無職からヨガ講師に。現在は2,500名以上の卒業生を出す会社の代表に【NicoTimes代表・ヨガインストラクター 岡本かなみさん】#1
赤ちゃんと一緒にヨガを行う「ベビトレヨガ」や、産後のママの体をサポートする「産後トレーニング」などのレッスン・講師育成を行う、NicoTimes(ニコタイムズ)株式会社の代表・岡本かなみさん。学生時代に「なんとなく資格をとった」ところからヨガが仕事となり、現在のように起業して多くの卒業生を抱えるまでになったのは、どんな経緯があったのでしょう。
お話を伺ったのは…
NicoTimes代表・ヨガインストラクター 岡本かなみさん
大学在学中にヨガの資格を取得。一度は離れたものの20代前半で再開したヨガで、自分が元気になっていくのを感じ、インストラクターの道に進むことを決意。「1番ケアを必要としている産後の女性と子どもにヨガを伝えたい」との思いから、母親や子供に特化したNicoTimes(ニコタイムズ)株式会社を設立。インストラクター養成のほか、全国で親子イベントの開催、企業や自治体とのコラボなどを手掛けている。
OKAMOTO’S PROFILE
お名前 |
岡本かなみ |
---|---|
出身地 |
神奈川県海老名市 |
プライベートの過ごし方 |
子どもたちとお出かけしたり、自宅で物作りや絵の具遊びをする |
趣味・ハマっていること |
ゲームセンター、脳トレグッズの開発 |
学生時代になんとなく取得したヨガ講師の資格が運命を決める

――ヨガに出会う前の岡本さんはどのような生活でしたか?
高校生時代に少しだけ芸能活動をしていて、その時に無理なダイエットをしていたんです。思春期だし人前に出る仕事でもあったため、人一倍スタイルを気にしていて。お菓子しか食べないとか、極端なダイエットをしては反動でリバウンドしたり……。体のことなんて全然考えていませんでした。
――若い女性にありがちなダイエットですね。
はい。それで大学に入学して、ダイエット目的でヨガを始めました。
といってもその時の私にヨガは全然ピンとこなくて(笑)。ゆったりとしたストレッチもどこに効いているのかわからないし、瞑想なんて「なんのためにするんだろう」と思いながらやっていました。
――とはいえ、その頃にヨガインストラクターの資格を取ったんですよね。
はい。「資格があったら、今後何かの役に立つかな」と、軽い気持ちでした(笑)。ヨガが流行っていたわけでもなかったし、ただ時間があったというだけの理由です。
そんな気持ちでインストラクター養成講座を受講しているものだから、当時は授業の内容も全然入ってきませんでした。一緒に学んでいる人も、自分よりも年上の人ばかりだったので友人ができることもなく、資格だけ取って、そのままフェイドアウトしてしまいました。
体重増加、無職……。そんなときヨガの資格を思い出した

――大学卒業後はヨガとは違う道へ?
大学を卒業してすぐにワーキングホリデーを利用して1年間オーストラリアに行きました。その1年で、めちゃくちゃ太ってしまって。さらに帰国したものの、当然ながら無職。
他の同級生は社会人としていきいきと働いているのに、私は仕事もない。体型が変わってしまって見た目にも自信がないから、しばらく実家に引きこもっていました。
そうやって「自分には何もない」と落ち込んでいた時に、ふとヨガの資格のことを思い出したんです。そして、家にあったテキストを引っ張り出して、ヨガを再開しました。
――以前はハマらなかったヨガに、その時はハマれたんですか?
そうなんです! 久しぶりにヨガをしてみたら、びっくりするほど気持ちが良くて。体だけでなく、ふさぎ込んでいた気持ちもどんどん明るくなっていくのを感じました。
それで少しずつ「ヨガのインストラクターになってみたいな」と思うようになって。母親の後押しもあり、本格的に就職活動を始めました。
――そこからヨガインストラクターの道に進むわけですね。
はい。ただ就職を経験することなくすぐにフリーになったのは、どこのスタジオにも受からなかったから(笑)。どこも雇ってくれないなら自力でやるしかないと思って、フリーのインストラクターとして、知り合いの先生に連絡をとり、お手伝いやレッスンの代行をするところから始めました。
そこから少しずつ人脈を広げていって、スタジオでのレギュラーのレッスンも増えていきました。
一方で解剖学にも興味が出てきて、インストラクターの仕事と並行しながら、接骨院でも働き始めました。
その時に学んだ筋肉や骨などの解剖学は、今でもすごく活きています。
求められていることに応えたい一心で、のめり込んでいく

――ヨガインストラクターと接骨院のWワークはハードそうですね。
そうですね。20代半ばで体力だけはあったので。そのころは早い時は朝6時からレッスンをして、日中もクラスを複数こなし、夜遅くにもレッスンをしていました。
接骨院勤務の日は、オープンから休む暇もなくリフレクソロジーをして、閉院後に先生からマッサージの仕方を教えてもらったり。
もともと一度ハマると没頭しやすいタイプなので、寝る間を惜しんで働いていました。
――大変だと思うことはなかったのですか?
全然! ヨガを教えることで生徒さんからは喜ばれるし、自分自身の体調やスタイルも改善。やればやるほど知識も深まっていくし、すごく充実していましたね。
ただ一方で「このままずっとインストラクターをしていくのかな」という漠然とした不安もありました。
取材・文/皆川知子(tokiwa)
撮影/ワタナベミカ