられた秘訣などについて伺いました。会長夫婦が営んでいた床屋からスタートした「東京ヴァンテアン」。現在では、関東エリアとオーストラリアに17店舗展開するまでに成長しています。
その成長の背景には、お客様が通いやすい価格で満足度の高いサービスを提供してきたこと、スタッフと親密な関係性を築いてきたことがあるといいます。一体どのようなサービス内容で、スタッフとはどのようなコミュニケーションをとってきたのでしょうか。
今回、お話を伺ったのは…
「東京ヴァンテアン」取締役社長
中林章さん

日本大学理工学部卒業後、母親が経営する東京ヴァンテアンに専務取締役として入社。24歳のとき、船堀に自分の美容室をオープンさせる。2024年夏に経営を引き継いで、取締役社長に就任。
床屋からスタート。お得な価格でつかんだ企業成長

――まずは東京ヴァンテアンの成り立ちをお聞かせください。
弊社は1982年11月27日に創業しました。もともとは理容師の父と母が夫婦で個人経営の床屋を切り盛りしていたんです。ただ母が将来を見据えて、東京の新小岩と幡ヶ谷に大型店舗を2店舗オープンし、同時に「東京ヴァンテアン」を設立しました。その後、着実に店舗を展開していき、5店舗に拡大したタイミングで私が入社したんです。美容室はスクラップアンドビルドなので、父と母が当時展開した店舗は残っていませんが、店舗数は現在、関東エリアとオーストラリアに17店舗となっています。
――創業当初と近年、どの時代でも着実に店舗展開をできている理由は何ですか?
理由はいくつかあって、時代によっても異なります。まず創業当初の理由としては、低価格サービスで注目を浴びたことが大きかったです。当時経営していた母は、お得な価格で多くのお客様をきれいにすることを心掛けていて。カット1500円、パーマ2500円くらいの価格帯でした。今でこそ、低価格サービスの美容室は多くありますが、当時は珍しかったので注目を浴びたんです。その結果、顧客獲得、店舗展開につながっていきました。
――お母様の心掛けが発展につながったのですね。近年の成長の秘訣は?
まず前提として、2014年以降は母から引き継いで私が経営しています。自分の代になってから着実に展開できた秘訣は、多くのスタッフと親密な関係性を築いてきたことだと思います。店舗展開には、人材確保が必要不可欠です。毎晩のようにさまざまなスタッフと食事に行ったりして仲を深めることで、定着率や企業の輪の拡大につながり、結果的に人材の増加を実現できたと思います。
大切なのは癒し。「気持ちいい」を目指して五感にアプローチ

――企業理念は何ですか。
弊社の理念は、「すべての社員と共に物心両面でみんなで豊かに。すべてのお客様に感動と満足を。」です。
――企業コンセプトについて教えてください。
弊社では「お客様をきれいにするだけではなく『癒し』を大切にする」をコンセプトに掲げています。父からの教えですが、人は気持ちがいいと感じたことは印象に残りやすいんです。カットで理想のヘアスタイルを提供するのは美容師として当たり前。カット以外のシャンプーやマッサージなどで癒しの時間を提供することで、「また来たい」と思ってもらえるような気持ちよさ、さらには感動と満足を提供することを目指しています。
――癒しの時間の実現のために具体的にどのような取り組みを?
いくつかありますが、ひとつ挙げると全店舗のシャンプー台をYUMEシャンプー台にしています。作業がしやすいので美容師のシャンプー技術を最大限に発揮しやすいうえ、フルフラットなので、まるでスパにいるようなリラクゼーション体験をお客様に提供できるんです。
――なるほど。
あとは取り組みのひとつとして、ヘアカラーやパーマなどの施術を受けるお客様には、バリスタを使ったコーヒーや紅茶などのドリンクを提供しています。身体の内側からもリラックスしてもらえるよう、おいしいものにこだわっているんです。
ほかにも店内でアロマを焚いて、嗅覚からの癒しも目指しています。
美容師人生を楽しく過ごしてもらうため制度を充実化

――社員やスタッフに向けての想いをお聞かせください。
美容師としての人生を楽しく過ごしてもらいたいと思っています。私が業界に入ったときは、給料も安く、ボーナスもないブラックな業界でした。そんな環境に苦しむ人を多く見てきたので、今働いている人、これから美容師を目指す人には少しでも楽しく過ごしてもらえるよう、まずは社内から改革を進めています。
たとえば、弊社にはパートスタッフも売上に応じて時給が変化する制度があります。パート勤務でも、能力を磨けば磨くほど給料という形で評価されるので、スキルを磨くことのモチベーションを保ちやすくなっているんです。実際、この制度は社内で好評で、会社全体の売上もアップしています。
企業サイドとしては、社員やスタッフは安く雇った方がいいと考えている企業も多いかもしれません。しかし、しっかりとした報酬を払い、目標を作ってあげた方が、結果的に企業利益は大きくなると考えています。
――社員を思う姿勢が素敵です。ワークライフバランスを考えた制度もあると拝見したのですが、どのようなものが?
「推し休暇」という制度があります。美容師はサービス業ということもあり、社員は平日休暇が基本です。でも、ライブやイベントのほとんどが土日開催じゃないですか。社員も趣味を満喫してもらうために、ライブやイベントに当選した場合は、土日も休暇を取ることができるんです。プライベートの充実は仕事にもつながるので、今後も可能な限り、制度の充実化を図っていきたいです。
――独立などキャリアアップのサポートはありますか。
大きいものでいうと、独立希望者に向けての従業員貸付制度があります。ほかにも実際に独立する際には、必要なノウハウも伝えているんです。お店を探しや経営の経験のない人がいきなり独立するのは、きっと不安でいっぱいだと思います。1歩目を安心して踏み出してもらうために、これまで働いてくれた恩返しも込めてサポートしているんです。
――今後、企業として取り組んでいきたいことは何ですか?
今年はすべての有給消化を達成できたので、今後はそれを維持しながら社員、スタッフ全員が休憩時間をしっかりと確保できることを目指していきたいです。サービス業で、お客様の急な来店などもあるので難しい点もあるのですが、実現に向けて画策していきたいと思っています。
1982年に創業し、2代にわたって成長してきた「東京ヴァンテアン」。お母様とお父様の経営する姿と業界を長く見てきたからこそ、評価に応じた時給制度や技術以外のサービス提供など、スタッフとお客様を考えた企業づくりができているのだと感じました。後編もぜひチェックしてくださいね!
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東京ヴァンテアン
住所:東京都渋谷区本町1-2-1
電話:03-3378-0295