給料30%から60%アップは当たり前。日本一スタッフの給料が高いサロンを目指す、日本一ゆるい会社!?「anemone」松本平さん
日本の美容業界を支える企業の魅力を紹介する本企画。今回ご登場いただくのは、2011年に創業し、現在は美容室「little」を、FC店含めて100店舗以上を展開する株式会社anemoneです。
前編では代表取締役社長の松本平さんに、「anemone」の成り立ちや大切にしてきた考え方などを伺いました。美容師を目指していたものの、アシスタント時代にお店を辞め、23歳で美容室の経営者になるという異色の経歴を持つ松本さん。しかも最先端の技術や薬剤をできるだけリーズナブルに提供しつつ、スタッフの給料をこれまでの水準の約1.5倍にするビジネスモデルで大成功し、見る見る拡大していったといいます。
その松本さんが30歳のときに満を持して立ち上げたのが「anemone」。着実な拡大の背景には常に現場で働く美容師の課題を解決する姿勢がありました。
お話を伺ったのは・・・
株式会社anemone
代表取締役社長
松本平さん

夜間の美容専門学校で美容師免許を取得後、美容室に入社するも、アシスタント時代に退職をすることに。23歳だった2004年に共同経営者とともに美容室を立ち上げ、大成功を収める。その後、改めてひとりで美容室経営をしたいと思うようになり、2011年に株式会社anemoneを創業。FC店を含めて100店舗以上を出店するまでに成長させる。
23歳、アシスタント経験しかないまま、美容室の経営者に

――松本さんが美容師の道に進もうと思ったきっかけは?
不純な動機ですが、当時好きだった子が美容師さんを好きだったんですね。美容師になれば、その子が振り向いてくれるのではないかという思いもあり。さらにその当時はカリスマ美容師ブームで成功している人がとても多く、自分も美容師になれば稼げるのではないかと思ったので、美容師の道に進むことにしました。
――その後、美容師としては順調でしたか?
それがアシスタント時代に病気で2週間ほど仕事を休んだら、会社を辞めさせられることになってしまったんです。その後、キャバクラの客引きのアルバイトを始めたことがサロン経営者につながる転機になりました。
客引きというのは街頭に立ってティッシュを配りながらお客さんをお店に連れていく仕事ですが、やみくもに声をかけるより、ちゃんとお店に来てくれる人に声をかけることが重要だと気付いて。顧客のリストを作り、電話営業をかけるようになったところ、少ない労働時間でどんどんお客様をお店に呼べるようになり、社長に見初められてキャバクラの経営まで任されるようになりました。
元々美容師として成功したら経営者になりたい思いもあったので、23歳のときにその社長に出資をしてもらう形でサロンを立ち上げたのが、美容室経営者としてのスタートでした。
人気料理店のビジネスモデルを、美容室に落とし込んで大成功

――美容師経験がないまま、経営者になるというのはすごいですね。当時、立ち上げたのはどんなサロンだったのでしょうか。
その当時、「俺のイタリアン」というお店がとても流行っていて、そのビジネスモデルを美容室に落とし込んだんです。「俺のイタリアン」のビジネスモデルは一流の料理を相場の3分の1ほどの価格で提供し、人件費を1.5倍に。さらに立ち食いという形態にすることで、お客様の回転率を上げるというものでした。
アシスタント経験しかない僕が美容室を経営するということで、共同経営者の社長にはかなり不安がられましたが、このビジネスモデルを美容室に落とし込んだらどうなるんだろうという好奇心の方が強く、社長を説得してやってみることにしたんです。
――松本さんには、成功するというビジョンがあったのですか?
成功するかは分かりませんでしたが、この形が実現できれば若いお客様が確実にたくさん来るのではないかという思いはありました。
というのも、当時も低価格サロンはありましたが、そういうサロンは薬剤の質があまりよくなくて、オレンジや赤に染めようとしても全部茶色になってしまうというのを聞いたことがあって(笑)。一方、質の高い薬剤を使用するサロンに行けば、1回の施術に1万8,000円から2万円ほどかかるのが当たり前でした。
その当時は僕も若かったので、美容室にそんなに高い金額を毎回払えないだろうという想像はつきました。料金面を改善しつつ、質の高い施術が可能になれば若い世代が来てくれるのではないかという目算はあったんです。
――そして実際にその予想は当たったということなのですね。
はい。お客様は途切れることなくどんどん来てくださいましたね。確実に利益を上げながら、店舗展開も進めることができました。
ただ出資してくれた方が2名いたので、利益が上がった分をスタッフに還元しようとか、システムを作り直そうとしても、1回1回確認をしなくてはならず、段々とそれがフラストレーションになってきていました。
スタッフが「こんなことをやりたい」と言ったときにスピーディーに「うん、いいよ」と言えるような環境を作りたかったので、ひとりで経営をしたほうがよいと思うようになり、ビジネスモデルはそのままに30歳のときに新たに立ち上げたのが「anemone」になります。
こちらも経営は順調でしたね。1年に数店舗ずつ出店をする形をずっと今まで続けてきて、その結果100店舗にまで成長させることができました。
給料が2倍になるケースも。向き合い続けた、スタッフの「不満」

――企業として大切にしてきた考え方は?
現場のスタッフを最優先に考えることです。スタッフの障壁となっているようなことに向き合って解決すること。その部分がおざなりになってしまって、会社としての利益だけに走ってしまうと、おかしくなるのではないかと思いますね。
「anemone」にここまでスタッフが集まって、店舗展開できるようになった一番の理由も、メニューの単価を下げたことより、給料を上げたことが要因としては大きかったと僕は考えています。立ち上げ当初はとくに給料の高いサロンというのはほかにほとんどなかったので、それを改善したということが大きく響いたのではないかと。有名店で働いていた人が転職してきたケースも多かったです。
数年前からは会社として「日本一スタッフの給料が高いサロンを目指す」ということを掲げていて、実際日本にある美容室のなかでもかなり高い水準の給料を出している自負もあります。
――実際、給料はどのくらいあがるのでしょうか。
一例ですが有名店で売上を100万円上げているという方でも、当時は給料が25万円から27万円くらいで頭打ちになってしまうところが多かったのですが、うちの会社は歩合給が50%なので、単純計算をしても50万円になり、給料はほぼ2倍になります。
そこまで売上が上げっていない人でも、ほとんどの場合は以前働いていたサロンより30%から60%ほど給料をアップできています。
――素晴らしいですね。サロンを立ち上げたときは実験的な要素が強かったとのことですが、松本さんがこれだけ長く美容業界に携わっている理由は?
成功したいという思いはとくになく、現場のスタッフの課題を解決したり、起業のきっかけのところでもお話ししたように、実験的に行ってきたことを継続しているうちに、気づいたらここまできていたという感じかもしれません。一般的なサロンだと、「○年で○○店舗を出店する」というような目標を掲げているところが多いと思いますが、そういった目標も一切ないですし。日本中探しても、こんなにゆるい会社はほかにはないのではないかと思いますね。
スタッフが企業戦略を理解していないから、今年は出店しないと言っているのに、出店が決まっていることもありますし(笑)。自分の会社ですけど、「どうなってるんだろう」と思うことが多いですよ。
後編では引き続き松本さんに、「anemone」の働きやすさの秘密や、充実した独立支援などについて伺います。松本さんがとにかく大切にしているのは、スタッフの方が自由にやりたいことをできる環境。働くうえでのしがらみやストレスを極力なくすことを心がけているといいます。
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株式会社anemone
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